「シラス台地で、なぜ米づくりではなく畜産がさかんなのか説明できない」「北九州工業地帯が、どのように変わってきたのか分からない」
九州地方と沖縄は、中学受験の社会の地理で、火山と農業、工業の移り変わり、沖縄の気候とくらしなどがよく出題される地域です。火山の多い自然が、農業や観光、エネルギーにどう生かされているかを理解すると、覚えやすくなります。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、九州地方と沖縄の特色を整理し、覚え方をまとめました。なお、生産量の順位や割合は年によって変わることがあります。最新の数字は資料集で確認してください。
九州地方の自然
- 阿蘇山(熊本県):噴火でできた大きなくぼ地(カルデラ)がある
- 桜島(鹿児島県):今も噴火をくり返す火山
- シラス台地:鹿児島県・宮崎県に広がる、火山の噴出物が積もった台地
- 筑紫平野:九州最大の平野。筑後川が流れる
- 有明海:干満の差が大きい海
火山が多いので、温泉や地熱発電にも利用されています。大分県には、地熱発電所があります。火山灰が降る桜島周辺では、灰を集める専用のふくろが配られるなど、火山とともにくらす工夫も見られます。
シラス台地の農業

シラスは水を通しやすく、水もちが悪いので、稲作には向きません。
- さつまいもや茶など、水が少なくても育つ作物を作る
- 肉牛・ぶた・にわとりなどの畜産がさかん
- 用水路やダムをつくって、畑作を広げる工夫も行われてきた
シラス台地は「水もちが悪い」から、稲作ではなく、畑作と畜産。
九州北部と宮崎平野の農業・漁業
- 筑紫平野:稲作がさかん。冬に麦などを作る二毛作も行われている
- 有明海:干潟を生かした、のりの養殖がさかん
- 宮崎平野:冬でもあたたかい気候を生かし、ビニールハウスでピーマン・きゅうりなどを早い時期に出荷する促成栽培がさかん
九州地方の工業の移り変わり
| 時期 | 特色 |
|---|---|
| 明治時代〜 | 1901年に八幡製鉄所が操業を開始。近くの炭田の石炭を使い、鉄鋼業が発達して北九州工業地帯が形成された |
| エネルギー革命のころ〜 | 石炭から石油へエネルギーの中心が変わり、炭鉱が閉山。北九州工業地帯の地位は低下した |
| 現在 | 空港や高速道路の近くにIC(集積回路)工場が進出。自動車工場も多くつくられている |
九州には、IC工場が多く集まったことから、「シリコンアイランド」とよばれることがあります。
北九州は「八幡製鉄所→石炭から石油へ→IC・自動車」の流れで覚えます。
公害と環境への取り組み
熊本県の水俣市では、工場から流された有機水銀が原因で、四大公害病の1つである水俣病が発生しました。現在の水俣市は、その経験を生かし、環境を大切にするまちづくりに取り組んでいます。北九州市でも、公害を克服した経験から、リサイクルなどの環境産業に力を入れています。
沖縄の自然とくらし
- 気候:1年を通してあたたかい亜熱帯の気候。台風が多い
- 海:まわりにサンゴ礁が広がり、美しい海が観光資源になっている
- 家のつくり:台風に備えて、まわりを石垣で囲んだり、屋根を低く平らにしたりする工夫がある。水不足に備えて、屋根の上に給水タンクを置く家も多い
沖縄の産業
- 農業:さとうきび、パイナップル、菊などの花、ゴーヤーなど
- 観光業:美しい海や、独自の文化を目当てに、多くの観光客が訪れる
沖縄の歴史とアメリカ軍基地
沖縄には、かつて琉球王国があり、中国や日本、東南アジアとの貿易で栄えました。首里城は、琉球王国の城です。
第二次世界大戦では、沖縄で地上戦が行われ、多くの人が犠牲になりました。戦後、沖縄はアメリカの統治下に置かれ、1972年に日本に返還されました。5月15日が、沖縄の本土復帰の日です。現在も、日本にあるアメリカ軍の施設の多くが沖縄に集中しており、さまざまな課題があります。
例題1:沖縄の伝統的な家で、まわりを石垣で囲み、屋根を低くしているのはなぜですか。
台風の強い風から家を守るためです。
伝統的工芸品
| 県 | 伝統的工芸品の例 |
|---|---|
| 佐賀県 | 伊万里焼・有田焼 |
| 鹿児島県 | 薩摩焼 |
| 福岡県 | 博多人形、博多織 |
| 沖縄県 | 琉球びんがた |
九州の交通
九州と本州は、関門海峡の下を通る関門トンネルと、海峡にかかる関門橋で結ばれています。2011年には、九州新幹線が博多から鹿児島中央まで全線開業し、九州の南北の行き来が便利になりました。福岡は、アジアの国々に近いことから、空港や港を通じた交流もさかんです。
よくあるまちがいと対策
- シラス台地で稲作がさかんと考える:水もちが悪いので畑作と畜産
- 八幡製鉄所の石炭を輸入と考える:はじめは近くの炭田の石炭を使った
- 沖縄の返還年をまちがえる:1972年
- 水俣病の原因をカドミウムと考える:水俣病は有機水銀。カドミウムはイタイイタイ病
家庭での覚え方のコツ
「火山」をキーワードにまとめる
阿蘇山・桜島、シラス台地、温泉、地熱発電と、火山に関係する事がらを1つの図にまとめてみましょう。九州の特色が1本の線でつながります。
食べ物で産地を覚える
さつまいも、ピーマン、のり、さとうきび、パイナップルなど、九州・沖縄の産物を食卓で見つけたら、産地を話題にしてみてください。
沖縄の家と気候を結びつける
沖縄の家の写真を見て、「なぜこの形?」と親子で考えてみましょう。気候とくらしの関係を考える練習になります。
九州地方・沖縄のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の社会では、5年生で国土の気候とくらし(あたたかい地域のくらしなど)を学びます。中学受験向けの教材では、5年生ごろに地方別の地理として学ぶことが多い内容です。
公害の単元とどうつながりますか?
水俣病は四大公害病の1つです。公害と環境問題で、ほかの公害病とあわせて確認しましょう。
火山の単元とも関係がありますか?
はい、カルデラや火山の形は、理科の火山と地震でも学びます。理科と社会をつなげて覚えると効果的です。
練習問題にチャレンジ
問題1:鹿児島県・宮崎県に広がる、火山の噴出物が積もった台地を何といいますか。
問題2:有明海でさかんな養殖は何ですか。
問題3:1901年に操業を開始した、北九州の製鉄所を何といいますか。
問題4:沖縄が日本に返還されたのは何年ですか。
答え
問題1:シラス台地です。
問題2:のりの養殖です。
問題3:八幡製鉄所です。
問題4:1972年です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:九州は「火山」と「工業の変化」、沖縄は「気候と歴史」
九州地方は、阿蘇山や桜島などの火山、水もちの悪いシラス台地の畑作と畜産、筑紫平野と有明海、宮崎平野の促成栽培、北九州工業地帯の移り変わりをセットで覚えましょう。沖縄は、亜熱帯の気候に合わせたくらしと産業、琉球王国から返還までの歴史がよく出ます。
地理のほかの単元は、近畿地方・中国四国地方、日本の農業、公害と環境問題で解説しています。