「電磁石のどちら側がN極になるのか、いつも迷う」「巻き数と電流のどちらの条件を比べる実験なのか、表から読み取れない」
電磁石は、中学受験の理科の電気分野で、電気回路と並んでよく出題される単元です。電磁石の極の決まり方、強さを変える条件、条件をそろえた実験の読み取りなどが問われます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、電流と磁力の関係、電磁石の極、強さの条件、実験の比べ方を整理し、家での覚え方をまとめました。
電流と磁力
導線に電流を流すと、そのまわりに磁力が生まれます。導線の近くに方位磁針を置くと、針がふれるのはこのためです。電流の向きを逆にすると、針のふれる向きも逆になります。
導線をぐるぐる巻いたものを「コイル」といいます。コイルに電流を流すと、コイルは磁石のようなはたらきをします。コイルの中に鉄しんを入れると、磁力がさらに強くなります。これが電磁石です。
電磁石は「コイル+鉄しん+電流」。電流が流れているときだけ、磁石のはたらきをします。
電磁石と永久磁石のちがい
| 電磁石 | 永久磁石 | |
|---|---|---|
| 磁力 | 電流を流したときだけ | いつもある |
| 極(N極・S極) | 電流の向きで入れかわる | 決まっている |
| 強さ | 巻き数や電流で変えられる | 変えられない |
電磁石の便利なところは、電流を切れば磁力をなくせることと、強さや極を変えられることです。
電磁石の極の決まり方
電磁石のN極とS極は、コイルに流れる電流の向きで決まります。
右手の親指以外の4本の指を、コイルに流れる電流の向きに合わせてコイルをにぎると、親指の向く側がN極になります。
- 電流の向きを逆にすると、N極とS極が入れかわる
- 電池の向きを逆にすると、電流の向きが逆になる
電流の向きにそって右手でにぎると、親指の側がN極。電流が逆なら極も逆です。
方位磁針を電磁石のはしに近づけると、N極には方位磁針のS極が、S極には方位磁針のN極が引きつけられます。これで、電磁石の極を確かめることができます。
電磁石を強くする条件

電磁石の強さは、次の条件で変わります。
- コイルの巻き数を多くする
- 流れる電流を大きくする(かん電池を直列につなぐ)
- 鉄しんを入れる
かん電池を並列につないでも、電流の大きさはかん電池1個のときとほぼ同じなので、電磁石の強さはほとんど変わりません。
巻き数を多く、電流を大きくすると強くなる。並列つなぎでは強さは変わりません。
条件をそろえた実験の比べ方
電磁石の実験では、「調べたい条件だけを変え、それ以外の条件はそろえる」ことが大切です。
| 電磁石 | 巻き数 | かん電池 | 導線の全体の長さ | 引きつけたクリップの数 |
|---|---|---|---|---|
| ア | 100回 | 1個 | 同じ | 10個 |
| イ | 200回 | 1個 | 同じ | 20個 |
| ウ | 100回 | 2個(直列) | 同じ | 20個 |
例題1:上の表で、巻き数と電磁石の強さの関係を調べるには、どれとどれを比べればよいですか。
巻き数だけがちがい、かん電池の数が同じアとイを比べます。
例題2:電流の大きさと電磁石の強さの関係を調べるには、どれとどれを比べればよいですか。
かん電池の数だけがちがい、巻き数が同じアとウを比べます。
導線の全体の長さをそろえるのは、導線が長いと電流が流れにくくなり、電流の大きさが変わってしまうからです。巻き数を変えるときは、余った導線を切らずに、まとめておきます。
比べるときは「調べたい条件だけがちがう2つ」を選びます。
電磁石の利用
電磁石は、身のまわりの多くの道具に使われています。
- モーター:電磁石と永久磁石が引き合ったり、しりぞけ合ったりして回る
- スピーカー:電磁石のはたらきで、まくをふるわせて音を出す
- 鉄くずを運ぶクレーン:電流を流すと鉄を持ち上げ、切ると落とす
- 電磁石を使ったブザーやチャイム
電磁石とモーターのしくみ
電磁石の利用の中で、入試でよく取り上げられるのがモーターです。
モーターの中には、電磁石(コイル)と永久磁石が入っています。コイルに電流を流すと電磁石になり、まわりの永久磁石と引き合ったり、しりぞけ合ったりして回転します。回転の途中で電流の向きが入れかわるしくみがあるため、同じ向きに回り続けることができます。
- 電流の向きを逆にすると、モーターの回る向きも逆になる
- 電流を大きくすると、モーターは速く回る
例題3:モーターの回る向きを逆にするには、どうすればよいですか。
かん電池の向きを逆にして、電流の向きを逆にします。
よくあるまちがいと対策
- 電池を並列にすると強くなると考える:並列では電流はほぼ変わらない
- 比べる実験で、2つ以上の条件がちがうものを選ぶ:「ちがうのは1つだけ」を確認する
- 極を確かめるとき、方位磁針のどちらが引きつけられるかを逆にする:「N極にはS極が引きつけられる」
- 導線の長さをそろえる理由が書けない:「電流の大きさを同じにするため」
家庭での覚え方のコツ
実験の表を自分で作る
教科書や参考書の実験を見たら、「変えた条件」と「そろえた条件」を自分で表に書き出してみましょう。条件をそろえる考え方は、電磁石だけでなく、ふりこや植物の実験など、理科全体で使えます。
身のまわりのモーターを探す
扇風機、ドライヤー、電動歯ブラシなど、家の中でモーターが入っている道具を親子で探してみてください。電磁石が生活の中で使われていることが実感できます。
右手を実際に動かす
極の問題では、図を見ながら、実際に右手でにぎる形をつくって確かめる習慣をつけましょう。頭の中だけで考えるより、まちがいが減ります。
電磁石のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の理科では、5年生で電流がつくる磁力(電磁石)を学びます。中学受験向けの教材では、5〜6年生ごろに学び、電気回路の単元とあわせて出題されることが多い単元です。
電気回路とどうつながりますか?
電磁石の強さは電流の大きさで決まるので、直列・並列つなぎで電流がどう変わるかが分かっていると、問題が解きやすくなります。電気回路(直列・並列)の考え方もあわせて確認してください。
方位磁針のふれ方の問題も出ますか?
はい、導線の上や下に方位磁針を置いたときの、針のふれる向きを問う問題も出ます。まずは「電流の向きを逆にすると、ふれる向きも逆」という基本を押さえましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:電磁石のN極とS極を入れかえるには、どうすればよいですか。
問題2:電磁石を強くする方法を2つ答えましょう。
問題3:かん電池2個を並列につなぐと、1個のときと比べて、電磁石の強さはどうなりますか。
問題4:巻き数と電磁石の強さの関係を調べるとき、導線の全体の長さをそろえるのはなぜですか。
答え
問題1:電流の向きを逆にします(かん電池の向きを逆にする)。
問題2:コイルの巻き数を多くする、電流を大きくする(かん電池を直列につなぐ)、などです。
問題3:ほとんど変わりません。
問題4:導線の長さがちがうと、流れる電流の大きさが変わってしまうからです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:電磁石は「極」と「強さの条件」
電磁石は、コイルに電流を流したときだけ磁石のはたらきをし、極は電流の向きで決まります。巻き数を多く、電流を大きくすると強くなります。実験では、調べたい条件だけを変えてほかをそろえる、という比べ方を身につけましょう。