「酸素と水素の作り方が、どっちがどっちか分からなくなる」「気体の集め方の名前は覚えたのに、どの気体をどの方法で集めるのか答えられない」
気体の性質は、中学受験の理科の化学分野で、とてもよく出題される単元です。気体の発生方法、集め方、性質、見分け方を組み合わせた問題が多く、覚えることが多いぶん、整理して覚えた子が得点しやすい単元でもあります。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、よく出る5つの気体の発生方法と性質、集め方、見分け方を整理し、家での覚え方をまとめました。
空気の成分
空気は、いくつかの気体がまざったものです。
- ちっ素:約78%
- 酸素:約21%
- そのほか(アルゴン、二酸化炭素など):約1%
二酸化炭素は、空気中にわずか(約0.04%)しかふくまれていません。
よく出る気体の発生方法と性質
| 気体 | 発生させる方法 | 主な性質 |
|---|---|---|
| 酸素 | 二酸化マンガンに、うすい過酸化水素水(オキシドール)を加える | ものを燃やすはたらきがある。水にとけにくい |
| 二酸化炭素 | 石灰石(貝がら・卵のから)に、うすい塩酸を加える | 石灰水を白くにごらせる。空気より重い。水に少しとけて酸性 |
| 水素 | 亜鉛・鉄・アルミニウムなどに、うすい塩酸を加える | 最も軽い気体。火を近づけると音を立てて燃え、水ができる |
| アンモニア | 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムをまぜて加熱する | 鼻をさすにおい。水にとてもよくとけ、アルカリ性。空気より軽い |
| ちっ素 | 空気中に最も多くふくまれる | 色やにおいがなく、ものを燃やすはたらきがない |
酸素の発生で使う二酸化マンガンは、自分は変化せずに、過酸化水素の分解を助けるはたらきをしています。
酸素は「二酸化マンガン+過酸化水素水」、二酸化炭素は「石灰石+塩酸」、水素は「金属+塩酸」。
水素は、アルミニウムに水酸化ナトリウム水溶液を加えても発生します。銅は、うすい塩酸にとけないので、水素は発生しません。
気体の集め方

気体の集め方は、「水にとけるか」と「空気より重いか軽いか」で決まります。
| 集め方 | 向いている気体 | 例 |
|---|---|---|
| 水上置換法 | 水にとけにくい気体 | 酸素、水素、ちっ素 |
| 上方置換法 | 水にとけやすく、空気より軽い気体 | アンモニア |
| 下方置換法 | 水にとけやすく、空気より重い気体 | 塩化水素など |
二酸化炭素は、水に少しとけますが、水上置換法でも集められます。空気より重いので、下方置換法で集めることもあります。
まず「水にとけにくいなら水上置換」。とけやすいときだけ、重さで上方か下方かを決めます。
水上置換法は、集めた気体に空気がまざりにくく、どれだけ集まったかが目で見て分かるという利点があります。
気体の見分け方
- 火のついた線香を入れると、激しく燃える:酸素
- 石灰水を入れてふると、白くにごる:二酸化炭素
- 火を近づけると、ポンと音を立てて燃える:水素
- 鼻をさすにおいがあり、水でぬらした赤色リトマス紙を青くする:アンモニア
- 火のついた線香を入れると、火が消える:ちっ素や二酸化炭素
火が消えるのは、ちっ素と二酸化炭素の両方なので、区別するには石灰水を使います。
火が消えたら「ちっ素か二酸化炭素」。石灰水が白くにごれば二酸化炭素です。
発生量の計算
決まった量の物質から発生する気体の量には、限りがあります。
例題1:ある濃さの塩酸20cm³に、石灰石を少しずつ加えると、石灰石1gまでは二酸化炭素の発生量がふえ続け、石灰石1gのとき二酸化炭素は240cm³発生しました。それ以上加えても発生量はふえませんでした。この塩酸40cm³に石灰石3gを加えると、二酸化炭素は何cm³発生しますか。
塩酸20cm³とちょうど反応する石灰石は1gです。塩酸40cm³なら、石灰石2gとちょうど反応します。石灰石は3gあるので、塩酸が先になくなります。発生するのは、240×2=480cm³です。
このように、「どちらが先になくなるか」を考えるのが、発生量の問題のポイントです。
気体の重さと水へのとけ方
気体の集め方や性質の問題では、空気と比べた重さと、水へのとけやすさがよく問われます。
| 気体 | 空気と比べた重さ | 水へのとけやすさ |
|---|---|---|
| 酸素 | 少し重い | とけにくい |
| 二酸化炭素 | 重い | 少しとける |
| 水素 | とても軽い(最も軽い) | とけにくい |
| アンモニア | 軽い | とてもとけやすい |
| ちっ素 | 少し軽い | とけにくい |
アンモニアが水にとてもよくとけることを利用した「噴水の実験」もよく出ます。アンモニアを入れたフラスコに少量の水を入れると、アンモニアが水にとけてフラスコの中の気体が減り、水がふき上がります。
水素は最も軽い、アンモニアは水にとてもよくとける。この2つは問われやすい性質です。
よくあるまちがいと対策
- 酸素と水素の発生方法を取りちがえる:「さんそ=さんかマンガン」と頭の音で結ぶ
- アンモニアを水上置換法で集める:アンモニアは水にとてもよくとけるので、上方置換法
- 火が消えた気体を、すぐに二酸化炭素と答える:ちっ素も火が消える。石灰水で確かめる
- 発生量の問題で、多い方の量で計算する:先になくなる方の量で決まる
家庭での覚え方のコツ
表を自分で作る
この記事の表を見ながら、「気体・発生方法・集め方・性質・見分け方」の5列の表を、自分で書いてみましょう。何度か書くうちに、気体ごとの特ちょうがつながって覚えられます。
身近なものと結びつける
炭酸飲料のあわは二酸化炭素、オキシドールで消毒するとあわが出るのは酸素、など、身近なものと結びつけると覚えやすくなります。家庭での実験は危険なものもあるので、薬品を使う実験は動画や教科書の写真で確認しましょう。
問題の形で覚える
「石灰水を白くにごらせる気体は?」のように、性質から気体名を答えるクイズを親子で出し合ってみてください。入試の問い方に慣れることができます。
気体の性質のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の理科では、6年生でものの燃え方(酸素と二酸化炭素)を学びます。中学受験向けの教材では、5〜6年生ごろに、水素やアンモニアもふくめて学ぶことが多い単元です。
水溶液の単元とはつながりますか?
はい、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水などは、水溶液の単元でも出てきます。水溶液の酸性・アルカリ性の見分け方とあわせて整理すると、化学分野全体がつながります。
計算問題はどのくらい出ますか?
発生量の計算は、上位校を中心によく出ます。まずは気体の性質と集め方を確実にしてから、計算問題に進みましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:二酸化マンガンにうすい過酸化水素水を加えると、何という気体が発生しますか。
問題2:アンモニアは、どの方法で集めますか。また、その理由も答えましょう。
問題3:ある気体を石灰水に通すと、白くにごりました。この気体は何ですか。
問題4:例題1の塩酸30cm³に石灰石1gを加えると、二酸化炭素は何cm³発生しますか。
答え
問題1:酸素です。
問題2:上方置換法です。水にとてもよくとけ、空気より軽いからです。
問題3:二酸化炭素です。
問題4:塩酸30cm³とちょうど反応する石灰石は1.5gです。石灰石は1gしかないので、石灰石が先になくなります。発生するのは240cm³です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:気体は「発生・集め方・性質」をセットで
気体の性質は、発生方法・集め方・性質・見分け方をセットで覚えるのがポイントです。集め方は「水にとけるか」と「空気より重いか軽いか」で決まります。発生量の計算は、「どちらが先になくなるか」を考えましょう。
化学分野のほかの単元は、ものの燃え方と燃える3つの条件、水溶液の性質、水の三態で解説しています。