「当選確実の票数を出す式は覚えたけれど、どうして+1するのか分からない」「開票のとちゅうの問題になると、どの候補者と比べればいいのか迷う」
投票算は、中学受験の算数で、選挙やクラスの役員選びを題材にした問題として出題されます。何票とれば必ず当選できるかを、「いちばん不利な場合」を考えて求めます。式を覚えるだけでなく、その理由を理解しておくと、条件が変わっても対応できます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、投票算の基本の考え方と、よく出るパターンの解き方をまとめました。
当選確実とは
「当選確実」とは、残りの票がどのように入っても、必ず当選できる状態のことです。投票算では、自分にとっていちばん不利な場合を考えて、それでも当選できる票数を求めます。
投票算は「いちばん不利な場合」を考えます。それでも負けない票数が、当選確実の票数です。
1人を選ぶ場合
例題1:40人のクラスで、学級委員を1人選びます。1人1票で投票し、全員が投票します。何票とれば必ず当選できますか。
いちばん不利なのは、自分以外の票がすべて1人の相手に集まる場合です。自分と相手の2人で40票を分けると考えます。
40÷2=20なので、20票では相手も20票で同じになるおそれがあります。20票より1票多い21票とれば、相手は最大でも19票なので、必ず当選できます。当選する人数が1人なら、投票総数の半分より多い票が必要です。
2人以上を選ぶ場合

例題2:40人で、代表を2人選びます。1人1票で投票し、全員が投票します。何票とれば必ず当選できますか。
2人が当選するので、自分が落選するのは、自分より票が多い人が2人いるときです。いちばん不利なのは、自分と、ほかの2人の合わせて3人に票が集まる場合です。
40÷3=13あまり1です。13票では、ほかの2人が14票と13票になると、自分が落選するおそれがあります。14票とれば、残りは26票で、ほかの2人がどちらも14票以上になることはできません(14+14=28で26をこえる)。14票で必ず当選できます。
当選確実の票数は「投票総数÷(当選する人数+1)」をこえる最小の整数。わり切れたら、その答えに1をたします。
なぜ「当選する人数+1」でわるのか
2人当選なら、自分をふくめて3人で票を争う場合がいちばん不利だからです。その3人が同じ票数になる場合を考え、それより1票でも多ければ、自分より多い人は2人までしか出てきません。
1人が2票ずつ投票する場合
例題3:30人が1人2票ずつ投票して、2人を選びます。同じ人に2票入れることはできません。何票とれば必ず当選できますか。
投票総数は30×2=60票です。60÷3=20なので、20票では、ほかの2人も20票になって同じになるおそれがあります。21票とれば必ず当選できます。
1人が何票も投票するときは、まず「投票総数」を求めてから、同じように考えます。
開票のとちゅうで考える問題
例題4:30人で1人を選ぶ選挙で、20票を開票したところ、Aが10票、Bが7票、Cが3票でした。Aは、あと何票とれば当選が確実になりますか。
残りは30-20=10票です。Aにとっていちばん不利なのは、Aに入らなかった残りの票が、すべて2位のBに入る場合です。
Aがあと□票とると、Bには最大で(10-□)票入ります。
- Aがあと3票:Aは13票、Bは最大7+7=14票で、負けるおそれがある
- Aがあと4票:Aは14票、Bは最大7+6=13票で、必ず勝てる
答えは、あと4票です。実際に、あと4票とった場合と3票の場合を表にして、Bの最大の票数と比べると、ちがいがはっきりします。
とちゅうの問題は、2位の候補者に残りの票が全部入る場合を考えます。
最初から考える方法との比較
30÷2=15なので、16票とれば、ほかの票の入り方にかかわらず当選できます。しかし、開票のとちゅうでBが7票しかないと分かっているなら、あと4票(合計14票)で当選確実になります。とちゅうの情報があるときは、2位の候補者と比べる方法を使いましょう。
よくあるまちがいと対策
- 「投票総数÷当選する人数」でわる:当選する人数に1をたしてからわる
- わり切れたとき、その数で答える:同数になるおそれがあるので、1をたす
- 1人2票の問題で、人数でわる:先に投票総数を求める
- とちゅうの問題で、3位の候補者と比べる:いちばん不利なのは2位に全部入る場合
家庭での教え方のコツ
おはじきで票を分ける
おはじきを40個用意し、3人で分けて、14個とった人が必ず上位2人に入るかを試してみましょう。「いちばん不利な分け方」を自分で探すと、+1の意味が分かります。
クラスの選挙で考える
学級委員や代表を選ぶときに、「何票あれば確実か」を話題にしてみてください。身近な場面なので、問題の意味がつかみやすくなります。
表で候補者の票を整理する
開票のとちゅうの問題は、候補者ごとの票数と残りの票数を表にしてから考えると、まちがいが減ります。
投票算のよくある質問
何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、5〜6年生ごろに、条件整理や場合を考える問題とあわせて学ぶことが多い単元です。
推理の問題とどうつながりますか?
「いちばん不利な場合」を考えるのは、条件を整理して場合分けする考え方と同じです。推理(条件整理)の問題もあわせて練習しましょう。
社会の選挙とも関係がありますか?
はい、選挙のしくみやドント式の計算は、社会の公民で学びます。選挙のしくみもあわせて読むと、題材のイメージがわきやすくなります。
練習問題にチャレンジ
問題1:45人で1人を選びます(1人1票、全員が投票)。何票とれば必ず当選できますか。
問題2:45人で2人を選びます(1人1票、全員が投票)。何票とれば必ず当選できますか。
問題3:60人で3人を選びます(1人1票、全員が投票)。何票とれば必ず当選できますか。
問題4:40人で1人を選ぶ選挙で、30票を開票したところ、Aが14票、Bが11票、Cが5票でした。Aはあと何票とれば当選確実ですか。
答え
問題1:45÷2=22あまり1なので、23票です。
問題2:45÷3=15でわり切れるので、16票です。
問題3:60÷4=15でわり切れるので、16票です。
問題4:残りは10票です。あと3票ではAが17票、Bが最大18票で負けるおそれがあり、あと4票ならAが18票、Bが最大17票なので、あと4票です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:投票算は「いちばん不利な場合」で考える
投票算は、自分にとっていちばん不利な票の入り方を考えて、それでも当選できる票数を求めます。基本は「投票総数÷(当選する人数+1)」をこえる最小の整数です。1人が何票も投票するときは投票総数を先に求め、開票のとちゅうの問題では2位の候補者に残りが全部入る場合を考えましょう。