「間ばつをする理由を聞かれて、うまく答えられなかった」「天然の三大美林と人工の三大美林が、ごちゃごちゃになる」
森林と林業は、中学受験の社会の地理で、農業・水産業と並ぶ「第一次産業」として出題される単元です。森林のはたらき、林業の仕事の流れ、主な林業地、林業がかかえる課題などが問われます。環境問題と結びつけた記述問題も出ます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、日本の森林の特色、森林のはたらき、林業の仕事と課題を整理し、家での覚え方をまとめました。
日本の森林の特色
日本は、国土のおよそ3分の2が森林におおわれている、森林の多い国です。
森林は、大きく2つに分けられます。
- 天然林:自然の力で育った森林。ブナなどの広葉樹が多い
- 人工林:人が苗木を植えて育てた森林。スギやヒノキなどの針葉樹が多い
日本の国土の約3分の2が森林。人工林はスギ・ヒノキが中心です。
青森県と秋田県にまたがる白神山地のブナ林や、鹿児島県の屋久島の縄文杉などは、世界自然遺産に登録されている貴重な自然です。
森林のはたらき
森林には、木材を生み出すだけでなく、わたしたちのくらしを守る、いろいろなはたらきがあります。
- 水をたくわえる:雨水を地面にしみこませ、少しずつ川に流す。洪水や水不足を防ぐので「緑のダム」とよばれる
- 土砂くずれを防ぐ:木の根が土をしっかりおさえる
- 二酸化炭素を吸収する:地球温暖化を防ぐ
- 生き物のすみかになる:多くの動物や植物が森林でくらしている
- 豊かな海を育てる:森林の養分が川を通って海に運ばれ、魚や貝を育てる
宮城県の気仙沼湾では、カキの養殖をしている漁師たちが、川の上流の山に木を植える活動を続けてきました。「森は海の恋人」という言葉とともに知られています。
森林は「緑のダム」。水をたくわえ、土砂くずれを防ぎ、二酸化炭素を吸収します。
林業の仕事

人工林の木を育てて、木材として出荷するまでには、長い年月と多くの手間がかかります。
| 作業 | 内容 |
|---|---|
| 植林 | 苗木を植える |
| 下草がり | 苗木のまわりの雑草をかり取り、苗木に日光が当たるようにする |
| 枝打ち | 下のほうの枝を切り落とし、節の少ないまっすぐな木にする |
| 間ばつ | 木が育ってこみあってきたら、一部の木を切って間をあける |
| 伐採 | 大きく育った木を切り出し、木材として出荷する |
例題1:林業で「間ばつ」を行う目的を説明しましょう。
木と木の間をあけて、残した木に日光がよく当たるようにし、太く、じょうぶに育てるためです。間ばつをしないと、木が細く弱くなり、森林の地面にも日光が届かず、土砂くずれが起こりやすくなります。
間ばつは「残した木を太くじょうぶに育てる」ため。切った木(間ばつ材)は、わりばしや紙などに利用されます。
日本の主な美林
| 種類 | 美林 | 都道府県 |
|---|---|---|
| 天然の三大美林 | 青森ひば | 青森県 |
| 天然の三大美林 | 秋田すぎ | 秋田県 |
| 天然の三大美林 | 木曽ひのき | 長野県 |
| 人工の三大美林 | 天竜すぎ | 静岡県 |
| 人工の三大美林 | 尾鷲ひのき | 三重県 |
| 人工の三大美林 | 吉野すぎ | 奈良県 |
木曽ひのきは、長野県の木曽地方を中心とする森林で、昔から寺や神社の建築にも使われてきました。
林業の課題
日本の林業には、次のような課題があります。
- 外国から安い木材がたくさん輸入され、国産の木材が売れにくくなった
- 林業で働く人が減り、高齢化とあとつぎ不足が進んでいる
- 手入れがされずに荒れた人工林がふえ、土砂くずれなどの心配がある
こうした課題に対して、国産の木材を使うよう呼びかけたり、機械を使って作業を効率化したり、間ばつ材を有効に使ったりする取り組みが進められています。
木材の利用と新しい取り組み
木材は、家の柱やかべ、家具、紙の原料、わりばしなど、いろいろなものに使われています。最近は、木材を使った大きな建物も建てられるようになってきました。
また、木くずや間ばつ材を燃料として利用する「木質バイオマス発電」も行われています。木は育つときに二酸化炭素を吸収するので、木を燃やしても、全体として二酸化炭素をふやしにくいと考えられています。
例題2:国産の木材を使うことが、森林を守ることにつながる理由を説明しましょう。
国産の木材が売れると、林業で働く人の収入になり、植林や間ばつなどの森林の手入れが続けられるからです。
木を「使う」ことが、森林を「育てる」ことにつながります。
よくあるまちがいと対策
- 間ばつの目的を「木材を売るため」だけで書く:残した木を太くじょうぶに育てるため
- 天然と人工の三大美林を混ぜる:天然は「青森・秋田・木曽」、人工は「天竜・尾鷲・吉野」
- 人工林を広葉樹が中心と答える:人工林はスギ・ヒノキなどの針葉樹が中心
- 森林のはたらきを1つしか書けない:「水・土砂・二酸化炭素・生き物」の4つを覚える
家庭での覚え方のコツ
身のまわりの木製品を探す
家の中で、木でできたもの(家具、はし、紙など)を探してみましょう。「この木はどこから来たのかな」と話すと、林業や木材の輸入に興味がわきます。
森林の多さを地図で見る
地図帳の土地利用の地図で、日本の森林の広さを確かめてみてください。国土の3分の2が森林であることが、目で見て分かります。
山に出かけたときに観察する
ハイキングやキャンプのときに、手入れされた人工林と、自然の森林のちがいを見てみましょう。まっすぐに並んだスギ林を見ると、人が育てた森であることが分かります。
森林と林業のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の社会では、5年生で、国土の自然環境と森林のはたらき、林業について学びます。中学受験向けの教材では、5年生ごろに地理の単元として学ぶことが多い内容です。
世界遺産も覚える必要がありますか?
白神山地(ブナ林)や屋久島(縄文杉)は、森林と結びつけてよく出題されます。場所と特色をセットで覚えておきましょう。
ほかの産業とどうつながりますか?
森林は、川を通じて海とつながっており、水産業とも関係があります。日本の水産業や日本の農業とあわせて、第一次産業として整理しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:日本の国土のうち、森林がしめる割合は、およそどれくらいですか。
問題2:森林が雨水をたくわえ、洪水や水不足を防ぐはたらきから、森林は何とよばれますか。
問題3:天然の三大美林のうち、長野県にあるものは何ですか。
問題4:苗木のまわりの雑草をかり取る作業を何といいますか。
答え
問題1:およそ3分の2です。
問題2:緑のダムです。
問題3:木曽ひのきです。
問題4:下草がりです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:森林は「はたらき」、林業は「仕事と課題」
日本は国土の約3分の2が森林で、森林は水をたくわえ、土砂くずれを防ぎ、二酸化炭素を吸収するなど、多くのはたらきをもっています。林業は、植林から伐採まで長い年月がかかる仕事で、輸入木材との競争や働く人の不足などの課題があります。美林や世界遺産も場所とセットで覚えましょう。