「相似の問題で、どの三角形とどの三角形が相似なのか見つけられない」「面積比が相似比の2乗になる理由が、よく分からない」
相似は、形が同じで大きさがちがう図形の関係です。中学では数学で詳しく学びますが、中学受験の算数では、図形問題を解くための大切な道具として、6年生を中心によく使われます。辺の長さや面積を求める問題、影の長さの問題など、出題の幅も広い単元です。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、相似の基本、よく出る2つの形(ピラミッド型・ちょうちょ型)、面積比と体積比、影の問題と、家での教え方をまとめました。比の基本を学んでから読むと、理解しやすくなります。
相似とは?拡大図と縮図
ある図形を、形を変えずに同じ割合で大きくしたものを拡大図、小さくしたものを縮図といいます。拡大図や縮図の関係にある2つの図形を「相似」といいます。
相似な図形には、次の性質があります。
- 対応する角の大きさは、それぞれ等しい
- 対応する辺の長さの比は、どれも等しい(この比を相似比という)
相似な図形は「角が等しく、辺の比が等しい」。三角形なら、2つの角が等しければ相似です。
三角形の場合、2つの角がそれぞれ等しければ、残りの角も等しくなるので、相似になります。中学受験では、この「2つの角が等しい」ことを、平行線の性質から見つけるのが基本です。
よく出る2つの形

ピラミッド型
三角形ABCの辺の途中に、底辺BCと平行な線DEを引くと、三角形ADEと三角形ABCは相似になります。角Aが共通で、平行線の同位角が等しいからです。
例題1:三角形ABCで、DEはBCと平行です。ADが4cm、DBが2cm、BCが9cmのとき、DEの長さを求めましょう。
ABは4+2=6cmです。三角形ADEと三角形ABCの相似比は、AD:AB=4:6=2:3です。
DE:BC=2:3なので、DE=9×2÷3=6cmです。
ここで、AD:DB=4:2を相似比としてしまうのが、いちばん多いまちがいです。ピラミッド型の相似比は、「小さい三角形の辺:大きい三角形の辺」で、AD:ABです。
ちょうちょ型(砂時計型)
平行な2本の線分ABとDCがあり、ACとBDが点Oで交わるとき、三角形OABと三角形OCDは相似になります。向かい合った角(対頂角)が等しく、平行線の錯角が等しいからです。
例題2:ABとDCが平行で、ABが6cm、DCが9cmです。ACが10cmのとき、AOの長さを求めましょう。
相似比は、AB:CD=6:9=2:3です。AO:OC=2:3なので、AO=10×2÷5=4cmです。
ピラミッド型は「AD:AB」、ちょうちょ型は「AB:CD」が相似比。どの辺どうしが対応するかを確かめます。
面積比と体積比
相似な図形では、長さの比が分かれば、面積や体積の比も分かります。
- 相似比がa:bのとき、面積比はa×a:b×b
- 相似比がa:bのとき、体積比はa×a×a:b×b×b
たとえば、1辺が1cmの正方形と2cmの正方形では、相似比は1:2、面積は1cm²と4cm²で、面積比は1:4になります。たても横も2倍になるので、面積は2×2=4倍になる、と考えると分かりやすくなります。
例題3:相似比が2:3の2つの三角形があります。小さい三角形の面積が12cm²のとき、大きい三角形の面積を求めましょう。
面積比は、2×2:3×3=4:9です。大きい三角形の面積は、12×9÷4=27cm²です。
例題4:相似比が1:2の2つの立方体があります。小さい立方体の体積が5cm³のとき、大きい立方体の体積を求めましょう。
体積比は、1×1×1:2×2×2=1:8です。大きい立方体の体積は、5×8=40cm³です。
影の長さの問題
例題5:長さ1mの棒を地面にまっすぐ立てると、影の長さが1.5mでした。同じ時刻に、木の影の長さをはかると6mでした。木の高さは何mですか。
同じ時刻なら、太陽の光の角度は同じなので、「棒と影」がつくる直角三角形と、「木と影」がつくる直角三角形は相似になります。
棒の高さ:棒の影=1:1.5=2:3です。木の高さ:木の影も2:3なので、木の高さは6×2÷3=4mです。
入試レベル:台形の中のちょうちょ型と面積
例題6:台形ABCDで、ADとBCが平行、ADが4cm、BCが6cmです。対角線ACとBDの交点をOとします。台形の面積が50cm²のとき、三角形AODの面積を求めましょう。
三角形AODと三角形COBは、ちょうちょ型の相似で、相似比はAD:CB=4:6=2:3です。
- 三角形AODと三角形COBの面積比:2×2:3×3=4:9
- AO:OC=2:3なので、三角形AODと三角形DOCの面積比も2:3。三角形AODを4とすると、三角形DOCは6
- 同じように、三角形AOBも6
- 台形全体:4+6+6+9=25
台形の面積50cm²が25にあたるので、1は2cm²です。三角形AODの面積は、2×4=8cm²です。
高さが同じ三角形の面積の比は、底辺の比と等しくなります。相似と、この「底辺の比=面積の比」の考え方を組み合わせると、図形の面積の問題に強くなります。
よくあるまちがいと対策
- ピラミッド型で、AD:DBを相似比にしてしまう:小さい三角形と大きい三角形の、対応する辺どうしで比をとる
- 対応する辺を取りちがえる:等しい角に同じしるしをつけ、その向かいの辺どうしが対応すると確かめる
- 面積比を相似比のまま使う:面積は「2乗」、体積は「3乗」
- 相似な三角形を見つけられない:平行線を見つけたら、ピラミッド型かちょうちょ型を探す
家庭での教え方のコツ
コピー機の拡大・縮小で考える
「コピー機で200%に拡大すると、たても横も2倍になるね。面積は何倍?」と聞いてみてください。実際に方眼紙をコピーして比べると、面積が4倍になることが目で分かります。
三角形をぬき出してかく
複雑な図の中の相似は、見つけにくいものです。相似な2つの三角形を、向きをそろえて別にかき出すと、対応する辺が分かりやすくなります。
影の長さをはかってみる
晴れた日に、定規やペットボトルの影と、電柱や木の影の長さをはかってみましょう。実際に高さを計算してみると、相似が身近な道具になります。
相似のよくある質問
相似は何年生で学びますか?
小学校の算数では、6年生で「拡大図と縮図」を学びます。「相似」という言葉は中学の数学で学びますが、中学受験の算数では、6年生ごろに相似を使う図形問題に取り組むことが多い単元です。
相似の証明は必要ですか?
中学受験の算数では、証明を書く問題はほとんど出ません。大切なのは、図の中から相似な三角形を見つけて、相似比を使って長さや面積を求めることです。
面積比の問題が苦手な子は?
まずは、正方形や長方形で、長さを2倍・3倍にすると面積が何倍になるかを、方眼紙で確かめてください。「2乗になる」理由が分かると、三角形でも同じように考えられます。
相似の家での進め方
- 拡大図と縮図、相似の性質
- ピラミッド型(例題1)
- ちょうちょ型(例題2)
- 面積比と体積比(例題3・4)
- 影の長さの問題(例題5)
練習問題にチャレンジ
問題1:三角形ABCで、DEはBCと平行です。ADが3cm、ABが5cm、BCが10cmのとき、DEの長さを求めましょう。
問題2:相似比が3:4の2つの三角形があります。小さい三角形の面積が18cm²のとき、大きい三角形の面積を求めましょう。
問題3:長さ1mの棒の影が0.8mのとき、同じ時刻に影が12mの建物の高さは何mですか。
答え
問題1:相似比はAD:AB=3:5なので、DE=10×3÷5=6cmです。
問題2:面積比は9:16なので、18×16÷9=32cm²です。
問題3:棒:影=1:0.8=5:4です。建物の高さは12×5÷4=15mです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:相似は「平行線」から2つの形を見つける
相似は、平行線があるところで、ピラミッド型かちょうちょ型の三角形を見つけ、対応する辺の比(相似比)を使って解きます。面積比は相似比の2乗、体積比は3乗。この3つを使いこなせれば、図形問題の多くに対応できます。
比の基本は比の性質・比例配分・連比・逆比の解き方、図形の基本は三角形・多角形・平行線の角の求め方や面積の公式と求め方の工夫で解説しています。