子供はどうやっても国語の文章を読むのに時間がかかる。一度でも読んだことのある本や作家さんなら文章を読むのにもとっかかりが良くなって、点数が上がるって本当?そもそもよく出る作家さんとか試験によく出る本とか傾向ってあるの?
本を読むだけと言えば読むだけなのですが、受験、試験で1点でも多く取れる可能性があるとなると見逃せないですよね?
どうせ子供がリラックスや気分転換するなら、良質な本を与えて、さらに試験にも役立つような本を買ってみましょう。
本記事のテーマ
中学入試によく出る、読書におススメ本 物語・小説編
ポイント
- 中学入試の国語に出題される本の傾向が分かる
- 読んだことのある本が出題されることのメリットデメリットを知る
- 中学入試によく出題される作家さんが分かる
- 中学入試によく出される本が分かる
中学受験入試の国語の問題は、ほとんどが物語1題、論説文1題、という構成で出題されます。
論説、随筆に関しては、ある程度文体に慣れておくことが重要となりますので、勉強と思ってこちらで紹介している本も買うようにしてください。
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本記事では、こういった内容について紹介していきます。
本記事を読むことで、あなたの疑問や不安を取り除いてくださいね。それでは、さっそく見ていきましょう。
あなたが得られる情報
- 1 中学受験入試の国語で出される本は、傾向はあるのか?
- 2 中学入試の国語で、読んだことのある本が出題されると有利なの?
- 3 中学入試の国語によく出る本をまとめて紹介します!
- 3.1 『ぼくは朝日』 朝倉かすみ
- 3.2 『つぼみ』 宮下奈都
- 3.3 『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』 こまつあやこ
- 3.4 『しずかな日々』 椰月美智子
- 3.5 『人間タワー』 朝比奈あすか
- 3.6 『君たちは今が世界』 朝比奈あすか
- 3.7 『彼女のしあわせ』 朝比奈あすか
- 3.8 『みなさんの爆弾』 朝比奈あすか
- 3.9 『家族シアター』 辻村深月
- 3.10 『サクラ咲く』 辻村深月
- 3.11 『かがみの孤城』 辻村深月
- 3.12 『思いはいのり、言葉はつばさ』 まはら三桃
- 3.13 『鉄のしぶきがはねる』 まはら三桃
- 3.14 『クラスメイツ』 森絵都
- 3.15 『つきのふね』 森絵都
- 3.16 『異国のおじさんを伴う』 森絵都
- 3.17 『とんび』 重松清
- 3.18 『小学五年生』 重松清
- 3.19 『サーカスの夜に』 小川糸
- 3.20 『ツバキ文具店』 小川糸
- 3.21 『あと少し、もう少し』 瀬尾まいこ
- 3.22 『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ
- 3.23 『物語ること、生きること』 上橋菜穂子、瀧晴巳
- 3.24 『世界地図の下書き』 朝井リョウ
- 3.25 『ありえないほどうるさいオルゴール店』 瀧羽麻子
- 3.26 『君だけのシネマ』 高田由紀子
- 3.27 『蜜蜂と遠雷』 恩田陸
- 3.28 『さざなみのよる』木皿泉
- 3.29 『十四歳日和』 水野瑠見
- 3.30 『駒音高く』 佐川光晴
- 3.31 『つめたいよるに』 江國香織
- 3.32 『ペンギンは空を見上げる』 八重野統摩
- 4 まとめ
中学受験入試の国語で出される本は、傾向はあるのか?
中学受験の国語に関しては、出題されがちな本や作家さんの傾向はあります。特に人間の心情や家族のヒューマンドラマ、を扱った作品が多く取り上げられます。問題として心情や状況を問う問題が多く出されるわけですし、そういった出題者の意図に使いやすい本が使われがちですね。
逆に出題されない本の傾向としては、ミステリーやサスペンスの本は出題されませんね。
個人的には、チームバチスタとか子供に読ませたいと思っているんですが、海堂先生の作品が使用されたとかいった話は全然聞きませんね。
あとは時期的なものもあるのですが、文学賞に関して言うと、直木賞作家の出題頻度は高いですね。
まあ理由は当然っちゃあ当然なんですが、直木賞をとるぐらいの作家さん、作品、ってのは当然その質が高いから受賞しているんですよね?
なら、中学受験を出す学校側としても、問題として安心して扱えますし、取り上げやすいですよね。
ただ、芥川賞作家の作品は、出題されている事例は少ないですね。話題の作品、ってことで読むなら、芥川賞よりも直木賞のほうが、中学受験委は向いていると思いますね。後は、吉川英治文学新人賞の朝倉かすみさんもいくつかの学校で取り上げられていましたし、最近注目度が上がっているようにも感じますね
あとは時期的なものでもあるのですが、基本的には中学校の試験問題なんて、夏前にはあらかた作成が終わっており、問題がないかどうかの精査を行っています。
なので、本当に秋口とかに話題になったような作品は、試験問題への組み込みが難しいですし、まず取り上げられない、と思ってもらって良いです。
中学入試の国語で、読んだことのある本が出題されると有利なの?
じゃあ、そもそも本を読んだことがあるぐらいで有利なのかということが気になりますよね。
結論としては、中学入試に読んだことのある本が出題されると、有利だしメリットがあります。
メリットとしては、読んだことのある作品だったり作家さんの文章だと、読みなれていて、問題文を読む時間が短縮される。ってのが大きいですね。
不思議な話なのですが、内容を覚えていなくても、なんとなく特徴的な文体の作家さんの作品って、読んだことがあるかどうかで読む時間が結構変わります。
そういった意味では、明確な利点がありますね。
中学受験の国語で点数が取れていない子供って、そもそも文章を読むのに時間がかかるとか、意味が頭に入ってこない。とかそういったケースが割とあります。
そういった失敗に対しては、読んだことがある文章を出されると、とっかかりがあらかじめ用意されているようで、読む時間が短縮されますね。
じゃあデメリットがないのか?と言いますと、1点だけあります。
それは、ドンピシャで読んで結末まで覚えている作品が出てしまうと、子供が問題文をまじめに読み込もうとしなくなる、って欠点があります。
傍線部の人物の心情を聞かれているのに、結末を知っているから、その結末に合うように人物の気持ちをかってに予想して答えを書いてしまう。って失敗談があり得ますので、その点は注意が必要ですね。
中学入試の国語によく出る本をまとめて紹介します!
ってことで、ここからは中学入試でよく出される本を紹介していきます。
また、過去出題されていなくても、よく出題されている作家さんの関連作品なんかも併せて紹介しています。
もちろん全部読む必要はなく、子供の気分転換として使うなら、ここで紹介する本のどれかでも読んでみて。
ぐらいな感じで、少しずつ子供に読ませてみてくださいね。
ってことで、順番はそこまで意味はありませんが、2020年、2021年の入試で難関校に取り上げられがちだった作品がなんとなく前のほうに来ていると思ってくださいね。
ここで紹介している本や作家さんの本は、基本的にはがくすけが読んだものなので、そのまま感想やあらすじを書いちゃってます。
肝心の内容やストーリーは、基本的にはネタバレしないように考えてますが、万が一少しも知りたくない!
ってひとは、あまり私の感想は読まないで、本を購入しちゃってくださいね。
『ぼくは朝日』 朝倉かすみ
朝倉さんは2009年40歳の男女を描いた『田村はまだか』で第30回吉川英治文学新人賞受賞しています。
筑波大学附属駒場中学校や慶應義塾普通部(日吉)といった学校で、たまたま同一年度に取り上げられましたね。
そこまでベストセラーがあるわけではないのですが、これからの中学受験では要注意作家の一人だと思いますね。
ポイント
1970年の小樽が舞台となります。
驚くほど心根の優しい10歳の男の子の健やかな日々を描いた本作品。
とにかく主人公の共感力や感情の動きの表現が本当に秀逸!!
痛みを抱えた人の身になって苦悩し、どうにかしてあげたいとひたすら願う彼の姿には、心を打たれる方が多いんじゃないかな。
よき昭和、って感じの作品なんだけど、子供でも読みやすい文体や設定で書かれてるのは、流石の一言ですね。
『つぼみ』 宮下奈都
こちらの作品も、武蔵、麻布、と男子東京最難関校で出題されており、これから非常に注目が必要となりますね。
宮下作品は、数も多いし売れてる作品も多いので、的を絞るのは難しいのですが、何冊かは読んでおくのがおススメかもしれませんね
ポイント
「スコーレNo.4」のスピンオフを含んだ短編集になります。
今はまだつぼみだけど、先の開花を予感させるような柔らかな読後感の作品が集まって、このようなタイトルになったんですかね。
個人的には、どの作品も読んだ後に、『現状に感謝し、イマを大切に生きていこう!』と思えるような読後感が味わえました。
正直、入試に出た。ってことで短編集を読んだんですが、宮下さんは短編集もかなり魅力があるし、ぜひとも読んでほしくて人におススメできますね。
長編やシリーズ物が強いと思っていた自分の認識は間違えていた。って思える作品でした。
『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』 こまつあやこ
ポイント
タイトルは不思議な響きがしていますが、57577の意味でマレーシア語。
ストーリーとしては、帰国して友達から浮かないようにひっそりと行動していた主人公さや。
そんな主人公のさやを督促女王のりりこが吟行に誘う。
ってところから、話が展開していきます。・
マレーシア語をひと言入れた短歌がたくさん出てくる。中学生で多様性を題材にした話で突拍子のないように思ったけど、確かに小学生にも何人か文化が違う子も通っているので、これからはこういう友人関係が当たり前になってくるのかも?なんて、思いましたね。
給食の時間に決まっていなくなる子供、ってそもそも宗教的な戒律や事情、なんてなかなか知ってないと思いつかないですよね。
海外転勤、イスラエル教、ハラル、国際結婚、なんて学校では普通になっているのだろう。
最後はみんなで回転寿司に行こうというところで終わるのだが、ちゃんと名前を呼ばれて幸せそうにしているところで終わっているのが、ほっこりと心温まる感じがして妙にうれしかったですね。
『しずかな日々』 椰月美智子
ポイント
母親と離れて、ほぼほぼ初対面のお祖父ちゃんと暮らす内気な少年が主人公。
小学五年生の男の子が親元を離れ、一夏の成長の物語。というと子供向けのように思われますが、少年がこつこつと自分の意志を持って人と関係を築いていく具合に、心が洗われるような爽やかさを持ちました。
表現が丁寧で穏やかで、いつの間にか読んでしまった。
切ない気持ちが込み上げてきて、読んでいてハッピーでした。
『ああ、夏なんだなって、ぼくはこれまでで、きっとはじめて感じた。』
『だれかと一緒にいることが、こんなにたのしいと知ってしまったのに、ひとりぼっちに戻るのは大変なことなんじゃないだろうか』
なんて、小学生当時にここまで思いを広げることができただろうか?
と自分に問い返したくなる内容でした。
心穏やかに読める、ぜひとも再読したいと思える作品です
ちなみにこの作品、本当にコンスタントに毎年毎年、どこかの私立中学で使われている本当に良作。
とりあえず、読んだことがない人は、ぜひとも一度は目を通しておくことをおススメしますね
『人間タワー』 朝比奈あすか
朝比奈さんと言えば、中学入試の定番中の定番、って感じでかなり読まれている方も多いんはないのかな~。なんて感じますね。
まあどの作品を読んでも、人間のつながりをしっかりと重視した文体で書かれており、読みごたえも十分なので、取り扱われても当然、って感じですかね。
ポイント
テーマとしては、一時期マスコミなどでもひんぱんに取り上げられた、小学校の運動会の組み体操。
舞台となる小学校は、正直言って非常に平凡な学校。
ですが、学校には、他にはない「非凡な」もの、誇りをもって誰もが自慢するものがありました。
運動会で、6年生たち全員参加で執り行われる、一糸乱れぬ「組み体操」の完成度です。
特に、大技中の大技、仕上がりが10メートルを超す「人間タワー」は大スペクタクル。地元ニュースペーパーがピックアップした上、全国放送のTV局で特番を制作する。という計画さえたてられたほど。
ただ、そんな誇りをもって取り組んでいた組体操ですが、世論の組み体操は危険なので取りやめるべき、という流れに飲み込まれ、学校関係者の中でも、意見が分かれ始めます。
そんな中、転校してきた生徒を中心として、子供や親、教師との人間ドラマが加速していく。
ってな感じの作品になっていますね。短編集かと思いきや、ストーリーがつながっていく感は、読んでいて爽快感を味わえますね
『君たちは今が世界』 朝比奈あすか
ポイント
崩壊してしまったクラスを去る担任が言い放った「皆さんはどうせたいしたおとなになれない」という言葉。
それでも懲りない子どもたちの幼い心。
現代の学校が置かれた環境の難しさ、子供の教育の難しさ、というものが朝比奈あすかさんのきれいな文体であっさりと書かれてあるのが、よりリアルに感じて、生々しい。
とはいえ、しっかりと心温まる、あったかなお母さんが登場人物として出てきて、子供の心のケア、自己肯定感を高めるような声掛けやかかわり方で、最後にはようやく救われた~
なんて、思えるような作品ですね。
『彼女のしあわせ』 朝比奈あすか
ポイント
3人姉妹とその母親、ひとつひとつのなんのわけでもない平凡な日常とも言える。
そこまで、大きなドラマは無いのに、最後まで飽きさせずに話が展開されていきますね。
長女は美人で副部長にもなったが独身。バリバリのキャリアウーマン。
次女は専業主婦で田舎で母親をやってる。
最後に三女は子供が産めない身体だが、あらかじめ旦那に理解され結婚した。
母親は父に不満を覚えて家をでた。
なんて、そこまで不幸でもないんだが、若干何かが足りずにイマイチ何かを抱えている。なんて設定で人物の心情が描写されていきます。
あっと驚くようなどんでん返しなんかは全くなかったのですが、それでも読んだ後にそれなりに満足感を味わえる作品でした
『みなさんの爆弾』 朝比奈あすか
ポイント
女性作家が語り手として進行・展開している短編集。
感覚が一般的でない主人公たちが尻込みしたりどうしてよいかわからなくなったりする様子が超・リアルな短編集です。
どの話もそれぞれ設定やテイストが異なっており、飽きることがなかった。わたしの爆弾ってなんだろうと考えながら読むのもおもしろいですし、読みながら自分のことを振り返りさせるような作品になっていますね。
そういった意味では、小学生というかは、中学受験を終了した後の思春期を迎える中高生に読んでほしいと思えるような作品ですね。
『家族シアター』 辻村深月
もう説明はいらないぐらいの作家さん、辻村深月さん。
正直、いくつかの作品のエンディングは救われないというかほっこりしない作品がいくつかあるのが気になるところですが、とはいえ、あたたかい人間ドラマを書かれてある作品が多いのが特徴ですね。
子供に読ませるときは、ある程度親の方で厳選してから読ませるようにしてくださいね。
ポイント
自己中心的な登場人物の言動行動や兄弟姉妹仲が悪かったりと、どの話も最初はイライラさせられるけれど、最後は、ほんのり温かい気持ちにしてくれる7つの家族の短編集ですね。
本当に、この人は近しい間柄というか家族や兄弟のどろどろとした黒い感情を描写するのがリアルすぎる。って本当に感心させられますね。
とはいえ、この短編集に関しては、最後にはしっかりと救われるような幕引きをしてくれているので、子供にも気軽に読ませてもよいかな~。
って感じましたね。
『サクラ咲く』 辻村深月
ポイント
少年少女の青春をリアルに描くことに定評がある著者が、若美谷中学・高校を舞台に若い読者向けに贈った三編から成る一冊。正直辻村深月ワールド全開で、いじめなどの方向に行くかと思いきや、読了感のさわやかな話だった。
表題作の『さくら咲く』は自己主張ができないマチが、1年間でそれを飛び越えて成長していく物語。『約束の場所、約束の時間』で療養のため未来から来た悠と友だちになった朋彦が、『世界で一番美しい宝石』の主人公の父親として登場し、悠の病気を治す研究に成功するところに熱くなった。
辻村深月さんの、伏線を回収しながら、話が複雑に展開していくところは、本当にみごとの一言ですね。
解説に「十代でこの一冊に出会えた人の何と幸せなことか」と書いてあるが、本当に自分もその時代に出会いたかった。と思える一冊。
だが正直に言うと、思春期の反抗期の時にこの作品を読んでも、そこまで刺さるとは思えない。
できれば、小学生がこういった作品を読んで、すなおに中学高校生活を想像するような読書ができれば、素敵なんだと思いますね。
『かがみの孤城』 辻村深月
ポイント
中学生、思春期の複雑な感情をリアルに表現しているのがこちらの本作品。
わかりやすく、難しくない文体で緻密に描かれており、非常に引き込まれますね。
自分が中高生の10代の頃に読んでいたらすごくはまっていただろうなぁ~。と、思ったのが本作品ですね。
ほのぼのと面白い、ってだけで終わらせないのが辻村深月ワールド。
ストーリーとしては、いじめや不登校を題材にした本作品。
学校に行けないこころの心情、鏡の城で知り合いになった、おそらく同じ境遇の歳の近いこども達と育む友情、不思議な城の真相、どこのシーンを切り出しても素晴らしい話。
『閉場』まで読んでプロローグとの繋がりに嬉しくなり、エピローグで更に感動。
学校生活、友達関係に悩みを持っている人にもぜひとも読んでほしいと思える作品です。
コミックス化もされており、非常に注目度の高い本作品ですね
『思いはいのり、言葉はつばさ』 まはら三桃
ポイント
作品の設定としては、中国の男尊女卑バリバリの時代背景の中での作品。
『辛いときは、書きましょう。苦しいときは、歌いましょう』
結婚があんまり楽しい出来事ではなく、辛い思いを強制された時代に生きた女性たちが登場人物となります。
こども時代から苦しみを強いることを「忍耐力」とセリフをすり替え、さも美徳をつんだみたいに結婚へのステータスにされてしまう。
そんな悪しき風習が『纏足(てんそく)』として根強く残っており、貴族だけでなく、農村部など広い国土でまんべんなく行われていた文化や風習。
そんなつらい状況でもたくましく幸せに生きようとする女性の心情が描かれた作品です。
『鉄のしぶきがはねる』 まはら三桃
ポイント
この物語は、北九州の工業高校に通う女子高等学校を描かれた作品となります。
リケジョ、理系女子、という言葉が今では一般的になりましたが、この作品では工場女子。って感じの作品です。
実家が金属機械の加工業だったが、ある事情があり、コンピュータ関係のクラブに入っている。
学校内の旋盤に触れた事から、過去の懐かしい音、匂い、そこでもう一度金属加工の世界に戻されてくる。
鉄の持つ魅力、その断片の美しさ、それを旋盤で生産していく過程、とモノづくりの原点を、女子高生の目を通してみんなに表現するような作品になっています。
理系エンジニアとして仕事をしている私も、図面を引いてモノづくりの最前線に久々に行ってみようかな~^^。
なんて思ってしまうような読後感ですね。
『クラスメイツ』 森絵都
この方の作品、本当にほっこりとした気分が味わえるので好きなんですよね~~。
基本的には、どの作品も安心して気軽に読める。って点では、子供にもおススメしやすい作家さんだと思いますね。
ポイント
24名の生徒たちが順番に主人公となって出演するこの作品。
「前期」では、四月に入学した24名の生徒たちの人間関係が次第に生成されていく過程を、とても興味深く確認できました。最初の様子見からくっついて離れて、といった新学期特有の雰囲気が、優しいタッチで描かれているのは、流石ですね。
そして、まだ視点が差し替わっていない12名の生徒たちにおきましても、他の生徒視点の会話の中で数多く登場してきます。そこは、興味をしっかりとひきつけながら、飽きさせずに後半につなげていくのは、やっぱり人気作家さんだな~、なんて思いましたね。
ただ、普段の森絵都作品との比較で行くと、少したんぱくというかあっさりしすぎている感がありましたね。まあ登場人物も多いし、各自にフューチャーして物語を進行させる以上は、一人一人の描写が弱くなってしまうのも仕方ないのかもしれませんね。
『つきのふね』 森絵都
ポイント
中学生さくら、お節介な勝田くん、やんわり精神を病む智さん。仲違いした親友梨利。みんな一歩踏み出すことがこわい。
と、少しいびつな関係の人間模様。
誰しもが、何らかのきっかけで狂うことがある。って表現が、なかなか厳しく感じました。
ただ、中学生の繊細な感情を、非常に短く端的に表現して最初から最後まですごい勢いで走り抜けていくような作品になっています。
一気に最後のラストの手紙までたどり着いてほしいな~、なんて思っていますので、興味のある人はポチっておいてね。
『異国のおじさんを伴う』 森絵都
ポイント
森絵都さんと言えば、いつもあたたかな気持ちにさせてくれる、本当に安心して読める数少ない作家さんの一人。
こちらの作品はそんな中でも、飛行機の中の一本の映画を取りまく話。
短編集ということで軽い気持ちで購入したのですが、何度も読み返したくなる宝物にたまに出会えるから、短編はやめられないですね。
ってことで簡単にストーリー展開。
時空を越えて、あちらこちら旅してきた気分。十篇の不思議な物語。
扉の向こうに10種類のまったく違う世界が広がりを見せている。
どれもこれもいい出来でしたけど、お気に入りは「クリスマスイブを三日後に控えた日曜の…」「竜宮」「桂川里香子、危機一髪」あたりが、面白く感じました。
とはいえ、正直、どの短編も内容としては及第点以上のレベルにあるので、買って損はしないし、軽い感じで時間なくても気分転換に読める作品ですね
『とんび』 重松清
中学受験の頻出作家、としてはあまりにも有名な重松清さん。2020年近辺にはようやく落ち着いてきた感がありますが、
2010年~2015ねんあたりは、ほんとうにいろいろな学校でよく出題されていましたね。
だいたい中学校の入試って5年ぐらいのサイクルで切り替えていっている感じがするので、ソロソロ2022年度入試には出されそうな気がするんですよね~
ってことで、何冊かどんどん紹介していきますね。
ポイント
昭和後半のぶきっちょな備後の男。男一つで息子を育てる、その過程が山あり谷ありなのが、重松さんだからこそ。
だけどそこの子供を、地域の人たちも一緒になって見守る。子供はその地域で育つ。
なんて、最近はめっきり減ってしまった、地域コミュニティを中心とした子育てを、不器用なお父さんとまっすぐ育った優しい子供、という視点で描かれています。
そして大きくなって巣立つシチュエーション。そういう風にして親離れとなっているのかあ。ラストまで不器用さを通しながらも、少し柔和になった主人公に胸熱でした。
息子に向けたストレートで不器用な愛情に終始目頭が熱くなる作品だった。 雪の中での和尚さんの話に涙腺崩壊。
『小学五年生』 重松清
ポイント
一話一話のボリュームは非常に短く、アッという間で10分もあれば読める17の短編集。
起承転結の転結が無く終了というどこか物足りない話もあり巧拙混在という印象ですが、子供の心理が丁寧に表現されているところは、子育て世代には刺さると思いますね。
主人公は小5。
大人からすれば子供だけど、確実に環境の変化なども心の成長へと切り替えていく主人公の心理が丁寧に表現されています。
ささやかながらの日常が、泣きたくなるような切ない出来事に変化していく姿がシンプルに楽しめますね。
まだまだ子供なんだけれど、異性が気になったり、家族への気持ちや見方の変化を丁寧に表現している本作品。
なんとも言いがたい宙ぶらりんな感情文章も、題材も、内容も、素晴らしいから、多くの中学入試の国語問題に選ばれるんだろうな。
って納得感のある作品ですね。
すごく読みやすくて、大人も子供も読んでほしい作品です
『サーカスの夜に』 小川糸
紅葉学院や東邦大学付属や日本大学、といった幅広い中学校の入試問題で取り上げられている本作品。
どの作品を読んでも、心温まる、若者向けエールが満載の小川糸ワールドは、確かにおススメの作品ですね。
ポイント
ものすごい疾病が治ったら薬が原因で身長が10歳で伸びなくなってしまったという悲しい身の上の少年の話です。
家を飛び出してサーカスに入団し、パフォーマーの個性に触れながらステップアップしていく。
便所掃除から始めて、途中から移籍したナットーの活躍をじっくり見て、自分も同じく綱渡りに励む構成となっているが、前者の分量が圧倒的に濃密で、パフォーマーとして演じる苦悩よりもサーカスと直面する人々の姿勢に重点が置かれる。
「酔わなきゃ生きていられないときがある」「仕事ってものはたいてい苦しくてつまらないもの。その中から小さな喜びややりがいを見出すことに意味がある」「運命との和解」なんて、名言も多くありますので、やっぱり若い中高生あたりに触れてほしいと思てる作品となっていますね。
『ツバキ文具店』 小川糸
ポイント
読み終わった後の率直な感想としては、凄く温かい気持ちになったというわけです。
もう会えない先代に対するポッポちゃんのやりきれない後悔や失念。そんな後悔の気持ちを時折感じてでも、鎌倉で一緒に生活を一丸となってする愉快な住人達の平和で面白おかしくて穏やかな時間が、拝見していてとてもいい感じで好きでした。
ストーリーとしては、鎌倉でツバキ文具店を 先代(祖母)より継承された 鳩子 通称ポッポちゃん。
文具店と代筆屋を営むポッポちゃんの物語。
手紙が実際に読める点が凄く気持ち良くて、次はどんな字でどんな内容が読めるのかワクワクしながらページをめくりました。
表現が綺麗で思わずメモしたくなる文章も沢山ある本作品。
例えば、「焚き火に手を当てている時みたいな温もり」この表現が優しくて柔らかくて気に入っています。私もスマホやLINEだけでなく、久々に両親に手紙を書いてみようと思います。
ゆっくりと子供の文章を読める、面白い作品となっていますね。
『あと少し、もう少し』 瀬尾まいこ
コンスタントにヒット作品を出し、評価の高い瀬尾まいこさん。
特に良質な文章は、文学賞レースでもかなりの強み。
坊っちゃん文学賞大賞、吉川英治文学新人賞、と若手としては順調すぎる受賞歴を持ち、着実にステップアップを図り、2019年の本屋大賞も受賞。
今後、確実に伸びていくし、おそらく題材にされるであろう作家さんの一人ですね。
ポイント
6人の中学生が中学生だからこその心の葛藤や人との距離感、踏み込んでも良いかダメかの悩みを内包しながらの青春物語。
駅伝は特に個人であるにもかかわらずチームスポーツでもある、特殊なスポーツ。 個人の集まりがチームと言えるし、チームがあるがゆえの個人でもある。
一人一人の思いに触れていきながら、成長を遂げ、人としても競技としても目標に向かっていくと同時に物語が進んでいくのが読んでいて最高でした。
本書は是非一気に読みきって欲しい。というか、続きが気になって、どんどん読み進めちゃう作品ですね。 時系列ではなく、襷が繋がっていくという感じの描かれ方が非常にテンポもよく、飽きさせずに一気に最後まで展開していくのは、爽快の一言!
『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ
ポイント
親の都合で、中高生の間に両親が何度も変わる環境での子供を主人公とした本作品。
普通に性格の良い人々で構築されたパーフェクトワールド。
人間模様ながら、シビアな関係や酷い圧力などなく、丘を越え森を抜ける程度の適度な冒険感でラストまでやさしい気持ちで読み進められた。
友達からのイジメ、どん底展開、母親失踪、病気など、シリアスな展開への伏線が数多くあったが、結局はそんな話には一切進まず。
正直、状況設定というか親子関係がコロコロ変わる。ってのはそもそもどうなの??
なんて、疑問を持ちながら感情移入できずに読み始めたが、人物の人の好さ、心の温かさ、と、とにかく素敵な世界が目の前に繰り広げられ、ほっこりとする作品。
2019年本屋大賞を受賞した本作品、ドラマも特に起こるわけではないのだが、それでもこれだけの支持を集めたということは、みんなの心がほっこりとした。ってことだと思います。急いで読み進める感じではなく、のんびりとゆっくりとしながら、心が癒されたいときにぜひとも読んでほしい作品です!
『物語ること、生きること』 上橋菜穂子、瀧晴巳
ちなみにこの作品、女子最高峰の桜陰、男子最高峰の灘、と両方で取り上げられている作為品です、。それ以外にも、神奈川学園や東京女学館、といった様々な学校で取り上げられている作品。
まあ、これだけ使われたらなかなか出てくるとは思えませんが、それでも可能性はあるので、一度は読んでみておいても良いかもしれませんね
ポイント
精霊の守り人で有名な上橋菜穂子さん、この作品ではそんな彼女がどうやってこれだけの文章を紡ぎだせるようになったのか?
なんてことを、幼少期の本の虫だった少女時代からの思い出とともに振り返るエッセイ作品になっています。
児童書の作品が多い著者。
どうやったら、上橋さんといった様な作家になれますか?というような子供に質問された際に、「自分の人生そのものを語るべき」、という回答を示すために作者の生い立ちを一冊にしたのがこちらの作品。自分は嘘が書き上げられないからと、様々な経験を若い時から買って出て、駆け抜ける様は本人は大変そうだったけれど、爽快でもあった。
ただ、上橋さんが恵まれた環境にいたことは紛れもない事実。
そこのところをあまり意識せずに、淡々とこうやったら作家になれるんだよ~、
と書かれてるようにも読み取れるので、反感をもって読後感がイマイチな人も多いと思います。
上橋さんの作品はそこまでハマるわけでもなく読みやすいとも思っていないのだが、このエッセイは、作家がどうやって出来上がっていくのか?
なんて舞台裏が見えるようで、なかなか楽しめましたね
『世界地図の下書き』 朝井リョウ
ポイント
それぞれの事情を抱えた子供たち。 乗り越えがたい理不尽や自分の努力で変えられないものっていっぱいある。
いじめられたら逃げればいい。笑われたら笑わない人を探しに行けばいい。うまく行かないと思ったら相手が本当の家族だとしても、離れればいい。そのときの誰かに、逃げたって笑われてもいい」
逃げることが肝心な時が人生にはあり得ます。
逃げてもいいし、何度失敗したってOK。立ち上がる・やり直せる気持ちがあったなら新しい世界ができるのだから。
正直読むまでは、内容薄めの青春児童文学かしら・・?なんて思って読みだしたのですが、全然中身は違いましたね。
しんどい思いをしている子供たち、全員に読んでもらいたいと思てる素敵なエールがたくさん散りばめられており、文体は非常に平易で読みやすいので、小学生高学年ぐらいで、チャレンジして読んでほしいと思える作品です。
『ありえないほどうるさいオルゴール店』 瀧羽麻子
ポイント
心の中の思い出の伴奏はどんな曲だろう。
タイトルとは裏腹に静かで穏やかな空間にオルゴールの音がひっそりと流れてるようなそんな感じがする。
この作者の中でも、とりわけ好きな作品ですね。
ストーリーとしては。小さなオルゴール店にやって来る人たちの心の中に響いている音楽が聞こえる耳を有している店主さんのお話(でも主人公として、注目されているのはお客様)。
どれも一つ一つが優しい短編集。北の町にひそかに佇むその店は、耳がとっても良い店主が、心で流れ、聴こえる音でたったひとつとなるオルゴールを作ってくれる。
舞台設定については特にふれてないけど、個人的には小樽の運河、を思い出しながらのんびりとした気分になって、ほっこりとさせてくれる作品ですね。
ってか、全然うるさくないし!!!ってこうやって紹介文を書いていて、とりあえず突っ込んでおきますね笑
『君だけのシネマ』 高田由紀子
ポイント
たしか夏休みの読書感想文のテーマにも取り上げられていたと思える本作品。
母親の過干渉ぶりに自分の子育て期を思いだし、ドキッとした。このママさんははっきりとわかるように行き過ぎだけど、匙加減もどうしたら良いかわからないよな。なんて、子供だけでなく、親も自分の子供への態度をぜひとも考えて見つめなおすきっかけとしてほしい本作品。
中学受験は、特に親が過干渉になりがちなので、そういった意味でも、適度な距離感を改めて考えさせられましたね。
ストーリーとしては、自分の夢を押し付ける親は、子どもがどれだけ悩んでも感付かない。
「あなたのため」という大義名分で、自分の望み通りのわがままをカムフラージュしてしまう。
史織の場合、救いとなるのは父と祖母。
母から逃走することになると悩む彼女を受け入れ、ミニシアターを手伝うことで、存在意義、やるべきことを与えてくれる。
しかしそんなお手伝いを始めるだけで何もかも丸くおさまるほど甘くはないのが世の中だし、作品の中でもそれだけでは終わりません。
史織がその中で役にたてることには限りがあるし、それでも本当に行うには、大変な勇気と心の葛藤が必要だったはずだ。そんな中、自分が本当にやりたいことに気づくため、心の中を見つめなおして成長していく、思春期ならではのテーマです。
『蜜蜂と遠雷』 恩田陸
ポイント
直木賞と本屋大賞のダブル受賞しただけあってすごく面白い。
映画化もコミックス化もされて非常に話題作であり、ここまでの知名度の作品は出題されないのかと思いきや、意外と中堅校では読みやすい作品、ということで、何度か出題されていますね。
ストーリーとしては、音楽をテーマとした本作品。自宅に楽器を持たない養蜂園の少年・風間塵、天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜、楽器店勤務のサラリーマン高島明石、優勝候補のマサル、天才たちによる競争という名の自らとの闘い。
心情がとてもわかりやすい表現でした。
恩田陸さんは、こういう少し陰を背負った主人公の人間ドラマを描くのが本当にうまいですね。自分が置かれた状況における苦悩、トラウマを的確に表現し、そこから救われる人間の成長を描き上げ、しかも分かりやすい文体なのがすごいですね。
『さざなみのよる』木皿泉
ポイント
野ブタ。をプロデュースなどの脚本家として知られる木皿さん。
この作品も読む前はエンターテイメント性のある作品のかと思いきや、人の死をテーマとした作品であり、最初もった印象とは全然違う中、読み進めていきました。
ストーリーとしては、ある晩1人の女性が癌で亡くなるところから話が展開していきます。
そのことが、さざなみが存在するようにジワジワと誰かの心に触る。
違う人の視線で語られてく短い章を読み進めていくたびに、なすみさんがジワジワと好きになっていき、読み終わるころには、すっかり成長を応援するだけのただのファン、というか親戚のおじちゃん、ぐらいの不思議な感じで応援しながら読み進めていきました。
生存しているってなんだろう。何かを渡して、何かをもらう。私も誰かにそういったさざなみを与えられただろうか。もちろん生きているだけで子供は十分なのだが、そんな子供に対して、自分がもし早くに亡くなった時に、どれ絵だけのことを残してやれているのだろう。。。なんて、自分の人生の意義を見直すことになりました。。
『お金にかえられないものを失ったんなら、お金にかえられないもので返すしかないじゃん。』
なんて、象徴的なセリフもありますが、どうにもならないことがあるからこそ、普段を大切にして生きていこうと思えた作品でしたね。
『十四歳日和』 水野瑠見
ポイント
形式としては連作短編集というくくりになる本作品。どちらかというと、児童文学、というくくりで対象年齢は小中学生、ぐらいの少し低めの作品ですね。
個人的には最初の『ボーダレスガール』が見事でしたね。中学入学を機にイメージを一新し、華のない親友との距離が開いた主人公。
中2になった彼女が、手間ひまかけてゲットした地位を捨ててまで進むと決めたのは、周囲からは意外に見受けられる道なのでした。
うしろめたい気持ちを乗り切った先にある友情の物語。全てが丸く収まらないところにリアルさを感じましたね。
漫画では、都合よく主人公が中学デビューを決めて恋愛まっしぐら、みたいな展開が多いのですが、それだけで終わらないところが、この作者の魅力なんだろうな~、なんて思いましたね。
『駒音高く』 佐川光晴
ポイント
将棋にまつわる短編集がこちらの作品。最近は藤井プロ出現以来話題になることも多く、今度も取り上げられる可能性が高いと思いますね。
感想としては、プロ棋士、プロを目指す奨励会員、更にその前の段階の研修会員を描いたものもよいが、将棋会館の清掃員や観戦記者といった、将棋との距離が遠い人を思い描いた作品がより心に残った。こういう、わき役というか人の目に映らない人物をしっかりと正しく描写できるのは、本当に素晴らしい実力なんだと思いますね。
奨励会で初段、二段、と非常に才能あふれる登場人物が集まっている世界なのですが、そうなると当然勝ち続けられない子供が多く、神童と地元で騒がれても奨励会ではただの人。それどころは下位クラス・・・
なんて挫折感の描写が本当に半端ない。中学受験をすることで心が折れ、気持ちが盛り下がっている子供も多くいると思うのだが、この作品のように努力し続けられる姿勢をぜひとも子供にも身に付けてほしいと思いながら読み進めていきました。
『つめたいよるに』 江國香織
ポイント
中学受験に出るのはもちろん、高校や大学受験、センター入試、と幅広く取り扱われているのがこちらの作品。
正直、あまりにも多くの入試問題で取り扱われたので、2010年あたりを境に出題学校は減っています。
作品の構成としては短編集で構成されており、文章も一つ一つが独立して内容を理解することが可能となっています。
入試問題の問題として、物語の背景描写やストーリを把握してなくても読解することが可能なので、どこでも切り出して問題を作りやすい作品です。
今後も定期的に出題されると思いますし、熟語や慣用句などの意味を聞く問題の例文としても取り扱われる可能性があるので、一度は読んでおいてほしい作品です。
『ペンギンは空を見上げる』 八重野統摩
ポイント
基本的には中学入試の出題傾向として、ミステリー作品が出ない!って結論には変わりありません。
ただ、八重野さんの各作品は文章描写が非常にキレイであり、よくよく読んでみるとミステリーの序文だった、なんて感じで入試問題として出題されていることがあります。
中身のおどろおどろしい
まとめ
いかがでしたか?
ここではいくつもの作品を載せていますが、本当にどれも子供にも親にも読んでほしいと思える作品ばかりを集めてきました。
もちろん中学受験対策、ということで読むのでもよいですが、それ以上に、そもそも本自体が面白い!
というきっかけになってくれれば良いな~、なんて思って、いくつもの本を紹介させてもらいました。
繰り返しになってしまいますが、ここまでで説明してきた内容を、簡単にまとめておきますね。
ポイント
- 中学入試の国語は、読みやすく人間ドラマを描いた作品が良く出されている
- 直木賞作家の作品は、近年は良く取り上げられている
- 読んだことのある本が出題されることのメリットデメリットを知る
- 中学入試によく出題される作家さんが分かる
- 中学入試によく出される本が分かる
中学受験となると、どうしても遊び時間や気分転換の時間も削って勉強を詰め込みがちですが、そんな勉強方法は、2年や3年と言った長丁場を続けることは不可能です。
もちろん成績を上げて良い学校に行かせたい!って焦る気持ちをなくせとは言いません。
ですが、結果として、子供が立派な大人に成長してもらう手助けになるのを期待しているのが中学受験だと思います。
気分転換にもなりますし、大人になっても絶対に身に付けさせておきたい生活習慣ですので、子供のころから本がある生活を子供に与えてあげてくださいね。
子供がまねをしやすいように、まずはお父さん、お母さんが購入して本棚にここで紹介した本をそろえて、どんどん読んで、感想を子供にも伝えてあげてくださいね。
中学受験入試の国語の問題は、ほとんどが物語1題、論説文1題、という構成で出題されます。
論説、随筆に関しては、ある程度文体に慣れておくことが重要となりますので、勉強と思ってこちらで紹介している本も買うようにしてください。
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