「太い電熱線のほうがよく発熱すると覚えたのに、直列つなぎの問題でまちがえた」「水の温度が何度上がるか、という計算の考え方が分からない」
電流と発熱は、中学受験の理科の電気分野で、電気回路や電磁石と並んでよく出題される単元です。電熱線の太さや長さによる発熱のちがい、つなぎ方による発熱のちがい、水の温度上昇の計算などが問われます。
一見ややこしく見えますが、「電流の流れやすさ」と「つなぎ方」を整理すれば、筋道立てて考えられます。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、電熱線の発熱のしくみと計算の考え方をまとめました。
電熱線と発熱
電熱線は、電流を流すと熱を出す金属の線です。ドライヤー、トースター、電気ストーブなどに使われています。
電熱線の発熱は、電流が大きいほど、また電流を流す時間が長いほど、大きくなります。
電熱線の太さ・長さと電流の流れやすさ
同じ材料の電熱線では、太さと長さによって、電流の流れやすさが変わります。
- 太いほど、電流が流れやすい
- 短いほど、電流が流れやすい
例えば、断面積が2倍の太さの電熱線には、同じ電池につなぐと、約2倍の電流が流れます。長さが2倍の電熱線には、約2分の1の電流が流れます。
電熱線は「太いほど、短いほど」電流が流れやすい。
つなぎ方と発熱

太い電熱線と細い電熱線(長さは同じ)をつなぐとき、どちらがよく発熱するかは、つなぎ方によって逆になります。
| つなぎ方 | よく発熱するほう | 理由 |
|---|---|---|
| 並列つなぎ | 太い電熱線 | どちらにも同じ電池の力がかかり、流れやすい太いほうに大きな電流が流れる |
| 直列つなぎ | 細い電熱線 | どちらにも同じ大きさの電流が流れ、流れにくい細いほうで多くの熱が出る |
| 1本ずつ電池につなぐ | 太い電熱線 | 並列つなぎと同じ考え方 |
並列では太いほう、直列では細いほうがよく発熱します。「太いほうがいつも発熱する」とは限りません。
直列つなぎの場合、細い電熱線は電流を通しにくいぶん、そこでより多くの電気のはたらきが熱に変わる、と考えると分かりやすくなります。
水の温度上昇の計算
電熱線で水を温める実験では、次の関係を使います。
- 水の温度の上がり方は、電流を流した時間に比例する
- 同じ発熱なら、水の量が2倍になると、温度の上がり方は2分の1になる
例題1:電熱線Aを電池につなぎ、100gの水を温めたところ、5分間で水の温度が4℃上がりました。同じように15分間温めると、水の温度は何℃上がりますか。
時間が3倍なので、温度の上がり方も3倍で、4×3=12℃です。
例題2:例題1の電熱線Aで、200gの水を5分間温めると、何℃上がりますか。
水の量が2倍なので、温度の上がり方は2分の1で、4÷2=2℃です。
温度の上がり方は「時間に比例」「水の量に反比例」。
例題3:電熱線Aと同じ長さで、断面積が2倍の電熱線Bを、同じ電池に1本だけつなぎ、100gの水を5分間温めました。水の温度は何℃上がりますか。
電熱線Bには、Aの約2倍の電流が流れるので、発熱も約2倍になります。4×2=8℃です。
電気をつくる・ためる・変える
電気の利用の単元では、電気のはたらきの変換もよく出ます。
- 光に変える:電球、発光ダイオード(LED)
- 音に変える:ブザー、スピーカー
- 熱に変える:電熱線、アイロン
- 運動に変える:モーター
手回し発電機を回すと電気をつくることができ、コンデンサーには電気をためることができます。発光ダイオードは、豆電球よりも少ない電気で長い時間光ることも、実験でよく確かめられます。
長さを変えたときの発熱
同じ太さで、長さのちがう電熱線を比べることもあります。長い電熱線ほど電流が流れにくいので、太さを変えたときと同じように考えます。
| つなぎ方 | よく発熱するほう |
|---|---|
| 並列つなぎ(または1本ずつ) | 短い電熱線 |
| 直列つなぎ | 長い電熱線 |
例題4:同じ太さで、長さ10cmと20cmの電熱線を直列につなぎました。よく発熱するのはどちらですか。
直列つなぎでは、電流が流れにくいほうがよく発熱するので、長さ20cmの電熱線です。
「流れやすい=太い・短い」「流れにくい=細い・長い」と整理すれば、長さの問題も同じように解けます。
よくあるまちがいと対策
- 直列つなぎでも太いほうがよく発熱すると答える:直列では細いほう
- 長い電熱線のほうが、電流が流れやすいと考える:長いほど流れにくい
- 水の量が2倍になっても、温度の上がり方が同じと考える:水の量に反比例する
- 発光ダイオードの向きを考えない:発光ダイオードは、決まった向きに電流が流れたときだけ光る
家庭での覚え方のコツ
家の電気製品を分類する
家の中の電気製品を、「光・音・熱・運動」のどれに電気を変えているかで分類してみましょう。ドライヤーは熱と運動(ファン)の両方、など、いくつかに分かれるものもあります。
水道管にたとえる
電流は水の流れ、電熱線は水道管にたとえると分かりやすくなります。太くて短い管ほど水がたくさん流れ、細くて長い管は流れにくい、というイメージです。
表に整理する
「並列なら太いほう、直列なら細いほう」を表にして、理由といっしょに覚えましょう。理由まで説明できると、記述問題にも対応できます。
電流と発熱のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の理科では、6年生で電気の利用(発電・蓄電・電気の変換)を学びます。電熱線の発熱の計算は、中学受験向けの教材で、6年生ごろに学ぶことが多い内容です。
電気回路の単元を先に学んだほうがいいですか?
はい、直列・並列つなぎで電流がどう変わるかが分かっていると、発熱の問題が理解しやすくなります。電気回路を先に確認しておきましょう。
計算問題はどのくらい出ますか?
水の温度上昇の計算は、比例・反比例の考え方で解けます。比例と反比例の考え方を確認しておくと、計算がスムーズになります。
練習問題にチャレンジ
問題1:電熱線Aで100gの水を5分間温めると4℃上がりました。15分間温めると何℃上がりますか。
問題2:電熱線Aで50gの水を5分間温めると、何℃上がりますか。
問題3:同じ長さの太い電熱線と細い電熱線を並列につなぎました。よく発熱するのはどちらですか。
問題4:同じ長さの太い電熱線と細い電熱線を直列につなぎました。よく発熱するのはどちらですか。
答え
問題1:時間が3倍なので、12℃です。
問題2:水の量が2分の1なので、温度の上がり方は2倍で、8℃です。
問題3:太い電熱線です。
問題4:細い電熱線です。
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まとめ:発熱は「流れやすさ」と「つなぎ方」で考える
電熱線は、太いほど、短いほど電流が流れやすくなります。並列つなぎでは太いほう、直列つなぎでは細いほうがよく発熱します。水の温度の上がり方は、時間に比例し、水の量に反比例します。理由とセットで整理しましょう。