「火力発電所が海ぞいに多い理由を、うまく説明できない」「再生可能エネルギーの例を聞かれて、太陽光しか思いつかない」
エネルギーと発電は、中学受験の社会の地理で、工業・貿易・環境問題とつながる単元として出題されます。発電方法ごとの特色、発電所の立地、発電量の移り変わりのグラフ、再生可能エネルギーなどが問われます。時事問題として取り上げられることも多いテーマです。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、主な発電方法の特色と立地、再生可能エネルギー、日本のエネルギーの課題を整理し、家での覚え方をまとめました。
なお、発電方法ごとの割合は、年によって変わります。最新の数字は、お子さんが使っている教材や資料集で確認してください。
主な発電方法

| 発電方法 | しくみ | よいところ | 課題 |
|---|---|---|---|
| 火力 | 石油・石炭・天然ガスを燃やして水蒸気をつくり、タービンを回す | 発電量を調整しやすい | 二酸化炭素を多く出す。燃料の多くを輸入にたよる |
| 水力 | ダムにためた水を落として、水車を回す | 二酸化炭素を出さない | ダムをつくれる場所が限られる。自然環境への影響 |
| 原子力 | ウランの核分裂の熱で水蒸気をつくり、タービンを回す | 発電中に二酸化炭素を出さない | 事故のときの被害が大きい。放射性廃棄物の処理 |
火力は「調整しやすいが二酸化炭素」、水力は「クリーンだが場所が限られる」、原子力は「安全性と廃棄物」。
発電所のある場所とその理由
| 発電所 | 多い場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 火力発電所 | 大都市の近くの海ぞい | 燃料を船で輸入しやすい。電気を多く使う都市に近い |
| 水力発電所 | 山間部の川の上流 | ダムをつくりやすく、水が高いところから落ちる |
| 原子力発電所 | 海ぞいで、大都市からはなれた場所 | 冷却に大量の海水を使う。安全のため都市からはなれた場所に建てられてきた |
| 地熱発電所 | 火山の多い地域 | 地下の熱や水蒸気を利用する |
例題1:火力発電所が、大都市に近い海ぞいに多くつくられている理由を2つ答えましょう。
燃料の石油・石炭・天然ガスを、船で輸入して運びこみやすいからです。また、電気を多く使う大都市に近く、電気を送りやすいからです。
原子力発電所は、福井県の若狭湾ぞいに多く集まっていることで知られています。地熱発電所は、大分県や東北地方など、火山の多い地域にあります。
発電の移り変わり
日本の発電は、時代とともに中心が変わってきました。
- 1960年ごろまで:水力発電が中心(水主火従)
- 高度経済成長のころから:火力発電が中心に(火主水従)。大量の電気が必要になり、石油の輸入が増えた
- 1970年代以降:石油危機をきっかけに、原子力発電が増えた
- 2011年以降:東日本大震災による原子力発電所の事故のあと、原子力発電は大きく減った
発電の中心は「水力から火力へ」。2011年の事故のあと、原子力は大きく減りました。
再生可能エネルギー
太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス(木くずや家畜のふんなど)のように、自然の中でくり返し利用でき、なくならないエネルギーを、再生可能エネルギーといいます。
| エネルギー | 特色 |
|---|---|
| 太陽光 | 家の屋根などにも設置できる。夜や雨の日は発電できない |
| 風力 | 風の強い海岸や山の上に多い。風がないと発電できない |
| 地熱 | 火山の多い日本に向いている。天気に左右されにくい |
| バイオマス | 木くずや生ごみなど、捨てていたものを利用できる |
再生可能エネルギーは、発電のときに二酸化炭素をほとんど出さないため、地球温暖化を防ぐために利用が進められています。一方で、天気によって発電量が変わることや、発電にかかる費用などが課題です。
日本のエネルギーの課題
- 資源が少なく、石油・石炭・天然ガスなどのほとんどを輸入にたよっている
- 石油などの化石燃料には限りがあり、使い続けるといつかなくなる
- 化石燃料を燃やすと二酸化炭素が出て、地球温暖化の原因になる
こうした課題に対して、省エネルギー(電気を大切に使う)や、再生可能エネルギーをふやす取り組みが進められています。資源の輸入先は、日本の貿易で解説しています。
よくあるまちがいと対策
- 火力発電所を山の中にあると答える:燃料を輸入するので、大都市近くの海ぞい
- 水力発電所を海ぞいと答える:ダムをつくる山間部
- 再生可能エネルギーに石炭をふくめる:石炭は化石燃料で、限りがある
- 原子力発電を「二酸化炭素を出すから問題」と答える:原子力の課題は安全性と放射性廃棄物
家庭での覚え方のコツ
家の電気の使い方を話し合う
電気料金のお知らせや、家電の省エネマークを見ながら、家でどのように電気を使っているか、どうすれば節約できるかを親子で話してみましょう。
地図に発電所を書きこむ
白地図に、火力(海ぞいの大都市近く)、水力(山間部)、原子力(若狭湾など)、地熱(火山の近く)の発電所の位置を、色分けして書きこんでみてください。立地の理由と結びついて覚えられます。
ニュースと結びつける
エネルギーや電気料金、再生可能エネルギーのニュースは、時事問題としても出題されます。ニュースを見たら、「どの発電方法の話?」と親子で確認してみましょう。
エネルギーと発電のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の社会では、4年生でくらしをささえる電気などを、5年生で国土の環境や工業とあわせて学びます。中学受験向けの教材では、5〜6年生ごろに地理や時事問題として学ぶことが多い内容です。
発電量のグラフはよく出ますか?
発電方法ごとの割合の移り変わりのグラフは、よく出題されます。2011年の前後で原子力の割合が大きく変わることなど、グラフの変化を理由とともに説明できるようにしておきましょう。
環境問題とどうつながりますか?
化石燃料の使用と地球温暖化の関係は、環境問題の単元でも出てきます。公害と環境問題とあわせて整理しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:ダムにためた水を利用する発電方法を何といいますか。
問題2:火力発電で燃料として使われるものを1つ答えましょう。
問題3:太陽光や風力など、くり返し利用できてなくならないエネルギーを何といいますか。
問題4:地熱発電所が多いのは、どのような地域ですか。
答え
問題1:水力発電です。
問題2:石油、石炭、天然ガスのいずれかです。
問題3:再生可能エネルギーです。
問題4:火山の多い地域です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:発電は「しくみ・立地・課題」をセットで
主な発電方法は、火力・水力・原子力で、それぞれよいところと課題があります。発電所の立地は、燃料の運びやすさや地形などの理由とセットで覚えましょう。資源の少ない日本では、再生可能エネルギーをふやすことや、省エネルギーが大切な課題になっています。