「歴史の一問一答を何回やっても、すぐに忘れてしまう」「年号を覚えさせているのに、テストになると時代がごちゃまぜになる」
中学受験の社会は、地理・歴史・公民の3つの分野から出題されます。その中でも歴史は、覚える人物やできごとがとても多く、塾なしで進めるご家庭がいちばん悩みやすい分野です。
歴史が苦手になる原因の多くは、「流れ」を知らないまま、細かい知識を丸暗記しようとすることです。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、歴史を「時代の流れ」から覚えていく勉強の順番と、家庭でできる工夫をまとめました。
中学受験の歴史で問われること
中学受験の歴史では、次のようなことが問われます。
- 時代の順番:できごとを古い順に並べる
- 人物とできごと:だれが、何をしたか
- 時代の特ちょう:その時代の政治・くらし・文化
- 資料の読み取り:年表、地図、絵、昔の文章(史料)
- 理由の説明:なぜそのできごとが起きたか、どんな影響があったか
一問一答の知識だけで答えられるのは、このうち「人物とできごと」の一部です。並べかえや理由の説明は、流れを理解していないと解けません。
歴史は「流れ」が土台。細かい知識は、流れという棚にしまっていくイメージで覚えます。
STEP1:時代の順番を言えるようにする
最初にやることは、時代の名前を順番に言えるようにすることです。

縄文・弥生・古墳・飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町・安土桃山・江戸・明治・大正・昭和・平成・令和。
この順番を、まずは声に出して言えるようにしましょう。お風呂や車の中で、親子でリズムよく言い合うのがおすすめです。順番が言えるようになったら、「平安の次は?」「江戸の前は?」とクイズにしてみてください。
時代の順番が頭に入っていると、新しく覚えた人物やできごとを、「どの時代の話か」という棚に整理できるようになります。
STEP2:時代ごとの「政治の主役」をつかむ
次に、それぞれの時代で、だれが中心になって政治をしていたかをつかみます。日本の歴史は、大きく見ると「政治の主役」が次のように移り変わっています。
| 時代 | 政治の主役 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 飛鳥・奈良 | 天皇と豪族・貴族 | 国のしくみを整えた |
| 平安 | 貴族(藤原氏など) | 貴族が力を持った |
| 鎌倉・室町 | 武士(幕府) | 武士が政治を始めた |
| 安土桃山 | 戦国大名から天下統一へ | 信長・秀吉が全国をまとめた |
| 江戸 | 武士(江戸幕府) | 約260年、幕府が国を治めた |
| 明治以降 | 政府・国民 | 近代国家をつくった |
この大きな流れが分かると、たとえば「鎌倉時代になぜ幕府ができたのか」「明治時代になぜ武士がいなくなったのか」といった理由の問題も、流れの中で考えられるようになります。
「その時代、だれが国を動かしていたか」を言えれば、時代の特ちょうがつかめています。
STEP3:人物とできごとを、時代ごとに覚える
流れの土台ができたら、時代ごとに人物とできごとを覚えていきます。このとき、ばらばらに覚えるのではなく、「人物→何をしたか→なぜか」をセットにするのがコツです。
たとえば、聖徳太子なら、
- 何をしたか:十七条の憲法や冠位十二階を定めた
- なぜか:天皇を中心とした国のしくみを整えるため
というように、目的まで一緒に覚えます。目的を知っていると、似た名前のできごとを取りちがえにくくなります。
1つの時代で覚える人物は、最初は3〜5人ほどにしぼりましょう。教科書や参考書で太字になっている人物から始めると、重要な人物を外しません。
まず押さえたい人物の例
最初に覚える人物の例を、時代順にまとめました。「何をした人か」を一言で言えるようにするところから始めましょう。
| 時代 | 人物 | 何をした人か |
|---|---|---|
| 弥生 | 卑弥呼 | 邪馬台国の女王 |
| 飛鳥 | 聖徳太子 | 十七条の憲法・冠位十二階を定めた |
| 飛鳥 | 中大兄皇子 | 大化の改新を始めた |
| 奈良 | 聖武天皇 | 東大寺に大仏をつくらせた |
| 平安 | 藤原道長 | 摂関政治で大きな力を持った |
| 鎌倉 | 源頼朝 | 鎌倉幕府を開いた |
| 鎌倉 | 北条時宗 | 執権として元寇に立ち向かった |
| 室町 | 足利義満 | 金閣を建て、明との貿易を始めた |
| 安土桃山 | 織田信長 | 楽市・楽座などで天下統一を進めた |
| 安土桃山 | 豊臣秀吉 | 太閤検地・刀狩を行い、全国を統一した |
| 江戸 | 徳川家康 | 江戸幕府を開いた |
| 江戸 | 徳川家光 | 参勤交代を制度として定めた |
| 明治 | 伊藤博文 | 初代の内閣総理大臣になった |
| 明治 | 小村寿太郎 | 関税自主権を回復した |
表の人物が言えるようになったら、それぞれの人物と同じ時代の人物を1人ずつ増やしていくと、知識が自然に広がっていきます。
STEP4:年号は「大事なものだけ」覚える
年号は、すべてを覚える必要はありません。時代の区切りや、流れが大きく変わるできごとの年号を中心に覚えると、ほかのできごとの時期も推測できるようになります。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 645年 | 大化の改新が始まる |
| 710年 | 平城京に都をうつす |
| 794年 | 平安京に都をうつす |
| 1274年・1281年 | 元寇(元の大軍がせめてくる) |
| 1467年 | 応仁の乱が始まる |
| 1543年 | 鉄砲が伝わる |
| 1600年 | 関ヶ原の戦い |
| 1603年 | 江戸幕府が開かれる |
| 1853年 | ペリーが来航する |
| 1868年 | 明治維新(明治時代が始まる) |
| 1889年 | 大日本帝国憲法が発布される |
| 1945年 | 第二次世界大戦が終わる |
| 1946年 | 日本国憲法が公布される |
語呂合わせを使うと、年号が覚えやすくなります。市販の語呂合わせの本も多いので、子どもが気に入ったものを使ってください。ただし、語呂合わせで年号だけを覚えても、そのできごとの意味が分かっていなければ、問題では使えません。年号は、STEP3の「何をしたか・なぜか」とセットで覚えましょう。
なお、鎌倉幕府の始まりを1185年とするか1192年とするかなど、教材によって説明が分かれるものもあります。お子さんが使っている教材の表記にそろえて覚えれば大丈夫です。
STEP5:テーマ史で、時代をたてにつなぐ
時代ごとの学習がひと通り終わったら、テーマごとに時代をまたいで整理します。これを「テーマ史」といいます。
- 外交の歴史:遣唐使、元寇、鎖国、開国、条約改正
- 土地と税の歴史:班田収授、荘園、太閤検地、地租改正
- 文化の歴史:国風文化、鎌倉文化、元禄文化、化政文化
- 都の歴史:飛鳥、平城京、平安京、鎌倉、江戸、東京
テーマ史は、6年生になってからの入試対策で特に役立ちます。「税のしくみは、時代によってどう変わったか」という問いに答えられると、時代ごとの知識が一本の線でつながります。
STEP6:資料と記述に慣れる
中学受験の社会では、年表や地図、絵、昔の文章(史料)を読み取って答える問題が多く出ます。また、「なぜ〜したのか、説明しなさい」という記述問題もあります。
資料問題の練習では、資料を見たら、まず「いつの時代の資料か」を考える習慣をつけましょう。時代が分かれば、STEP2・3で覚えた知識が使えます。
記述問題は、「理由」と「結果」を一文ずつ書く練習から始めます。たとえば「鎖国をしたのはなぜか」なら、「キリスト教が広まるのをふせぎ、幕府が貿易を管理するため」のように、理由をはっきり書きます。
家庭でできる工夫
学習漫画から入る
歴史の流れをつかむ最初の一歩として、学習漫画はとても効果的です。人物の顔や、時代の雰囲気が絵で頭に入ると、教科書の文章がぐっと読みやすくなります。最初は細かく覚えさせようとせず、楽しんで読ませてください。
自分だけの年表ノートを作る
ノートの見開きに時代の区切りを書き、覚えた人物やできごとを書きこんでいきます。新しく覚えるたびに年表が埋まっていくので、達成感があります。
親子でクイズを出し合う
食事のときや移動中に、「鎌倉幕府を開いたのはだれ?」「その人がいたのは何時代?」とクイズを出し合いましょう。子どもに問題を出させるのも効果的です。問題を作るには、知識を整理している必要があるからです。
実物にふれる
博物館や史跡に出かけたり、歴史を題材にしたテレビ番組を見たりすると、教科書の中の人物やできごとが、ぐっと身近になります。旅行先の近くの史跡に立ち寄るだけでも十分です。
よくあるつまずきと対策
- 似た名前を取りちがえる(例:源頼朝と源義経、徳川家康と徳川家光):人物を覚えるときに「何をした人か」を一言そえる
- 時代の順番がくずれる:並べかえ問題で迷ったら、STEP1の時代の順番を書き出してから考える
- 漢字で書けない:中学受験では、人物名やできごとを漢字で書くよう求める学校もあるため、覚えるときから漢字で書く
- 覚えた直後は言えるのに、1週間後に忘れる:前の日・1週間前の範囲を、一問一答で少しずつ繰り返す
とくに漢字は、あとから直すのが大変です。最初から漢字で書くことを習慣にしておくと、入試直前にあわてずにすみます。
歴史は何年生で?1日の進め方
小学校の社会では、歴史は6年生で学びます。中学受験向けの教材では、学校より早く、5年生ごろから歴史に入ることが多いです。
塾なしで進める場合、1日の勉強は次のような組み立てがおすすめです。
- 前の日に覚えたことを、一問一答で5分確認する
- 新しい時代の範囲を、参考書で読む(15分)
- 年表ノートに、人物とできごとを書きこむ(10分)
- 問題集で、その範囲の問題を解く(15分)
1日45分ほどで、1つの時代を3〜5日かけて進めると、無理なく続けられます。覚えたことはすぐに忘れるものなので、「前の日の確認」は必ず入れてください。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:歴史は「流れ→主役→人物→年号」の順で
中学受験の歴史は、いきなり細かい知識を覚えるのではなく、時代の順番、政治の主役、人物とできごと、大事な年号、の順で積み上げていくと、無理なく身につきます。流れという棚ができていれば、新しい知識もどこにしまえばよいかが分かり、忘れにくくなります。
家庭では、学習漫画や年表ノート、親子クイズなどで、楽しく続けられる工夫をしてみてください。歴史の流れをつかむのに役立つ本は小学生の中学受験におすすめの学習漫画ランキング、動画で学びたいときは塾無し中学受験の無料YouTubeチャンネルおすすめランキングでまとめています。公民の勉強法は憲法・三権分立から時事問題までの覚え方で解説しています。参考書選びは塾無しで目指す中学受験のおすすめ参考書ランキングも参考にしてください。