「木の影がかべにかかる問題で、かべの部分をどう計算すればいいか分からない」「街灯の影の問題になると、太陽の影と同じように解いてまちがえる」
影の問題は、中学受験の算数で、相似(形が同じで大きさがちがう図形)を使う問題として出題されます。太陽の光でできる影と、街灯の光でできる影では、考え方が少しちがいます。光の進み方を図にかけるかどうかが、正解への分かれ目です。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、影の問題の基本の考え方と、よく出るパターンの解き方をまとめました。
太陽の光でできる影の基本
太陽はとても遠くにあるので、地上にとどく太陽の光は、平行に進んでいると考えます。そのため、同じ時刻なら、ものの高さと影の長さの比は、どのものでも同じになります。
例題1:ある時刻に、長さ1mの棒を地面に垂直に立てると、影の長さは1.5mでした。同じ時刻に、木の影の長さは6mでした。木の高さは何mですか。
棒の高さと影の長さの比は、1:1.5=2:3です。木の高さと影の長さの比も2:3なので、木の高さは6×3分の2=4mです。
太陽の影は「同じ時刻なら、高さ:影の長さが一定」。棒の比を、ほかのものにそのまま使います。
かべにうつる影

木と、少しはなれたかべがあり、木の影の一部がかべにうつることがあります。
例題2:例題1と同じ時刻に、別の木の影が、地面に4.5m、その先のかべに1mうつっていました。かべは地面に垂直です。この木の高さは何mですか。
地面にうつった4.5mの影をつくっているのは、木の下の部分です。棒の比2:3から、その高さは4.5×3分の2=3mです。
かべにうつった1mの影は、かべが垂直なので、木の上の部分の高さと同じ1mです。木の高さは3+1=4mです。
かべ(垂直)にうつった影は、その長さがそのまま高さになります。地面の影だけを比で直します。
太陽の光と街灯の光のちがい
| 太陽の光 | 街灯の光 | |
|---|---|---|
| 光の進み方 | 平行に進む | 1点から広がって進む |
| 影の長さ | 同じ時刻なら、高さに比例 | 街灯からのきょりで変わる |
| 使う考え方 | 高さと影の比 | 相似な三角形 |
街灯は近くにあるので、光は街灯の電球から放射状に広がります。そのため、街灯から遠いほど影は長くなります。
街灯の影
例題3:高さ4.5mの街灯から4mはなれたところに、身長1.5mの人が立っています。この人の影の長さは何mですか。
街灯の先から影の先までを結ぶ大きな三角形と、人の頭から影の先までを結ぶ小さな三角形は、形が同じ(相似)です。
高さの比は、街灯:人=4.5:1.5=3:1です。そのため、底辺の比も3:1になります。大きな三角形の底辺は「4m+影の長さ」、小さな三角形の底辺は「影の長さ」です。
影の長さを1とすると、大きな三角形の底辺は3なので、その差の2が4mにあたります。影の長さは4÷2=2mです。
街灯の影は、大きな三角形と小さな三角形の「相似」で解きます。高さの比が、底辺の比になります。
影の長さの変わり方
太陽の影は、時刻によって長さと向きが変わります。
- 朝や夕方は太陽が低いので、影は長くなる
- 正午ごろ、太陽が南の空でいちばん高くなると、影はいちばん短くなる
- 影は太陽と反対の方向にできるので、正午ごろの影は北向きになる
算数の影の問題でも、「同じ時刻」という条件が大切なのは、時刻によって比が変わるからです。
図をかくときのコツ
- 地面を横線、ものや街灯を縦線でかく
- 光を、ものの先から影の先まで、まっすぐな線でかく
- 太陽の光なら平行な線、街灯なら1点から出る線にする
- 同じ形の三角形を見つけて、対応する辺に印をつける
図を正しくかけば、どの比を使えばよいかが見えてきます。とくに街灯の問題では、街灯の先から、人の頭を通って影の先まで、一直線をかくことを忘れないようにしましょう。
表で整理して比をまちがえない
影の問題では、ものごとに「高さ」と「影の長さ」を表にすると、比を逆にするまちがいが減ります。
| 高さ | 影の長さ | |
|---|---|---|
| 棒 | 1m | 1.5m |
| 木 | □m | 6m |
表をたてに見ると、棒と木の「高さ:影の長さ」がどちらも同じ比になっていることが分かります。□は、6×(1÷1.5)=4mです。かべにうつる影があるときは、表の下に「かべの影」の行を加えて、最後にたし算をします。
よくあるまちがいと対策
- かべの影も地面の影と同じように比で直す:垂直なかべの影はそのまま高さ
- 街灯の影を太陽の影と同じ比で解く:街灯は相似な三角形で考える
- 底辺を「影の長さ」だけにする:大きな三角形の底辺は「きょり+影」
- 時刻のちがうデータの比を使う:比が使えるのは同じ時刻だけ
家庭での教え方のコツ
晴れた日に影を測る
晴れた日に、親子で自分の影と、ペットボトルの影の長さを測ってみましょう。高さと影の長さの比が同じになることが確かめられます。
懐中電灯で街灯を再現する
暗い部屋で懐中電灯を上から照らし、人形を近づけたり遠ざけたりしてみてください。光源から遠いほど影が長くなることが分かります。
図を大きくかく
影の問題は、図を小さくかくと、三角形の対応が見えにくくなります。ノートに大きくかく習慣をつけましょう。
影の問題のよくある質問
何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、相似や比を学んだあとの6年生ごろに、図形の応用として学ぶことが多い単元です。
相似の単元とどうつながりますか?
影の問題は、ほとんどが相似な三角形の問題です。相似の基本で、ピラミッド型・ちょうちょ型の考え方を先に確認しましょう。
理科の太陽の動きとも関係がありますか?
はい、影の向きや長さが時刻や季節で変わることは、理科の太陽の動きで学びます。あわせて学ぶと理解が深まります。
練習問題にチャレンジ
問題1:長さ1mの棒の影が0.8mのとき、同じ時刻に影が20mのビルの高さは何mですか。
問題2:長さ2mの棒の影が3mのとき、同じ時刻に木の影が地面に6m、かべに1.5mうつりました。木の高さは何mですか。
問題3:高さ6mの街灯から6mはなれたところに、身長1.5mの人が立っています。影の長さは何mですか。
問題4:太陽の光が平行に進むと考えるのはなぜですか。
答え
問題1:20÷0.8=25mです。
問題2:地面の部分は6×3分の2=4m、かべの1.5mを加えて5.5mです。
問題3:高さの比は4:1なので、影を1とすると差の3が6mにあたり、影は2mです。
問題4:太陽がとても遠くにあるからです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:影は「光の線」をかいて相似で考える
太陽の影は、同じ時刻なら高さと影の長さの比が一定なので、棒の比をそのまま使います。かべにうつった影はそのまま高さに加えます。街灯の影は、光が1点から広がるので、大きな三角形と小さな三角形の相似で求めましょう。どの問題も、光の線を正しくかくことが出発点です。