「約数を書き出すと、いつも1つか2つ書きもらしてしまう」「最大公約数と最小公倍数、文章題でどちらを使うのか分からない」
約数と倍数は、中学受験の算数の「数の性質」の分野の土台になる単元です。分数の約分・通分はもちろん、仕事算や規則性、場合の数など、多くの単元で使います。入試でも、文章題や数の性質の問題として、くり返し出題されます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、約数・倍数の基本、すだれ算での最大公約数・最小公倍数の求め方、よく出る文章題と、家での教え方をまとめました。
約数と倍数の基本
- 約数:ある整数をわり切ることができる整数。12の約数は、1、2、3、4、6、12
- 倍数:ある整数に、1、2、3…をかけてできる整数。4の倍数は、4、8、12、16…
約数は数に限りがありますが、倍数はいくらでも続きます。
約数を書きもらさないコツ
約数は、「かけてその数になる2つの数」をペアで探すと、書きもらしがなくなります。
36の約数なら、
- 1×36、2×18、3×12、4×9、6×6
となるので、1、2、3、4、6、9、12、18、36の9個です。小さい数から順にわっていき、ペアの数が前と重なったら終わりです。
約数は「かけ算のペア」で探す。小さい数から順に調べれば、書きもらしがありません。
公約数・最大公約数
2つ以上の数に共通する約数を公約数、そのうちいちばん大きいものを最大公約数といいます。
12と18の公約数は、1、2、3、6で、最大公約数は6です。公約数は、すべて最大公約数の約数になっています。
公倍数・最小公倍数
2つ以上の数に共通する倍数を公倍数、そのうちいちばん小さいものを最小公倍数といいます。
4と6の公倍数は、12、24、36…で、最小公倍数は12です。公倍数は、すべて最小公倍数の倍数になっています。
すだれ算で求める
数が大きいときは、「すだれ算(連除法)」を使うと、最大公約数と最小公倍数を一度に求められます。

例題1:72と96の最大公約数と最小公倍数を求めましょう。
2つの数を並べて書き、両方をわり切れる数で、わり切れなくなるまでわり続けます。
- 左にたてに並んだ数をかけると、最大公約数:2×2×2×3=24
- 左の数と、下に残った数を全部かけると(L字)、最小公倍数:24×3×4=288
確かめると、72=24×3、96=24×4で、どちらも24でわり切れます。
すだれ算は「左にたて=最大公約数」「L字に全部=最小公倍数」。
よく出る文章題
文章題では、最大公約数と最小公倍数のどちらを使うかを見分けることが大切です。
- 「できるだけ大きく分ける」「同じ数ずつ余りなく分ける」→最大公約数
- 「次に同時になるのは」「同じ長さにそろえる」→最小公倍数
正方形でしきつめる(最大公約数)
例題2:たて72cm、横96cmの長方形の紙を、余りが出ないように同じ大きさの正方形に切り分けます。できるだけ大きな正方形にするとき、1辺は何cmで、何枚できますか。
正方形の1辺は、72と96の両方をわり切る数で、できるだけ大きいものなので、最大公約数の24cmです。たてに72÷24=3枚、横に96÷24=4枚で、3×4=12枚できます。
同時に出発する(最小公倍数)
例題3:ある駅から、A行きのバスは12分おき、B行きのバスは18分おきに出発します。午前8時に同時に出発しました。次に同時に出発するのは何時何分ですか。
12と18の最小公倍数は36なので、36分後の午前8時36分です。
倍数の個数
例題4:1から100までの整数のうち、3でも4でもわり切れない数は何個ありますか。
- 3の倍数:100÷3=33余り1なので33個
- 4の倍数:100÷4=25個
- 3と4の両方の倍数(12の倍数):100÷12=8余り4なので8個
- 3または4でわり切れる数:33+25-8=50個
- 3でも4でもわり切れない数:100-50=50個
両方の倍数を2回数えてしまわないように、ひいておくのがポイントです。この考え方は、ベン図(円を重ねた図)で整理すると分かりやすくなります。
余りがある問題
例題5:5でわっても7でわっても3余る整数のうち、3より大きくて最も小さい数はいくつですか。
5でわっても7でわっても3余る数は、「5と7の公倍数+3」です。5と7の最小公倍数は35なので、35+3=38です。
入試レベル:約数の個数を求める
例題6:72の約数は何個ありますか。
72を、素数のかけ算に分けます(素因数分解)。
72=2×2×2×3×3
約数は、2を0〜3個、3を0〜2個選んでかけたものです。2の選び方が4通り、3の選び方が3通りなので、約数の個数は4×3=12個です。
書き出して確かめると、1、2、3、4、6、8、9、12、18、24、36、72の12個です。
また、約数の個数が奇数になるのは、36(6×6)のように、同じ数を2回かけた数(平方数)だけです。平方数は、かけ算のペアの1つが「6×6」のように同じ数になるので、約数の個数が奇数になります。この性質も、入試でよく問われます。
よくあるまちがいと対策
- 約数を書きもらす:かけ算のペアで探す
- 1やその数自身を約数に入れ忘れる:約数には、1とその数自身もふくまれる
- 文章題で、最大公約数と最小公倍数を取りちがえる:「分ける」は公約数、「そろえる・同時」は公倍数
- 倍数の個数で、両方の倍数を2回数える:重なりをひく
家庭での教え方のコツ
九九を自由に使えるようにする
約数・倍数の計算は、九九がすらすら出てくるかどうかで、速さと正確さが大きく変わります。「36になる九九は?」「7の段で50に近いのは?」など、九九を逆から考える練習をしておきましょう。
身近な場面で考える
「おかし24個とあめ36個を、同じ数ずつ余りなく何人かに分けると、最大で何人?」のように、身近な場面で問題を出すと、最大公約数の意味が実感できます。
わり算の暗算を練習する
すだれ算では、2、3、5、7などで、すばやくわれるかが大切です。2の倍数は一の位が偶数、3の倍数は各位の数の和が3の倍数、5の倍数は一の位が0か5、などの見分け方も覚えておくと便利です。
約数と倍数のよくある質問
約数と倍数は何年生で学びますか?
小学校の算数では、5年生で学びます。中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろに学ぶことが多く、6年生で数の性質の応用問題に取り組みます。
素数も覚える必要がありますか?
素数(1とその数自身しか約数がない、1より大きい整数)は、数の性質の問題でよく出ます。2、3、5、7、11、13、17、19…と、小さい素数は覚えておくと便利です。
3つの数の最大公約数・最小公倍数はどう求めますか?
すだれ算で、3つの数を並べて同じようにわります。最大公約数は、3つすべてをわり切れる数でわったものだけをかけます。最小公倍数は、2つだけがわり切れるときもわって、わり切れない数はそのまま下におろし、最後に全部をかけます。
約数と倍数の家での進め方
- 約数・倍数の意味と、約数の見つけ方
- 公約数・最大公約数、公倍数・最小公倍数
- すだれ算(例題1)
- 文章題(例題2〜5)
練習問題にチャレンジ
問題1:36の約数をすべて書きましょう。
問題2:48と60の最大公約数と最小公倍数を求めましょう。
問題3:1から200までの整数のうち、6の倍数は何個ありますか。
答え
問題1:1、2、3、4、6、9、12、18、36の9個です。
問題2:すだれ算で2、2、3とわると、4と5が残ります。最大公約数は2×2×3=12、最小公倍数は12×4×5=240です。
問題3:200÷6=33余り2なので、33個です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:約数・倍数は「ペア」と「すだれ算」で
約数はかけ算のペアで書きもらしなく探し、最大公約数・最小公倍数はすだれ算で求めます。文章題では、「分ける」なら公約数、「そろえる・同時」なら公倍数。この見分けができれば、多くの問題に対応できます。
最小公倍数を使う仕事算は全体を最小公倍数で考える仕事算の解き方、数の並び方の問題は規則性の解き方で解説しています。算数のつまずき全体については中学受験の算数についていけない原因と立て直し方も参考にしてください。