「公民は言葉がむずかしくて、子どもがなかなか興味を持てない」「国会と内閣のちがいを説明しようとして、親の方が分からなくなった」
中学受験の社会は、地理・歴史・公民の3分野から出題されます。公民は、憲法や政治のしくみ、経済、国際社会など、大人でも説明しにくい内容が多い分野です。そのため、塾なしで進めるご家庭では、後回しになりがちです。
でも、公民は覚える量が地理や歴史ほど多くなく、しくみを一度理解してしまえば、得点源にしやすい分野でもあります。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、公民の要点を順番に整理し、家庭でできる覚え方と、時事問題への備え方をまとめました。
公民で学ぶこと
中学受験の公民では、主に次の内容を学びます。
- 日本国憲法:三つの原則、基本的人権、国民の義務
- 国の政治のしくみ:国会・内閣・裁判所と三権分立
- 選挙:選挙権、選挙のしくみ
- 地方自治:都道府県や市区町村の政治
- 財政と経済:税金、国の予算、くらしと経済
- 国際社会:国際連合、世界の課題
これらに加えて、入試では「その年に話題になったニュース」と結びつけた時事問題が出ることもあります。
公民は「しくみ」を理解する分野。言葉の暗記より先に、「だれが、何をするところか」をつかみます。
日本国憲法:まずは三つの原則
公民の土台になるのが、日本国憲法です。日本国憲法は、1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行されました。11月3日は文化の日、5月3日は憲法記念日として祝日になっています。
日本国憲法には、三つの大きな原則があります。
- 国民主権:国の政治のあり方を最終的に決めるのは国民
- 基本的人権の尊重:だれもが生まれながらに持つ権利を大切にする
- 平和主義:戦争を放棄し、平和を守る(第9条)
天皇は、日本国と日本国民統合の「象徴」とされ、政治の実際の権限は持ちません。天皇が行う国事行為には、内閣の助言と承認が必要です。
基本的人権と国民の義務
基本的人権には、次のようなものがあります。
- 平等権:だれもが法の下に平等である
- 自由権:思想や信教、表現、職業選択などの自由
- 社会権:健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権、第25条)、教育を受ける権利など
- 参政権:選挙で投票する権利、立候補する権利など
一方で、国民には三つの義務があります。
- 子どもに普通教育を受けさせる義務
- 勤労の義務
- 納税の義務
「教育を受ける」のは権利、「教育を受けさせる」のは義務、という区別はよく問われます。義務を負うのは、子どもではなく保護者です。
国の政治のしくみ:三権分立
国の権力は、国会(立法権)、内閣(行政権)、裁判所(司法権)の3つに分けられています。1つの機関に権力が集中しないよう、おたがいに監視し合うしくみを「三権分立」といいます。

図の矢印は、「どこが、どこに対して、何ができるか」を表しています。三権分立の問題は、この矢印の向きと内容を問うものがほとんどです。
- 国会から内閣へ:内閣総理大臣の指名、内閣不信任の決議
- 内閣から国会へ:衆議院の解散
- 国会から裁判所へ:弾劾裁判(ふさわしくない裁判官をやめさせるかどうかの裁判)
- 裁判所から国会へ:法律が憲法に違反していないかの審査(違憲立法審査)
- 内閣から裁判所へ:最高裁判所長官の指名、そのほかの裁判官の任命
- 裁判所から内閣へ:命令・規則・処分が憲法や法律に違反していないかの審査
そして、国民は、選挙で国会議員を選び、世論で内閣に影響をあたえ、国民審査で最高裁判所の裁判官をチェックします。
三権分立は、図をかいて矢印を1本ずつ説明できるようになるのがゴールです。
国会
国会は、「国権の最高機関」であり、「国の唯一の立法機関」です。法律をつくるほか、予算を決めたり、条約を承認したり、内閣総理大臣を指名したりします。
国会は、衆議院と参議院の二院制です。
| 衆議院 | 参議院 | |
|---|---|---|
| 任期 | 4年(解散がある) | 6年(3年ごとに半数を改選) |
| 立候補できる年齢 | 25才以上 | 30才以上 |
| 解散 | ある | ない |
衆議院は任期が短く、解散もあるため、国民の意見をより反映しやすいと考えられています。そのため、予算の議決や内閣総理大臣の指名などで、衆議院の議決が優先される「衆議院の優越」があります。
選挙で投票できる年齢(選挙権)は、18才以上です。
内閣
内閣は、法律や予算にもとづいて、実際に国の政治を行う機関です。内閣総理大臣(首相)と国務大臣で構成されます。
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会が指名し、天皇が任命します。国務大臣の過半数は、国会議員でなければなりません。このように、内閣が国会の信任にもとづいて成り立ち、国会に対して責任を負うしくみを「議院内閣制」といいます。
裁判所
裁判所は、法律にもとづいて争いごとを解決したり、罪を犯した疑いのある人を裁いたりする機関です。最高裁判所と、高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所があります。
1つの事件について、原則として3回まで裁判を受けられる「三審制」がとられています。また、国民が裁判に参加する「裁判員制度」があり、重大な刑事事件の第一審(地方裁判所)で、国民から選ばれた裁判員が裁判官と一緒に判断します。
地方自治
都道府県や市区町村の政治を「地方自治」といいます。住民は、首長(知事や市区町村長)と、議会の議員を、それぞれ選挙で選びます。
地方自治では、住民が直接政治に参加できる「直接請求権」が認められています。たとえば、条例の制定・改廃の請求には、有権者の50分の1以上の署名が必要で、首長に請求します。首長や議員の解職(リコール)の請求には、原則として有権者の3分の1以上の署名が必要です。
地方自治は「民主主義の学校」とも呼ばれます。身近な市区町村の取り組みと結びつけると、子どもにも想像しやすくなります。
財政と税金
国や地方公共団体が、税金などを集めて、社会のために使うことを「財政」といいます。
税金には、税を納める人と負担する人が同じ「直接税」(所得税など)と、ちがう「間接税」(消費税など)があります。消費税の税率は10%で、食料品などには8%の軽減税率が適用されています。
国の予算は、内閣がつくり、国会で議決されます。予算の使いみちでは、社会保障(年金・医療・介護など)にかかるお金が大きな割合をしめていることが、入試でもよく取り上げられます。
国際社会
国際社会の分野では、国際連合(国連)がよく出題されます。
- 国際連合は1945年に発足し、本部はアメリカのニューヨークにある
- 日本は1956年に加盟した
- 安全保障理事会には、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の5つの常任理事国があり、拒否権を持つ
このほか、地球温暖化などの環境問題、SDGs(持続可能な開発目標)、難民問題など、世界の課題もテーマになります。
家庭でできる覚え方のコツ
ニュースを親子で見る
公民は、ニュースとのつながりがいちばん強い分野です。選挙、国会、税金、国際会議などのニュースが流れたら、「これは三権分立のどこの話?」と聞いてみてください。教科書の言葉が、実際の社会のできごととつながると、一気に覚えやすくなります。
図を自分でかく
三権分立の図や、国会のしくみの表は、見るだけでなく、子どもが白い紙に自分でかけるかを確認しましょう。何も見ずにかけるようになれば、その単元はほぼ大丈夫です。
似た言葉を表で整理する
公民には、「指名」と「任命」、「公布」と「施行」、「権利」と「義務」など、似た言葉が多く出てきます。まちがえやすい言葉は、表にして並べて覚えると、ちがいがはっきりします。
| 似た言葉 | 意味のちがい |
|---|---|
| 指名と任命 | 指名は「この人に」と選ぶこと、任命は正式にその役につけること |
| 公布と施行 | 公布は国民に知らせること、施行は実際に効力を持ち始めること |
| 権利と義務 | 権利は「してよいこと」、義務は「しなければならないこと」 |
時事問題は「なぜ話題か」まで
時事問題は、できごとの名前だけを覚えても、入試では得点しにくいものです。「なぜそれが話題になったのか」「公民のどの単元とつながるのか」まで話し合っておくと、記述問題にも対応できます。入試が近づいたら、子ども向けのニュース解説の本や新聞を活用するのもおすすめです。
公民は何年生で?家での進め方
小学校の社会では、国の政治のしくみは6年生で学びます。中学受験向けの教材でも、公民は6年生で扱うことが多い分野です。歴史のあとに学ぶ場合が多いので、時間が足りなくならないよう、計画に入れておきましょう。
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 日本国憲法の三つの原則と、基本的人権・国民の義務
- 国会・内閣・裁判所と三権分立
- 選挙と地方自治
- 財政と税金、くらしと経済
- 国際社会と、その年の時事問題
1〜2を特にていねいに進めると、3以降の理解がぐっと楽になります。1日30分ほどで、1つのテーマを2〜3日かけて進め、最後に一問一答で確認するのが目安です。
練習プリント(無料)
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まとめ:公民は「しくみ」と「ニュース」をつなげて覚える
公民は、日本国憲法の三つの原則と、三権分立のしくみが土台です。国会・内閣・裁判所が「何をするところで、おたがいに何ができるか」を図で説明できるようになれば、多くの問題に対応できます。
家庭では、ニュースを親子で見ながら、教科書の言葉と実際の社会をつなげることを大切にしてください。歴史の勉強法は時代の流れから覚える歴史の勉強の順番、楽しく学べる本は小学生の中学受験におすすめの学習漫画ランキング、動画で学ぶなら塾無し中学受験の無料YouTubeチャンネルおすすめランキングも参考にしてください。