「面積の公式を覚えても、複雑な図形になると使えない」「おうぎ形の面積で、3.14の計算ミスが多い」
図形の面積は、中学受験の算数で必ず出題される分野です。基本の公式はどれも小学校で学ぶものですが、入試では、いくつかの図形を組み合わせた図形や、かげをつけた部分の面積など、公式をそのまま使えない問題が多く出ます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、面積の公式、おうぎ形の面積、複雑な図形の面積を求める工夫と、家での教え方をまとめました。
面積の公式

| 図形 | 公式 |
|---|---|
| 正方形 | 1辺×1辺 |
| 長方形 | たて×横 |
| 三角形 | 底辺×高さ÷2 |
| 平行四辺形 | 底辺×高さ |
| 台形 | (上底+下底)×高さ÷2 |
| ひし形 | 対角線×対角線÷2 |
| 円 | 半径×半径×3.14 |
公式は「なぜそうなるか」とセットで覚えると、忘れにくく、応用も利きます。
たとえば、三角形の公式の「÷2」は、同じ三角形を2つ合わせると平行四辺形になるからです。台形の公式も、同じ台形を逆さにして2つ合わせると、底辺が(上底+下底)の平行四辺形になることから考えられます。公式の成り立ちを図で確かめておくと、公式を忘れても自分で作り直せます。
高さに注意
三角形や平行四辺形の「高さ」は、底辺に垂直な長さです。ななめの辺の長さを高さとしてしまうのは、よくあるまちがいです。また、高さが図形の外側にあることもあります。
例題1:上底4cm、下底10cm、高さ6cmの台形の面積を求めましょう。
(4+10)×6÷2=42cm²です。
例題2:対角線の長さが8cmと6cmのひし形の面積を求めましょう。
8×6÷2=24cm²です。
円とおうぎ形
円の面積は「半径×半径×3.14」、円周は「直径×3.14」です。
おうぎ形は、円を中心から切り取った形です。おうぎ形の面積は、円の面積に「中心角÷360」をかけて求めます。
おうぎ形の面積=半径×半径×3.14×中心角÷360
例題3:半径6cm、中心角60°のおうぎ形の面積を求めましょう。
6×6×3.14×60÷360=6×6×3.14÷6=6×3.14=18.84cm²です。
3.14の計算を楽にするコツ
3.14の計算は、最後にまとめてするのがコツです。いくつかのおうぎ形や円の面積をたしたりひいたりするときは、「□×3.14」の形のまま計算して、最後に3.14をかけると、計算ミスが大きく減ります。
3.14×2=6.28、3.14×3=9.42、3.14×4=12.56…と、よく使うかけ算の結果を覚えておくのもおすすめです。
3.14は最後にまとめてかける。途中で何度も小数の計算をしないのがミスを減らすコツです。
複雑な図形の面積を求める工夫
工夫1:分ける
L字形のような図形は、長方形2つに分けて、それぞれの面積をたします。どこで分けると計算しやすいかを考えましょう。
工夫2:全体からひく
例題4:1辺10cmの正方形の中に、1つの頂点を中心とした、半径10cmの円の4分の1(中心角90°のおうぎ形)がかかれています。正方形のうち、おうぎ形の外側の部分の面積を求めましょう。
正方形の面積から、おうぎ形の面積をひきます。
- 正方形:10×10=100cm²
- おうぎ形:10×10×3.14÷4=78.5cm²
- 求める面積:100-78.5=21.5cm²
「求めたい部分=全体-いらない部分」という考え方は、かげをつけた部分の面積でとてもよく使います。
工夫3:形を変える(等積変形)
三角形は、底辺と高さが同じなら、形がちがっても面積は同じです。平行線の上で頂点を動かしても面積が変わらない性質を使って、計算しやすい形に変えることを「等積変形」といいます。
また、図形の一部を切り取って、別の場所に移しても、全体の面積は変わりません。かげの部分を移動させて、1つのまとまった形にすると、計算が楽になる問題も多くあります。
入試レベル:葉っぱ形と対角線の面積
例題5:1辺10cmの正方形の中に、となり合わない2つの頂点をそれぞれ中心として、半径10cmのおうぎ形(円の4分の1)を2つかきました。2つのおうぎ形が重なった部分(葉っぱのような形)の面積を求めましょう。
2つのおうぎ形の面積をたすと、重なった部分を2回数えることになり、そのぶん正方形より大きくなります。
- おうぎ形2つ:10×10×3.14÷4×2=157cm²
- 正方形:10×10=100cm²
- 重なった部分:157-100=57cm²
この「葉っぱ形」の面積は、正方形の1辺が10cmのとき57cm²になることが知られていて、入試でもよく使われます。
例題6:対角線の長さが10cmの正方形の面積を求めましょう。
正方形はひし形の一種なので、対角線×対角線÷2で求められます。10×10÷2=50cm²です。1辺の長さが分からなくても、対角線から面積が求められるのがポイントです。
よくあるまちがいと対策
- ななめの辺を高さにしてしまう:高さは底辺に垂直な長さ、と図に直角のしるしを書く
- 台形の公式で÷2を忘れる:公式の成り立ちを図で確かめておく
- 円の面積で、直径をそのまま使う:半径に直してから計算する
- 3.14の計算ミス:□×3.14の形でまとめ、最後にかける
家庭での教え方のコツ
方眼紙で数える
方眼紙に図形をかいて、マス目を数えると、面積の意味が実感できます。三角形の面積が、同じ底辺・高さの長方形のちょうど半分になることも、マス目で確かめられます。
紙を切って公式を作る
平行四辺形を紙で作り、三角形の部分を切って反対側に移すと、長方形になります。こうした操作で公式を作る体験をすると、公式を忘れにくくなります。
図にどんどん書きこむ
複雑な図形の問題では、分かった長さや面積を図にどんどん書きこむ習慣をつけましょう。図に情報が増えると、次に使える図形が見えてきます。
図形の面積のよくある質問
面積は何年生で学びますか?
小学校の算数では、4年生で長方形・正方形、5年生で三角形・平行四辺形・台形・ひし形、6年生で円の面積を学びます。中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろに学び、6年生で複雑な図形の応用問題に取り組みます。
公式を全部覚えられません。どうすればいいですか?
まずは、長方形・三角形・円の3つを確実に覚えましょう。平行四辺形・台形・ひし形は、三角形に分けたり、長方形に変形したりすれば求められます。成り立ちを理解していれば、公式を忘れても自分で導けます。
体積も同じように学べばいいですか?
はい、体積も「底面積×高さ」が基本で、面積の考え方をそのまま使います。角柱や円柱の体積は、底面の面積が求められれば計算できます。面積を確実にしてから、体積に進むのがおすすめです。
図形の面積の家での進め方
- 長方形・三角形・平行四辺形・台形・ひし形の公式と成り立ち(例題1・2)
- 円とおうぎ形(例題3)
- 分ける・ひく・形を変える工夫(例題4)
練習問題にチャレンジ
問題1:底辺8cm、高さ5cmの平行四辺形の面積を求めましょう。
問題2:上底6cm、下底9cm、高さ4cmの台形の面積を求めましょう。
問題3:半径4cm、中心角90°のおうぎ形の面積を求めましょう。
答え
問題1:8×5=40cm²です。
問題2:(6+9)×4÷2=30cm²です。
問題3:4×4×3.14÷4=4×3.14=12.56cm²です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:面積は「公式の成り立ち」と「工夫」で解く
図形の面積は、公式を成り立ちとセットで理解し、複雑な図形は「分ける」「全体からひく」「形を変える」の工夫で、知っている図形に直して求めます。おうぎ形の3.14の計算は、最後にまとめてかけましょう。
角の求め方は三角形・多角形・平行線の角の求め方、面積図を使う考え方はつるかめ算の面積図での解き方で解説しています。算数のつまずき全体については中学受験の算数についていけない原因と立て直し方も参考にしてください。