「ニュートン算は、何を求めているのか分からなくなる」「牧場の牛の問題を説明しようとして、親の方が混乱してしまった」
ニュートン算は、量が増えながら同時に減っていく場面を考える問題です。中学受験の算数の特殊算の中では、むずかしい部類に入ります。行列に人が並びながら入場していく、牧場の草が生えながら牛に食べられていく、といった場面がよく出題されます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、ニュートン算の考え方を「1分あたりに減る量」から整理し、行列の問題、牧草の問題、窓口の数を求める問題と、家での教え方をまとめました。
ニュートン算とは?「増える」と「減る」が同時に起こる
ニュートン算の問題には、次の3つの量が出てきます。
- はじめにある量(はじめに並んでいる人数、はじめに生えている草の量など)
- 1分(1日)ごとに増える量(あとから並ぶ人、新しく生える草)
- 1分(1日)ごとに減らす量(入場する人、牛が食べる草)
増える量と減らす量が同時に動くので、むずかしく見えます。でも、「1分ごとに、差し引きでどれだけ減るか」を考えれば、ふつうのわり算の問題になります。
ニュートン算は「1分ごとに、減らす量-増える量」で、実際に減る量を考えます。
基本:行列がなくなるまでの時間
例題1:ある遊園地の入場口に、開場のときに180人が並んでいました。その後も、行列には1分ごとに10人ずつ人が加わります。入場口から1分に20人ずつ入場させると、行列がなくなるのは開場から何分後ですか。

1分ごとに、20人が入場して、10人が加わります。差し引きで、行列は1分に20-10=10人ずつ減っていきます。
はじめの180人の行列が、1分に10人ずつ減るので、180÷10=18分後に行列がなくなります。
確かめてみましょう。18分間で入場した人は20×18=360人、あとから加わった人は10×18=180人です。はじめの180人とあとから加わった180人を合わせると360人で、入場した人数と一致します。
線分図で考える
図のように、「はじめに並んでいる人」と「あとから増える人」を1本の線分につなげると、その合計が「入場させた人の合計」と等しくなります。ニュートン算の線分図は、この形が基本です。
例題2:例題1で、入場口を2つにして、1分に40人ずつ入場させると、行列がなくなるのは何分後ですか。
1分に減る人数は40-10=30人なので、180÷30=6分後です。入場口を2倍にしても、時間はちょうど半分(9分)にはならない、というところがニュートン算の特ちょうです。
応用:はじめの量と増える量を求める(牧草の問題)
入試でよく出るのは、「はじめの量」や「1日に増える量」が書かれていない問題です。2つの場面を比べて、それらを求めます。
例題3:ある牧場では、毎日同じ量の草が生えます。この牧場に牛を10頭放すと20日で、15頭放すと10日で、草を食べつくします。牛を25頭放すと、何日で草を食べつくしますか。ただし、どの牛も1日に食べる量は同じとします。
牛1頭が1日に食べる草の量を「1」とします。
- 10頭で20日:食べた草は10×20=200
- 15頭で10日:食べた草は15×10=150
どちらも「はじめの草+その日数の間に生えた草」を食べつくしています。はじめの草は同じなので、200と150の差の50は、20日と10日の差の10日間に生えた草です。
- 1日に生える草:50÷10=5
- はじめの草:200-5×20=100
25頭を放すと、1日に減る草は25-5=20なので、100÷20=5日で食べつくします。
確かめると、10頭のとき100÷(10-5)=20日、15頭のとき100÷(15-5)=10日で、問題と合います。
2つの場面の「食べた量の差」は、「日数の差の間に増えた量」です。
応用:窓口の数を求める
例題4:あるコンサート会場の入口に、開場のときに300人が並んでいました。その後も、1分に15人ずつ行列に加わります。入口の窓口1つでは、1分に15人ずつ入場させられます。開場から10分で行列をなくすには、窓口をいくつ開ければよいですか。
10分で行列をなくすには、10分間に「はじめの300人+10分間に加わる人」を入場させる必要があります。
- 10分間に加わる人:15×10=150人
- 10分間に入場させる人:300+150=450人
- 1分に入場させる人:450÷10=45人
- 窓口の数:45÷15=3つ
確かめると、窓口3つで1分に45人入場し、15人加わるので、行列は1分に30人ずつ減ります。300÷30=10分で、問題と合います。
よくあるまちがいと対策
- 増える量を忘れて、180÷20としてしまう:問題文から「はじめの量」「増える量」「減らす量」の3つを書き出してから解く
- 2つの場面を比べるとき、日数をそろえずに差をとる:食べた量の差と、日数の差をセットで書く
- 窓口を2倍にすれば時間も半分、と考えてしまう:例題2のように、必ず「1分に減る量」を計算し直す
ニュートン算は、式だけを追うと何をしているのか見失いやすい単元です。線分図をかいて、「はじめの量」と「増える量」の合計が「減らした量」と等しくなることを、毎回確かめましょう。
家庭での教え方のコツ
身近な行列で考える
スーパーのレジやテーマパークの行列など、子どもが見たことのある場面で考えると、イメージがわきやすくなります。「並んでいる人がいるのに、後ろからどんどん人が来る。それでも行列が短くなるのはどんなとき?」と聞いてみてください。
牧草の問題は「1」を決めてから
牧草の問題がむずかしく感じるのは、「草の量」に単位がないからです。仕事算と同じように、「牛1頭が1日に食べる量を1とする」と最初に決めると、すべての量を数で表せるようになります。
段階をふむ
いきなり牧草の問題に入らず、例題1のように「はじめの量」と「増える量」が分かっている行列の問題から始めましょう。「1分に減る量」の考え方が身についてから、2つの場面を比べる問題に進むと、つまずきにくくなります。
ニュートン算は何年生で?家での進め方
ニュートン算は、中学受験向けの教材では5〜6年生で学ぶことが多い単元です。仕事算と、線分図を使う特殊算に慣れていることが前提になります。
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- はじめの量・増える量が分かっている行列の問題(例題1・2)
- 2つの場面を比べて、増える量とはじめの量を求める問題(例題3)
- 窓口の数や、ポンプの台数を求める問題(例題4)
1日1〜2問、線分図をていねいにかいて解くのがおすすめです。
練習問題にチャレンジ
問題1:開場のときに240人が並んでいて、その後1分に12人ずつ行列に加わります。1分に20人ずつ入場させると、行列がなくなるのは何分後ですか。
問題2:毎日同じ量の草が生える牧場に、牛を6頭放すと30日で、10頭放すと10日で草を食べつくします。牛を16頭放すと、何日で食べつくしますか。
答え
問題1:1分に減る人数は20-12=8人です。240÷8=30分後です。
問題2:牛1頭が1日に食べる量を1とします。6×30=180、10×10=100で、差の80は20日間に生えた草です。1日に生える草は80÷20=4、はじめの草は180-4×30=60です。16頭なら1日に16-4=12ずつ減るので、60÷12=5日です。
ニュートン算のよくある質問
ニュートン算の名前の由来は何ですか?
物理学者のニュートンが書いた本の中に、牧場の草と牛の問題がのっていたことから、この名前で呼ばれるようになったといわれています。名前はむずかしそうですが、中身は「増える量と減る量を差し引きする」という考え方で、小学生でも図を使えば十分に解ける問題です。
仕事算とニュートン算は、何がちがうのですか?
仕事算では、仕事の量は最初から決まっていて、あとから増えることはありません。ニュートン算では、仕事をしている間にも、行列の人や牧場の草のように、量がどんどん増えていきます。この「あとから増える量」があるかどうかが、2つの単元のいちばんのちがいです。
ニュートン算は入試によく出ますか?
難関校を中心に、行列・牧草・ポンプで水をくみ出す問題などの形で出題されることがあります。問題文は長くなりがちですが、「はじめの量」「1分(1日)に増える量」「1分(1日)に減らす量」の3つを書き出せば、どの形の問題も同じ考え方で解けます。まずは例題1〜4の形を、線分図をかいて確実に解けるようにしておきましょう。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「算数・特殊算パック①」に入っています。
まとめ:ニュートン算は「実際に減る量」で考える
ニュートン算は、増える量と減らす量が同時に動く問題です。「1分ごとに、減らす量-増える量」で実際に減る量を出せば、はじめの量をわるだけで答えが求まります。はじめの量や増える量が分からないときは、2つの場面の差に注目しましょう。
全体の量を自分で決める考え方は仕事算のわかりやすい解き方、差に注目する考え方はつるかめ算の面積図での解き方で解説しています。算数のつまずき全体については中学受験の算数についていけない原因と立て直し方も参考にしてください。