「原油と石炭の輸入先が、どこの国だったか混ざってしまう」「加工貿易は分かるけれど、今はどう変わったのかが説明できない」
日本の貿易は、中学受験の社会の地理で、工業や資源と結びつけて出題される単元です。主な輸入品と輸入先、輸出品の特色、港ごとの貿易品、貿易をめぐる課題などが問われます。グラフや表を読み取る問題も多く出ます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、加工貿易のしくみとその変化、資源の輸入先、港と空港のちがい、貿易の課題を整理し、家での覚え方をまとめました。
なお、輸出入の金額や国ごとの順位は、年によって変わることがあります。最新の数字は、お子さんが使っている教材や資料集で確認してください。
加工貿易とは

日本は、石油や鉄鉱石などの資源がとても少ない国です。そのため、原料や燃料を外国から輸入し、国内の工場で製品にして輸出する「加工貿易」で、工業を発展させてきました。
加工貿易は「原料・燃料を輸入して、工業製品を輸出する」貿易です。
加工貿易の変化
近年は、日本の会社が、人件費の安いアジアの国々などに工場を移すことが増えました。その結果、外国でつくられた機械類や衣類などの製品の輸入も増えています。現在の日本の輸入品には、原料や燃料だけでなく、機械類などの製品も多くふくまれています。
主な輸入品と輸入先
| 輸入品 | 主な輸入先 |
|---|---|
| 原油 | サウジアラビア、アラブ首長国連邦など、中東(西アジア)の国々 |
| 液化天然ガス | オーストラリアなど |
| 石炭 | オーストラリアなど |
| 鉄鉱石 | オーストラリア、ブラジル |
| 小麦 | アメリカ、カナダ、オーストラリア |
| 大豆 | アメリカ、ブラジル |
原油は「中東」、石炭・鉄鉱石・液化天然ガスは「オーストラリア」が中心です。
原油の多くを中東の国々にたよっていることは、入試でよく問われます。中東の情勢が不安定になると、原油の値段や輸入に影響が出るおそれがあるため、輸入先を分散させることが課題になっています。
食料の輸入については、日本の食料自給率が低いこととあわせて出題されることが多いので、日本の農業の特色と産地もあわせて確認しましょう。
主な輸出品
日本の主な輸出品は、自動車、機械類(半導体などの電子部品をふくむ)、鉄鋼などの工業製品です。特に自動車は、日本を代表する輸出品です。
主な貿易相手国
日本の主な貿易相手国は、中国やアメリカ、韓国、台湾、東南アジアの国々などです。近年は、中国をはじめとするアジアの国々との貿易が大きな割合をしめています。
港と空港で運ばれる品物のちがい
貿易品は、船で港から、または飛行機で空港から運ばれます。運ぶ品物には、それぞれ特ちょうがあります。
| 運び方 | 向いている品物 | 例 |
|---|---|---|
| 船(港) | 重くて大きいもの、大量に運ぶもの | 原油、石炭、鉄鉱石、自動車 |
| 飛行機(空港) | 軽くて小さく、値段が高いもの、急いで運ぶもの | 半導体などの電子部品、医薬品、魚介類(生鮮品) |
成田国際空港は、軽くて高価な品物を多くあつかうため、貿易額の大きい貿易港として知られています。名古屋港は、近くに自動車工業がさかんな中京工業地帯があり、自動車の輸出が多い港です。
重いものは船、軽くて高価なものは飛行機。空港の輸出入品の表には、電子部品や医薬品が並びます。
貿易の課題
貿易摩擦
1980年代ごろ、日本からアメリカへの自動車などの輸出が大きく増え、アメリカの産業が打撃を受けたことから、両国の間で対立が起きました。これを貿易摩擦といいます。
その解決のため、日本の自動車会社は、アメリカなどの現地に工場を建て、現地で生産するようになりました(現地生産)。
産業の空洞化
工場が海外に移ることで、国内の工場が減り、働く場所が少なくなることを「産業の空洞化」といいます。地域の経済に影響が出ることが心配されています。
貿易と交通・運輸
日本の貿易は、船と飛行機による運輸に支えられています。
- コンテナ船:規格の決まった箱(コンテナ)に品物をつめて運ぶ。積みおろしが速い
- タンカー:原油や液化天然ガスなどを専用のタンクで運ぶ
- 航空機:電子部品や生鮮品など、軽くて高価なものや急ぐものを運ぶ
国内の貨物輸送では、トラックなどによる自動車輸送が大きな割合をしめています。近年は、二酸化炭素の排出をおさえるため、トラックから鉄道や船に輸送を切りかえる「モーダルシフト」も進められています。
原油や液化天然ガスはタンカー、工業製品の多くはコンテナ船、電子部品は飛行機で運ばれます。
よくあるまちがいと対策
- 原油の輸入先をオーストラリアと答える:原油は中東、オーストラリアは石炭・鉄鉱石・液化天然ガス
- 加工貿易を「製品を輸入すること」と答える:原料を輸入して製品を輸出する
- 空港の貿易品に自動車を入れる:重いものは船で運ぶ
- 現地生産の理由が書けない:「貿易摩擦をやわらげるため」「現地の人をやとうため」など
家庭での覚え方のコツ
家の中の「どこの国から」を探す
服のタグ、食品の原産地、電化製品の表示などを見て、どこの国でつくられたものかを親子で探してみましょう。日本が多くの品物を輸入していることが実感できます。
地図に輸入先を書きこむ
世界地図に、原油・石炭・鉄鉱石などの主な輸入先を、色分けして書きこんでみてください。中東とオーストラリアの位置が、資源の種類と結びついて覚えられます。
グラフの読み取りに慣れる
輸出入品の割合を表す円グラフや帯グラフは、入試の定番です。資料集のグラフを見て、「空港の表か、港の表か」「いつごろの表か」を親子で考えてみましょう。
日本の貿易のよくある質問
貿易は何年生で学びますか?
小学校の社会では、5年生で、日本の工業や貿易、運輸について学びます。中学受験向けの教材では、5年生ごろに地理の単元として学ぶことが多い分野です。
世界の国の名前も覚える必要がありますか?
はい、貿易相手国として出てくる国の名前と、だいたいの位置は覚えておきましょう。特に、中東の国々、オーストラリア、ブラジル、中国、アメリカは、よく出題されます。
工業の単元とどうつながりますか?
加工貿易は、日本の工業地帯が海ぞいに多い理由にもつながっています。原料を船で輸入し、製品を船で輸出しやすいからです。日本の工業の特色とあわせて整理しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:原料や燃料を輸入し、製品にして輸出する貿易を何といいますか。
問題2:日本が原油を最も多く輸入している地域はどこですか。
問題3:空港から輸出入されることが多い品物には、どのような特ちょうがありますか。
問題4:日本の自動車会社が、アメリカで現地生産を進めるようになった理由を答えましょう。
答え
問題1:加工貿易です。
問題2:中東(西アジア)です。
問題3:軽くて小さく、値段が高い品物です(電子部品や医薬品など)。
問題4:日本からの輸出が増えたことで、アメリカとの間に貿易摩擦が起こったからです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:貿易は「加工貿易」と「資源の輸入先」から
日本は資源が少ないため、原料や燃料を輸入して製品を輸出する加工貿易で発展してきました。原油は中東、石炭・鉄鉱石・液化天然ガスはオーストラリアが中心です。近年は製品の輸入も増え、貿易摩擦や産業の空洞化などの課題があることも、理由とセットで覚えましょう。