「水俣病と新潟水俣病の原因が同じなのは分かるけれど、イタイイタイ病の原因が出てこない」「京都議定書とパリ協定のちがいが説明できない」
公害と環境問題は、中学受験の社会で、地理・歴史・公民のどの分野からも出題される重要なテーマです。四大公害病の地域と原因、公害に対する国の取り組み、地球温暖化などの地球環境問題、3RやSDGsなどが問われます。時事問題としても、毎年のように取り上げられます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、公害の歴史、四大公害病、地球環境問題、わたしたちにできる取り組みを整理し、家での覚え方をまとめました。
公害とは
工場や自動車などから出るよごれた空気や水などによって、人々の健康や生活がおびやかされることを公害といいます。
法律では、次の7つが「典型七公害」とされています。
- 大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭
四大公害病

高度経済成長のころ、工業の発展を優先した結果、各地で深刻な公害が発生しました。特に被害が大きかった4つを、四大公害病といいます。
| 公害病 | 地域 | 原因 |
|---|---|---|
| 水俣病 | 熊本県・鹿児島県(八代海沿岸) | 工場の排水にふくまれた有機水銀 |
| 新潟水俣病 | 新潟県(阿賀野川流域) | 工場の排水にふくまれた有機水銀 |
| イタイイタイ病 | 富山県(神通川流域) | 鉱山から流れ出たカドミウム |
| 四日市ぜんそく | 三重県(四日市市) | 石油化学工場から出た亜硫酸ガス(大気汚染) |
水俣病・新潟水俣病は「有機水銀」、イタイイタイ病は「カドミウム」、四日市ぜんそくは「亜硫酸ガス」。
四大公害病の裁判では、いずれも被害を受けた住民側が勝訴しました。
公害に対する国の取り組み
- 1967年:公害対策基本法が定められる
- 1971年:環境庁が設置される(2001年に環境省になる)
- 1993年:環境基本法が定められる(地球環境問題もふくめた環境保全の基本となる法律)
公害対策基本法は1967年、環境庁は1971年。環境基本法は1993年です。
公害を経験した地域では、環境を取りもどす取り組みが進められました。熊本県水俣市や福岡県北九州市は、公害を乗りこえ、環境にやさしいまちづくりを進めている都市として知られています。
地球環境問題
公害は特定の地域で起こるものでしたが、現在は、国境をこえて地球全体に広がる環境問題が大きな課題になっています。
| 問題 | 原因 | 影響 |
|---|---|---|
| 地球温暖化 | 二酸化炭素などの温室効果ガスの増加 | 海面の上昇、異常気象 |
| 酸性雨 | 工場や自動車から出るちっ素酸化物・硫黄酸化物 | 森林がかれる、湖の生き物が死ぬ |
| オゾン層の破壊 | フロンガス | 有害な紫外線がふえる |
| 森林の減少・砂漠化 | 木の切りすぎ、家畜の放牧のしすぎなど | 生き物のすみかがなくなる、食料不足 |
| 海洋プラスチックごみ | 捨てられたプラスチック | 海の生き物への被害 |
地球温暖化への国際的な取り組み
- 1997年:京都議定書(京都で開かれた会議で、先進国に温室効果ガスの削減目標を定めた)
- 2015年:パリ協定(発展途上国をふくむすべての国が、削減に取り組むことを約束した)
京都議定書は「先進国に削減義務」、パリ協定は「すべての国が取り組む」。
わたしたちにできること
3R
ごみを減らすための取り組みを、3Rといいます。
- リデュース:ごみになるものを減らす(マイバッグを使う、つめかえ用を買う)
- リユース:くり返し使う(びんを洗って使う、ゆずり合う)
- リサイクル:資源として再利用する(ペットボトルや紙を分別して出す)
SDGs
2015年に国際連合で採択された「持続可能な開発目標」をSDGsといいます。2030年までに達成をめざす17の目標があり、環境を守ることもふくまれています。
公害の歴史を時代順に整理する
公害は、明治時代から問題になっていました。時代順に整理すると、流れがつかみやすくなります。
| 時代 | できごと |
|---|---|
| 明治時代 | 足尾銅山の鉱毒事件(栃木県)。田中正造が解決に取り組む |
| 高度経済成長のころ | 四大公害病が発生する |
| 1960年代後半〜1970年代 | 公害対策基本法(1967年)、環境庁の設置(1971年) |
| 1990年代以降 | 環境基本法(1993年)、京都議定書(1997年) |
公害は「足尾銅山(明治)から四大公害病(高度経済成長)へ」の流れで覚えます。
よくあるまちがいと対策
- イタイイタイ病の原因を有機水銀と答える:イタイイタイ病はカドミウム
- 四日市ぜんそくを水質汚濁と答える:四日市ぜんそくは大気汚染
- 京都議定書とパリ協定の年や内容を逆にする:「京都1997年は先進国、パリ2015年はすべての国」
- 3Rの順番や意味を混ぜる:「減らす・くり返し使う・資源にもどす」
家庭での覚え方のコツ
地図に四大公害病を書きこむ
白地図に、四大公害病の地域と原因を書きこんでみましょう。熊本・新潟・富山・三重と、場所が日本の各地に分かれていることが分かります。
家庭のごみを分別しながら話す
ごみの分別をするときに、「これはリサイクル」「これはくり返し使える」と、3Rを親子で確かめてみてください。日々の生活と学習が結びつきます。
ニュースの環境問題をチェックする
地球温暖化や異常気象、プラスチックごみなどのニュースを見たら、「原因は何?」「どんな取り組みがある?」と親子で話してみましょう。時事問題の対策にもなります。
公害と環境問題のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の社会では、5年生で公害の防止と生活環境を学び、6年生で国際社会の課題として地球環境問題を学びます。中学受験向けの教材では、地理・歴史・公民のそれぞれで取り上げられます。
歴史の単元とはどうつながりますか?
明治時代には、足尾銅山の鉱毒事件が起こり、田中正造が解決に取り組みました。高度経済成長のころの四大公害病とあわせて、明治時代や大正・昭和時代の流れの中で整理しましょう。
エネルギーの問題ともつながりますか?
はい、化石燃料を燃やすことで出る二酸化炭素が、地球温暖化の原因になっています。エネルギーと発電とあわせて学びましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:富山県の神通川流域で発生し、カドミウムが原因となった公害病を何といいますか。
問題2:1971年に設置され、2001年に環境省となった国の機関を何といいますか。
問題3:フロンガスによって破壊され、有害な紫外線がふえる原因となるものは何ですか。
問題4:ごみを減らす3Rのうち、「くり返し使う」ことを何といいますか。
答え
問題1:イタイイタイ病です。
問題2:環境庁です。
問題3:オゾン層です。
問題4:リユースです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:公害と環境問題は「原因」と「取り組み」をセットで
高度経済成長のころには四大公害病が起こり、国は公害対策基本法や環境庁の設置で対策を進めました。現在は、地球温暖化などの地球環境問題に、京都議定書やパリ協定などで国際的に取り組んでいます。原因・影響・取り組みをセットで覚え、3Rなど身近な行動とも結びつけましょう。