「『いふ』を『いう』と読むのは分かるけれど、『けふ』がなぜ『きょう』になるのか分からない」「枕草子と徒然草の作者が、どちらがどちらか混ざってしまう」
古典は、中学受験の国語で、出題する学校は多くありませんが、知識問題や短い古文の読み取りとして出ることがあります。歴史的かなづかいの読み方、よく出る古語の意味、有名な作品と作者などを押さえておけば、十分に対応できます。中学校の国語の準備にもなります。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、古典の基礎知識を整理し、覚え方をまとめました。
歴史的かなづかいの読み方

昔の文章は、今とはちがうかなづかい(歴史的かなづかい)で書かれています。読むときは、次の決まりで現代のかなづかいに直します。
| 決まり | 例 |
|---|---|
| 語のはじめ以外の「はひふへほ」は「わいうえお」 | いふ→いう、かはる→かわる、こひ→こい |
| 「ゐ・ゑ・を」は「い・え・お」 | ゐる→いる、こゑ→こえ |
| 「ぢ・づ」は「じ・ず」 | はぢ→はじ、よろづ→よろず |
| 「あう・かう」などは「おう・こう」 | やうやう→ようよう、かうべ→こうべ |
| 「いう」は「ゆう」、「えう」は「よう」 | うつくしう→うつくしゅう、けふ→けう→きょう |
| 「くわ・ぐわ」は「か・が」 | くわし→かし(菓子) |
まず「語のはじめ以外のはひふへほ」を「わいうえお」に直します。それだけで多くの言葉が読めるようになります。
例題1:「てふてふ」を現代かなづかいに直しましょう。
「ふ」を「う」にして「てうてう」、「てう」は「ちょう」と読むので、「ちょうちょう」です。
よく出る古語
| 古語 | 意味 |
|---|---|
| をかし | 趣がある、おもしろい |
| あはれ | しみじみとした趣がある |
| いと | とても |
| うつくし | かわいらしい |
| ありがたし | めったにない |
| あやし | 不思議だ |
| つとめて | 早朝 |
| いみじ | はなはだしい(よい意味にも悪い意味にも使う) |
「うつくし」は「かわいらしい」、「ありがたし」は「めったにない」。今の意味とちがう古語は、よく出ます。
有名な作品と作者
| 作品 | 作者 | 種類 | 時代 |
|---|---|---|---|
| 竹取物語 | 不明 | 物語(現存する最古の物語といわれる) | 平安時代 |
| 枕草子 | 清少納言 | 随筆 | 平安時代 |
| 源氏物語 | 紫式部 | 物語 | 平安時代 |
| 方丈記 | 鴨長明 | 随筆 | 鎌倉時代 |
| 徒然草 | 兼好法師 | 随筆 | 鎌倉時代 |
| 平家物語 | 不明 | 軍記物語 | 鎌倉時代 |
| おくのほそ道 | 松尾芭蕉 | 紀行文 | 江戸時代 |
枕草子・方丈記・徒然草は、日本の三大随筆とよばれます。随筆とは、筆者が見聞きしたことや感じたことを、自由に書いた文章です。
有名な冒頭
| 作品 | 冒頭 |
|---|---|
| 竹取物語 | 今は昔、竹取の翁といふものありけり。 |
| 枕草子 | 春はあけぼの。 |
| 方丈記 | ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。 |
| 徒然草 | つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、 |
| 平家物語 | 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 |
| おくのほそ道 | 月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。 |
例題2:「春はあけぼの。」で始まる作品と、その作者を答えましょう。
作品は枕草子、作者は清少納言です。
漢文の返り点
漢文(中国の古い文章)は、日本語の順番に直して読むために、返り点という記号をつけます。
- レ点:すぐ下の1字から、上の1字に返って読む
- 一・二点:一のついた字まで読んでから、二のついた字に返って読む
例えば、「読書」にレ点をつけると、「書を読む」と読みます。「書」を先に読み、レ点で「読」に返るからです。
例題3:「登山」にレ点がついているとき、どう読みますか。
「山に登る」と読みます。
一・二点の例として、「有朋自遠方来」は、「朋(とも)遠方より来たる有り」と読みます。
漢文から生まれた言葉には、故事成語もあります。
古典を読むときのコツ
- 主語が省略されていることが多いので、だれの動作かを考えながら読む
- 現代語訳がついている問題では、訳と原文を1文ずつ対応させる
- 分からない言葉があっても、前後の内容から意味を推測する
和歌と百人一首
古典には、五・七・五・七・七の31音でよまれた和歌もあります。
- 万葉集:奈良時代にまとめられた、現存する最古の和歌集
- 古今和歌集:平安時代に、天皇の命令でまとめられた和歌集。紀貫之らが選んだ
- 小倉百人一首:100人の歌人の和歌を1首ずつ選んだもの。藤原定家が選んだとされる
百人一首は、かるたとして遊ぶことができます。リズムよく覚えられるので、古語や歴史的かなづかいに親しむ入り口としておすすめです。
よくあるまちがいと対策
- 語のはじめの「は」も「わ」と読む:「はる(春)」のように、語のはじめはそのまま
- 「うつくし」を「美しい」と訳す:古語では「かわいらしい」
- 枕草子と徒然草の作者を混ぜる:枕草子は清少納言、徒然草は兼好法師
- レ点の返り方をまちがえる:下の1字を先に読んでから、上に返る
家庭での覚え方のコツ
冒頭を声に出して読む
有名な冒頭は、声に出して何度も読むと、自然に覚えられます。リズムのよい文が多いので、親子で暗唱してみましょう。
現代かなづかいに直すゲーム
「いふ」「かはる」「てふてふ」など、歴史的かなづかいの言葉をカードに書き、現代かなづかいに直すゲームをしてみてください。
歴史の時代と結びつける
作品を、平安・鎌倉・江戸の時代と結びつけて覚えましょう。歴史の文化の学習とも重なるので、両方の得点につながります。
古典の基礎のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の国語では、5〜6年生で、昔の言葉のひびきやリズムに親しむ学習として、古文や漢文の一部にふれます。中学受験では、学校によって出題の有無がちがうので、志望校の過去問で確かめましょう。
歴史の文化の単元とつながりますか?
はい、枕草子や源氏物語は平安時代の国風文化として、歴史でも学びます。飛鳥・奈良・平安時代とあわせて覚えましょう。
故事成語も古典ですか?
故事成語は、中国の古い書物や話から生まれた言葉です。ことわざ・慣用句で、代表的な故事成語を確認しておきましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:「いふ」を現代かなづかいに直しましょう。
問題2:「けふ」を現代かなづかいに直しましょう。
問題3:古語の「をかし」の意味を答えましょう。
問題4:徒然草の作者はだれですか。
答え
問題1:「いう」です。
問題2:「きょう」です。
問題3:趣がある、おもしろい、という意味です。
問題4:兼好法師です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:古典は「かなづかい・古語・作品」の3点セット
古典の基礎は、歴史的かなづかいを現代かなづかいに直す決まり、今とは意味のちがう古語、有名な作品と作者・冒頭の3つです。声に出して読み、歴史の時代とも結びつけて覚えましょう。漢文の返り点も、レ点と一・二点の読み方を押さえておくと安心です。