「ことわざを一覧で覚えさせても、すぐに忘れてしまう」「慣用句の問題で、意味を取りちがえることが多い」
ことわざ・慣用句は、中学受験の国語の知識問題で、よく出題される分野です。意味を選ぶ問題、空らんに体の一部や動物の名前を入れる問題、似た意味・反対の意味のことわざを選ぶ問題などが出ます。また、読解問題の文章や設問の中にも、ことわざや慣用句がたびたび登場します。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、ことわざ・慣用句・故事成語のちがい、グループで覚えるコツ、意味をまちがえやすい言葉と、家での教え方をまとめました。
ことわざ・慣用句・故事成語のちがい
- ことわざ:昔から言い伝えられてきた、生活の知恵や教えをふくむ短い言葉(例:急がば回れ)
- 慣用句:2つ以上の言葉が結びついて、元の言葉とはちがう特別な意味を表すもの(例:手を焼く)
- 故事成語:中国の昔の出来事や書物から生まれた言葉(例:矛盾)
厳密に分けられないものもありますが、問題を解くときは、意味が分かっていれば十分です。
ことわざ・慣用句は「グループ」で覚える。1つずつばらばらに覚えるより、ずっと忘れにくくなります。
体の一部を使った慣用句
慣用句には、体の一部を使ったものがとても多くあります。空らんに体の一部を入れる問題は定番です。
| 体の一部 | 慣用句と意味 |
|---|---|
| 目 | 目が高い(よいものを見分ける力がある)、目をかける(ひいきにして世話をする) |
| 耳 | 耳が痛い(自分の弱点を言われて聞くのがつらい)、耳をうたがう(聞いたことが信じられない) |
| 口 | 口がかたい(秘密をもらさない)、口をそろえる(みんなが同じことを言う) |
| 鼻 | 鼻が高い(ほこらしい、得意である)、鼻につく(あきていやになる) |
| 手 | 手を焼く(あつかいに困る)、手を貸す(手伝う) |
| 足 | 足が出る(予算をこえてお金が足りなくなる)、足を洗う(よくない仕事や生活をやめる) |
| 首 | 首を長くする(今か今かと待ちこがれる)、首をかしげる(ふしぎに思う) |
| 腹 | 腹を立てる(おこる)、腹をくくる(覚悟を決める) |
体の一部ごとにまとめて覚えると、空らん補充の問題に強くなります。
動物を使ったことわざ・慣用句
動物が出てくることわざ・慣用句も、よく出題されます。
- 猫の手も借りたい:とてもいそがしい
- 犬猿の仲:とても仲が悪い
- 馬の耳に念仏:いくら言い聞かせても効き目がない
- すずめの涙:ほんのわずか
- 鶴の一声:力のある人の一言で、物事が決まる
- 猿も木から落ちる:名人でも失敗することがある
- 立つ鳥あとをにごさず:去るときは、あとが見苦しくないようにする
似た意味・反対の意味のことわざ

似た意味のことわざ
- 猿も木から落ちる=弘法にも筆の誤り=かっぱの川流れ(名人でも失敗することがある)
- ぬかにくぎ=のれんに腕おし=豆腐にかすがい(手ごたえや効き目がない)
- 石の上にも三年=雨だれ石をうがつ(しんぼう強く続ければ、いつかは成しとげられる)
反対の意味のことわざ
- 急がば回れ(急ぐときこそ、安全で確実な方法をとる)⇔ 善は急げ(よいことはすぐに実行する)
- 好きこそものの上手なれ(好きなことは上達が早い)⇔ 下手の横好き(下手なのにそのことが好きである)
- 立つ鳥あとをにごさず ⇔ 旅の恥はかきすて(旅先では、知る人がいないので恥ずかしいことも平気でする)
似た意味・反対の意味のことわざは、組み合わせごと覚えるのがいちばんです。1つを覚えると、もう1つも思い出せるようになります。
似た意味・反対の意味のことわざは、ペアやグループで覚えます。
故事成語
故事成語は、言葉が生まれたもとの話(故事)を知ると、意味がぐっと覚えやすくなります。
- 矛盾:つじつまが合わないこと。どんな盾もつき通す矛と、どんな矛も防ぐ盾を売っていた人が、「その矛でその盾をついたらどうなるか」と聞かれて答えられなかった話から
- 蛇足:よけいなもの、つけ加える必要のないもの。蛇の絵をかく競争で、早くかき終えた人が足までかき加えて負けた話から
- 五十歩百歩:少しのちがいはあっても、大きなちがいはないこと
- 漁夫の利:二者が争っているすきに、第三者が利益を横取りすること
- 推敲:文章を何度も練り直すこと
意味をまちがえやすい言葉
ふだん使われている意味と、本来の意味がちがう言葉も、入試でねらわれます。
- 情けは人のためならず:人に親切にすると、めぐりめぐって自分にもよいことが返ってくる(「親切にするとその人のためにならない」ではない)
- 気が置けない:気をつかわなくてよい、遠慮がいらない(「油断できない」ではない)
- 役不足:その人の力に対して、役目が軽すぎる(「力が足りない」は「力不足」)
よくあるまちがいと対策
- 意味を何となく覚えて、選択肢でまよう:意味を自分の言葉で言いかえられるようにする
- 体の一部の慣用句を取りちがえる(例:目と鼻):体の一部ごとにまとめた表を作る
- ことわざの言葉を一部まちがえる(例:「猿も木から落ちる」を「猿が木から落ちる」):声に出して正確に覚える
- 故事成語の意味を、漢字だけから想像してまちがえる:もとの話とセットで覚える
家庭での教え方のコツ
生活の中で使ってみる
ことわざ・慣用句は、使ってこそ身につきます。子どもが失敗したときに「猿も木から落ちる、だね」、待ちどおしい行事の前に「首を長くして待っているね」など、家庭の会話で使ってみてください。
かるたやクイズで遊ぶ
ことわざかるたや、意味当てクイズは、楽しく覚えられる方法です。親子で問題を出し合うと、子どもも積極的に取り組めます。
学習漫画や本を活用する
ことわざや故事成語を、漫画やイラストで解説した本もたくさんあります。もとの話が絵で分かると、意味がぐっと記憶に残ります。
ことわざ・慣用句のよくある質問
どのくらいの数を覚えればいいですか?
学校によって出題の幅はちがいますが、中学受験向けの問題集や参考書にのっている、よく出るものから確実に覚えていきましょう。数を追うより、1つ1つの意味を正確に言えることのほうが大切です。
いつから覚え始めればいいですか?
ことわざ・慣用句は、低学年からでも楽しく覚えられる分野です。かるたや本で早めにふれておくと、高学年になってからの負担が軽くなります。4〜5年生で問題集に取り組み、6年生で知識問題の総まとめをするのがおすすめです。
四字熟語も出題されますか?
はい、四字熟語もよく出題されます。「一石二鳥」「十人十色」「異口同音」など、数字が入るものや、意味を選ぶ問題が多く出ます。ことわざ・慣用句と同じように、意味を自分の言葉で言えるようにしておきましょう。
ことわざ・慣用句の家での進め方
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 体の一部を使った慣用句を、体の部分ごとに覚える
- 動物を使ったことわざ・慣用句
- 似た意味・反対の意味のことわざをペアで覚える
- 故事成語を、もとの話とセットで覚える
- 意味をまちがえやすい言葉を確認する
1日10分、5つずつなど、少しずつ続けるのが効果的です。
練習問題にチャレンジ
問題1:( )に体の一部を入れて、慣用句を完成させましょう。(1)( )が痛い(自分の弱点を言われて聞くのがつらい)(2)( )を焼く(あつかいに困る)(3)( )が出る(予算をこえる)
問題2:「猿も木から落ちる」と似た意味のことわざを1つ答えましょう。
問題3:「急がば回れ」と反対の意味のことわざを答えましょう。
問題4:「蛇足」の意味を答えましょう。
答え
問題1:(1)耳(2)手(3)足です。
問題2:弘法にも筆の誤り、かっぱの川流れ、などです。
問題3:善は急げ、です。
問題4:よけいなもの、つけ加える必要のないもの、という意味です。蛇の絵に足までかき加えて、競争に負けた話から生まれた言葉です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:ことわざ・慣用句は「グループ」と「使う」で覚える
ことわざ・慣用句・故事成語は、一覧で丸暗記するより、体の一部・動物・似た意味・反対の意味などのグループで覚えると、忘れにくくなります。故事成語はもとの話とセットで、まちがえやすい言葉は本来の意味を確認しましょう。そして、家庭の会話で実際に使ってみることが、いちばんの近道です。
国語の知識分野は漢字の覚え方と熟語の組み立てでも解説しています。楽しく学べる本は小学生の中学受験におすすめの学習漫画ランキング、家庭学習の教材選びは塾無しで目指す中学受験のおすすめ参考書ランキングも参考にしてください。