「仕事算の問題を見ると、分数がたくさん出てきて子どもが混乱する」「全体を1とする、という説明がピンとこないみたい」
仕事算は、何人かで仕事をしたときに何日かかるか、といった問題です。中学受験の算数では、水そうに水を入れる問題や、人数と日数の問題など、形を変えてよく出題されます。
仕事算でつまずく原因の多くは、「全体を1とする」と、いきなり分数で考えることです。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、分数を使わずに「仕事全体を最小公倍数で決める」わかりやすい解き方と、よく出るパターン、家での教え方をまとめました。
仕事算とは?基本の考え方
仕事算は、次の関係を使って解きます。
- 仕事全体の量=1日にする仕事の量×日数
- 日数=仕事全体の量÷1日にする仕事の量
これは、速さの「道のり=速さ×時間」と同じ形です。ただし、仕事算の問題では、仕事全体の量が数で書かれていません。「Aさんは12日で終える」のように、日数しか分からないのがむずかしいところです。
そこで、仕事全体の量を、自分で決めてしまうのが仕事算のコツです。
仕事算は「全体の量を自分で決める」。日数の最小公倍数にすると、分数を使わずに解けます。
全体を最小公倍数で決める解き方
例題1:ある仕事を、Aさん1人ですると12日、Bさん1人ですると6日で終わります。2人でいっしょにすると、何日で終わりますか。

12と6の最小公倍数は12なので、仕事全体の量を「12」と決めます。
- Aさん:12日で12の仕事をするので、1日に12÷12=1
- Bさん:6日で12の仕事をするので、1日に12÷6=2
- 2人で1日に:1+2=3
- かかる日数:12÷3=4日
全体を1とする方法では、Aは1日に12分の1、Bは6分の1で、たすと4分の1になり、1÷4分の1=4日と求めます。答えは同じですが、最小公倍数の方法なら、整数だけで計算できます。
なぜ最小公倍数なのか
全体の量は、本当は何でもかまいません。12でも24でも、答えは同じになります。ただ、それぞれの日数で割り切れる数にしておかないと、1日の量が分数になってしまいます。最小公倍数にするのは、計算をいちばん楽にするためです。
途中で人が交代する問題
例題2:ある仕事を、Aさん1人ですると15日、Bさん1人ですると10日で終わります。はじめの5日はAさん1人でして、残りを2人でしました。全部で何日かかりましたか。
15と10の最小公倍数30を全体の量にします。
- Aさん:1日に30÷15=2
- Bさん:1日に30÷10=3
- はじめの5日でAさんがした量:2×5=10
- 残りの量:30-10=20
- 残りを2人でする日数:20÷(2+3)=4日
- 全部で:5+4=9日
途中で交代する問題は、「だれが、何日、どれだけしたか」を順番に書き出すと、整理しやすくなります。
水そうの問題(給水と排水)
水そうに水を入れる問題も、仕事算と同じ考え方で解けます。「仕事」が「水の量」に、「日数」が「時間」に変わるだけです。
例題3:ある水そうに、給水管Aだけで水を入れると20分、給水管Bだけで入れると30分でいっぱいになります。AとBの両方で入れると、何分でいっぱいになりますか。
20と30の最小公倍数60を、水そうの量にします。Aは1分に3、Bは1分に2入るので、両方で1分に5です。60÷5=12分です。
例題4:例題3の水そうに、給水管Aで水を入れながら、同時に排水管Cから水を出します。Cだけで、いっぱいの水そうを30分で空にできます。空の水そうに、AとCを同時に開けると、何分でいっぱいになりますか。
60を水そうの量とすると、Aは1分に3入れ、Cは1分に2出します。1分に増える量は3-2=1なので、60÷1=60分です。
排水管があるときは、入る量から出る量をひいて「1分に増える量」を考えます。
のべ人数(人×日)で考える問題
例題5:6人ですると10日かかる仕事があります。この仕事を4人ですると、何日かかりますか。ただし、1人が1日にする仕事の量はみんな同じとします。
1人が1日にする仕事の量を1とすると、仕事全体は6×10=60です。これを「のべ60人日」といいます。4人ですると、60÷4=15日です。
人数が少なくなると日数が増える、という関係は、比の単元で学ぶ「反比例」の考え方にもつながります。
よくあるまちがいと対策
- 2人の日数をたして「12+6=18日」としてしまう:2人ですれば1人より早く終わるはずなので、答えがどちらの日数より短いか、必ず確かめる
- 全体の量を決めずに、日数どうしで計算してしまう:最初に「全体を○とする」と書く習慣をつける
- 途中交代の問題で、それぞれの日数を取りちがえる:「Aが○日、2人で○日」と、表にして整理する
- 排水管の量を、ひかずにたしてしまう:入る管と出る管を、色を分けて書き出す
答えの見当をつける習慣は、とても大切です。「AだけでもBだけでも6日以上かかるのに、2人で18日」はおかしい、と気づけるようになると、ミスがぐっと減ります。
家庭での教え方のコツ
身近な仕事で考える
「お父さんは部屋の片づけに30分、あなたは60分かかるとしたら、2人でやると何分?」のように、身近な場面で問題を出してみてください。2人ですると早く終わるのは当たり前、という感覚が、答えの見当をつける力になります。
図や表をかかせる
例題1の図のように、全体の量をマスで表すと、1日にどれだけ進むかが目に見えます。最初のうちは、全体を12マスや30マスのテープにして、1日分ずつ色をぬらせるのもおすすめです。
最小公倍数の計算を練習しておく
仕事算は、最小公倍数がすばやく出せるかどうかで、解く速さが大きく変わります。つまずくときは、仕事算の前に、約数・倍数の計算練習をはさみましょう。
仕事算は何年生で?家での進め方
仕事算は、中学受験向けの教材では5年生ごろに学ぶことが多い単元です。最小公倍数と、割合・分数の基本が身についていることが前提になります。
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 全体を最小公倍数で決めて、2人でする日数を求める(例題1)
- 途中で交代する問題(例題2)
- 水そうの給水・排水の問題(例題3・4)
- のべ人数の問題(例題5)
1日2〜3問ずつ、最初に「全体を○とする」と書いてから解く習慣をつけましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:ある仕事を、Aさん1人ですると10日、Bさん1人ですると15日で終わります。2人でいっしょにすると、何日で終わりますか。
問題2:ある仕事を、Aさん1人ですると9日、Bさん1人ですると18日で終わります。はじめの3日は2人でして、残りをBさん1人でしました。全部で何日かかりましたか。
問題3:8人ですると6日かかる仕事を、12人ですると何日かかりますか。
答え
問題1:全体を30とすると、Aは1日に3、Bは1日に2です。30÷(3+2)=6日です。
問題2:全体を18とすると、Aは1日に2、Bは1日に1です。はじめの3日で(2+1)×3=9、残りは18-9=9です。Bさん1人で9÷1=9日かかるので、全部で3+9=12日です。
問題3:全体は8×6=48なので、48÷12=4日です。
仕事算のよくある質問
全体を「1」とする方法と、最小公倍数にする方法は、どちらがいいですか?
どちらでも同じ答えになります。分数の計算に慣れていない子には、整数だけで計算できる最小公倍数の方法がおすすめです。一方、日数が「何分の何日」のように分数で出てくる問題では、全体を1とする方法のほうが楽なこともあります。まずは最小公倍数の方法で考え方を身につけ、慣れてきたら両方を使い分けられるようにしましょう。
3人で仕事をする問題はどう解きますか?
考え方は2人のときと同じです。3人の日数の最小公倍数を全体の量にして、それぞれが1日にする量を出し、たし合わせます。たとえば、Aが6日、Bが10日、Cが15日で終える仕事なら、全体を30として、Aは1日に5、Bは3、Cは2です。3人なら1日に10なので、30÷10=3日で終わります。
仕事算はほかの単元とどうつながりますか?
全体の量を自分で決める考え方は、ニュートン算や、水そうの問題、比の問題でもよく使います。また、「人数が2倍になれば日数は半分」という関係は、反比例の考え方そのものです。仕事算をしっかり理解しておくと、こうした応用問題にも取り組みやすくなります。
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まとめ:仕事算は「全体を決める」ことから
仕事算は、仕事全体の量を、日数の最小公倍数で自分で決めることから始めます。そうすれば、1日にする量が整数で出て、あとはたし算・ひき算・わり算で解けます。水そうの問題やのべ人数の問題も、同じ考え方の仲間です。
全体を「1」や「比」で考える方法は、割合の3つの式と帯図や比の性質・比例配分・連比・逆比の解き方で解説しています。家庭学習の教材選びは塾無しで目指す中学受験のおすすめ参考書ランキングも参考にしてください。