「速さの問題になると、かけるのかわるのか分からなくなる」「時速を分速に直すところで、いつもまちがえる」
速さは、中学受験の算数でもっとも大切な単元の1つです。旅人算・通過算・流水算・時計算など、多くの特殊算が速さの考え方をもとにしています。速さの基本があやふやなまま応用に進むと、すべての速さの問題でつまずいてしまいます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、速さの3つの式、単位の直し方、平均の速さ、速さと比の考え方と、家での教え方をまとめました。
速さの3つの式
速さは、「一定の時間に、どれだけの道のりを進むか」を表したものです。速さの問題は、次の3つの式で解きます。
- 道のり=速さ×時間
- 速さ=道のり÷時間
- 時間=道のり÷速さ
速さは「道のり=速さ×時間」の1つの式から、ほかの2つを作れるようにします。
「はじき」「みはじ」などの図で覚える方法もよく知られていますが、図だけに頼ると、問題が少し複雑になったときに使えなくなることがあります。「分速80mで3分歩くと、80mの3つ分で240m進む」のように、意味から式を作れるようにしておきましょう。
例題1:分速80mで15分歩くと、何m進みますか。
80×15=1200mです。
例題2:1.8kmの道のりを12分で走りました。分速何mですか。
1.8kmは1800mなので、1800÷12=分速150mです。
例題3:分速60mで歩くと、900mの道のりを進むのに何分かかりますか。
900÷60=15分です。
単位の直し方

速さには、時速(1時間に進む道のり)、分速(1分間に進む道のり)、秒速(1秒間に進む道のり)があります。
- 時速を分速に直す:60でわる(1時間は60分)
- 分速を秒速に直す:60でわる(1分は60秒)
- 逆に直すときは、60をかける
例題4:時速36kmは、分速何m、秒速何mですか。
時速36kmは、1時間に36000m進む速さです。分速は36000÷60=600m、秒速は600÷60=10mです。
kmとmが混ざっているときは、先にmにそろえてから計算するとまちがえにくくなります。時間も、「1時間30分=1.5時間=90分」のように、問題に合わせて直す練習をしておきましょう。
時速÷60=分速、分速÷60=秒速。単位の直しを先にするとミスが減ります。
平均の速さ
例題5:家から12kmはなれた公園まで、行きは時速6km、帰りは時速4kmで歩きました。往復の平均の速さは時速何kmですか。
ここで「(6+4)÷2=時速5km」としてしまうのが、もっとも多いまちがいです。行きと帰りでかかった時間がちがうので、速さどうしを平均してはいけません。
平均の速さは、「全体の道のり÷全体の時間」で求めます。
- 行きの時間:12÷6=2時間
- 帰りの時間:12÷4=3時間
- 全体:道のり24km、時間5時間
- 平均の速さ:24÷5=時速4.8km
平均の速さは「全体の道のり÷全体の時間」。速さどうしを平均しないのが鉄則です。
速さと比
速さの問題は、比を使うと速く解けることがあります。
- 同じ時間なら、道のりの比=速さの比
- 同じ道のりなら、時間の比=速さの比の逆(逆比)
例題6:AさんとBさんが、同じ道のりを、Aさんは分速60m、Bさんは分速80mで歩きました。BさんはAさんより5分早く着きました。道のりは何mですか。
速さの比は60:80=3:4です。同じ道のりなので、かかる時間の比は逆の4:3です。
時間の比の差の1が5分にあたるので、Aさんのかかった時間は5×4=20分です。道のりは60×20=1200mです。
確かめると、Bさんは1200÷80=15分で、Aさんより5分早く着いています。
入試レベル:途中で速さを変える問題
例題7:家から2400mはなれた学校まで、はじめは分速60mで歩き、途中から分速100mで走ったところ、30分で着きました。歩いた時間は何分ですか。
この問題は、つるかめ算の考え方で解けます。30分間ずっと歩いたとすると、60×30=1800mしか進めず、2400mより600m足りません。
歩く1分を走る1分に代えるごとに、進む道のりは100-60=40mずつ増えます。600m増やすには、600÷40=15分走ればよいので、走った時間は15分、歩いた時間は30-15=15分です。
確かめると、60×15+100×15=900+1500=2400mです。
このように、速さの問題は、ほかの特殊算と組み合わさって出題されることがよくあります。速さの3つの式が自由に使えると、組み合わせの問題にも落ち着いて取り組めます。
例題8:同じ時間に、Aさんは1200m、Bさんは900m進みました。2人の速さの比を求めましょう。
同じ時間なら、道のりの比が速さの比になります。1200:900=4:3です。
よくあるまちがいと対策
- かけるかわるか迷う:「1分で80m、15分なら80mが15こ分」のように、意味から考える
- 単位をそろえずに計算する:kmとm、時間と分を、計算の前にそろえる
- 平均の速さで、速さどうしを平均する:全体の道のりと全体の時間を出してからわる
- 答えの単位を書きまちがえる:「分速何m」「時速何km」と聞かれている単位で答える
家庭での教え方のコツ
実際に歩いてはかってみる
家の近くの決まった道のりを、親子で歩いて時間をはかってみましょう。「100mを80秒で歩いたから、秒速1.25m、分速75m」のように、自分の速さを計算すると、速さの単位が実感できます。
車や電車の速さで考える
車のメーターに表示される「時速○km」や、新幹線の速さなど、身近な速さを話題にしてみてください。「時速60kmなら、1分で何km進む?」と聞くと、単位の直しの練習になります。
線分図をかく習慣をつける
速さの応用問題では、道のりを線分図にかいて、だれがどこまで進んだかを書きこむと、式が立てやすくなります。基本の段階から図をかく習慣をつけておくと、旅人算や通過算に進んだときに役立ちます。
速さのよくある質問
速さは何年生で学びますか?
小学校の算数では、5年生で「単位量あたりの大きさ」の一部として速さを学びます。中学受験向けの教材でも、4〜5年生ごろに学ぶことが多く、そのあと旅人算や通過算などの応用に進みます。
「はじき」の図は使わないほうがいいですか?
使ってもかまいません。ただ、図だけに頼ると、なぜその式になるのかが分からないまま進んでしまうことがあります。図は確認用にとどめ、「速さ×時間で道のり」という意味を言葉で説明できるようにしておくと、応用問題にも対応できます。
速さが苦手な子は、何から練習すればいいですか?
まずは、単位の直しと、3つの式の基本問題を確実にしましょう。分速や時速の数字が整数になる、計算しやすい問題から始め、慣れてきたら小数や分数の問題、比を使う問題へと進みます。
速さの家での進め方
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 道のり・速さ・時間の3つの式(例題1〜3)
- 時速・分速・秒速の直し方(例題4)
- 平均の速さ(例題5)
- 速さと比(例題6)
- 旅人算・通過算・流水算などの応用
練習問題にチャレンジ
問題1:時速4kmで2時間30分歩くと、何km進みますか。
問題2:秒速15mは、時速何kmですか。
問題3:片道1200mの道のりを、行きは分速60m、帰りは分速40mで歩きました。往復の平均の速さは分速何mですか。
答え
問題1:2時間30分は2.5時間なので、4×2.5=10kmです。
問題2:秒速15mは分速900m、時速54000m、つまり時速54kmです。
問題3:行きは1200÷60=20分、帰りは1200÷40=30分です。往復2400mを50分で歩いたので、2400÷50=分速48mです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:速さは「意味」と「単位」を大切に
速さの問題は、「道のり=速さ×時間」の意味を理解し、単位をそろえてから計算することが基本です。平均の速さは全体の道のり÷全体の時間、同じ道のりなら時間の比は速さの逆比。この基本が、旅人算や通過算など、すべての速さの応用問題の土台になります。
速さの応用は旅人算の出会い・追いつきの解き方、通過算の公式と図のかき方、流水算の解き方で解説しています。逆比は比の性質・比例配分・連比・逆比の解き方も参考にしてください。