「ものが燃えると、なぜ二酸化炭素ができるの?と聞かれて、うまく説明できなかった」「スチールウールを燃やすと重くなる理由が分からない」
ものの燃え方(燃焼)は、中学受験の理科の化学分野で、水溶液と並んでよく出題される単元です。小学校では6年生で学びますが、中学受験では、ろうそくの炎のつくりや、金属が燃えたときの重さの計算など、より深い内容まで問われます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、燃える3つの条件、空気の成分、ろうそくの炎のつくり、燃えたあとにできるもの、金属の燃焼の計算と、家での教え方をまとめました。
ものが燃える3つの条件
ものが燃えるには、次の3つの条件がそろう必要があります。
- 燃えるものがある
- 酸素がある
- 燃えるものが、燃えはじめる温度(発火点)以上になっている
この3つのうち、1つでも欠けると、ものは燃えません。火を消すときは、この3つのどれかを取りのぞきます。
| 火の消し方 | 取りのぞく条件 |
|---|---|
| 水をかける | 温度を下げる |
| 砂や消火器の泡をかける、ふたをする | 酸素を断つ |
| ガスの元せんをしめる、燃えるものを取りのぞく | 燃えるものをなくす |
燃えるには「燃えるもの・酸素・温度」の3つが必要。消火は、このどれかを取りのぞきます。
空気の成分と、燃えたあとの変化
空気は、主に次の気体がまざってできています(体積の割合)。
- ちっ素:約78%
- 酸素:約21%
- そのほか(アルゴン、二酸化炭素など):約1%
二酸化炭素は、空気中に約0.04%しかふくまれていません。
ものが燃えるときに使われるのは、酸素です。ちっ素は、ものを燃やすはたらきがありません。
集気びんの中でろうそくを燃やすと
ふたをした集気びんの中でろうそくを燃やすと、しばらくして火が消えます。燃えたあとの空気を調べると、次のことが分かります。
- 酸素が減り、二酸化炭素が増えている
- 酸素はすべてなくなったわけではない(少し残っている)
- ちっ素の量は変わらない
燃えたあとの空気に石灰水を入れてふると、白くにごります。これは、二酸化炭素ができたことを示しています。
「ものが燃えると、酸素がなくなる」とまちがえやすいので、「酸素の割合がある程度まで減ると、火は消える」と覚えておきましょう。
ろうそくの炎のつくり

ろうそくの炎は、3つの部分に分かれています。
- 外炎:いちばん外側。空気(酸素)とよくふれるので、完全に燃えて、温度がいちばん高い
- 内炎:外炎の内側。酸素が足りず、燃え残りのすす(炭素のつぶ)が熱せられて光るので、いちばん明るい
- 炎心:中心部。ろうが気体になったものがあり、まだ燃えていないので温度が低い
ろうそくは、固体のろうがとけて液体になり、しんを伝って上がり、熱で気体になって燃えています。燃えているのは、ろうの気体です。
外炎は温度が最も高い、内炎は最も明るい、炎心は温度が低い。
炎の部分を確かめる実験
内炎にガラス棒を入れると、すすがついて黒くなります。また、炎心にガラス管を差しこむと、白いけむり(ろうの気体が冷えたもの)が出てきて、そこに火を近づけると燃えます。こうした実験の結果もよく出題されます。
燃えたあとにできるもの
何が燃えるかによって、燃えたあとにできるものがちがいます。
| 燃えるもの | 燃えたあとにできるもの |
|---|---|
| 木、紙、ろうそく、アルコールなど(炭素をふくむもの) | 二酸化炭素と水 |
| 水素 | 水だけ |
| スチールウール(鉄)、マグネシウムなどの金属 | 酸素と結びついた物質(酸化鉄、酸化マグネシウムなど) |
木やろうそくには炭素と水素がふくまれているので、燃えると二酸化炭素と水ができます。燃やしたあとの集気びんの内側がくもるのは、水ができたためです。
金属が燃えるときは、二酸化炭素はできません。金属が空気中の酸素と結びついて、別の物質に変わります。
金属が燃えると重くなる
スチールウールを燃やすと、黒っぽい物質(酸化鉄)に変わり、燃やす前より重くなります。これは、空気中の酸素が結びついた分だけ、重さが増えるからです。
木が燃えると軽くなるのは、できた二酸化炭素と水が、気体となって空気中に出ていくからです。
例題1:マグネシウム3gを完全に燃やすと、酸化マグネシウムが5gできました。マグネシウム12gを完全に燃やすと、酸化マグネシウムは何gできますか。また、結びついた酸素は何gですか。
マグネシウムと酸化マグネシウムの重さは比例します。12gは3gの4倍なので、酸化マグネシウムは5×4=20gです。結びついた酸素は、20-12=8gです。
このとき、マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム=3:2:5になっています。
例題2:銅4gを完全に燃やすと、酸化銅が5gできます。銅6gを燃やしたところ、途中で火を止めたので、できた物質は7gでした。燃えずに残った銅は何gですか。
燃やした銅と結びついた酸素の重さの比は、4:(5-4)=4:1です。重さが増えた7-6=1gは、結びついた酸素です。酸素1gと結びつく銅は4gなので、燃えた銅は4g、残った銅は6-4=2gです。
金属の燃焼の計算は「増えた重さ=結びついた酸素」に注目します。
よくあるまちがいと対策
- 燃えると酸素が全部なくなると考える:酸素は減るが、少し残る
- 金属が燃えても二酸化炭素ができると考える:二酸化炭素ができるのは炭素をふくむものが燃えたとき
- 外炎と内炎の性質を取りちがえる:「外は熱い、内は明るい」とセットで覚える
- 燃焼の計算で、何と何の比なのかがあいまいになる:「金属:酸素:できた物質」の3つの比を表に書く
家庭での教え方のコツ
安全に配慮して炎を観察する
ろうそくの炎を、大人がそばについて観察してみましょう。外側と内側で色や明るさがちがうことが分かります。火を使うので、必ず大人がいるときに、燃えやすいものを近くに置かずに行ってください。
身近な「燃える」をつなげる
ガスコンロ、たき火、使い捨てカイロ(鉄が酸素と結びつくときの熱を利用)など、身の回りの燃焼や酸化の例を話題にしてみてください。教科書の内容と生活がつながると、覚えた知識が忘れにくくなります。
計算は比の表で整理する
金属の燃焼の計算は、算数の比の問題そのものです。「金属」「酸素」「できた物質」の3列の表を作り、分かっている数を書きこんでから計算すると、ミスが減ります。
ものの燃え方のよくある質問
ものの燃え方は何年生で学びますか?
小学校の理科では、6年生で「燃焼の仕組み」として学びます。中学受験向けの教材では、5〜6年生ごろに学び、金属の燃焼の計算は6年生で応用問題として取り組むことが多い単元です。
気体の性質と一緒に覚えたほうがいいですか?
はい、酸素や二酸化炭素の性質(酸素にはものを燃やすはたらきがある、二酸化炭素は石灰水を白くにごらせるなど)は、燃焼の問題でもくり返し出てきます。気体の発生方法や集め方とあわせて整理しておくと、入試問題に対応しやすくなります。
理科の計算問題が苦手な子は、どうすればいいですか?
まずは、問題文の数字を表に書きこむ習慣をつけてください。燃焼の計算は、比例や比の考え方を使うだけで、むずかしい計算はほとんど出てきません。算数の比の単元を復習してから取り組むと、スムーズに解けるようになります。
ものの燃え方の家での進め方
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 燃える3つの条件と、火の消し方
- 空気の成分と、燃えたあとの空気の変化
- ろうそくの炎のつくり
- 燃えたあとにできるもの
- 金属の燃焼の計算(例題1・2)
1日20〜30分、表や図にまとめながら進めると、知識が整理されます。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「理科・計算パック」に入っています。
まとめ:燃焼は「3つの条件」と「酸素と結びつく」で考える
ものが燃えるには、燃えるもの・酸素・発火点以上の温度の3つが必要です。木やろうそくが燃えると二酸化炭素と水ができ、金属が燃えると酸素と結びついて重くなります。炎のつくりは「外は熱い、内は明るい」。計算は「増えた重さ=結びついた酸素」に注目しましょう。
同じ化学分野の水溶液は水溶液の酸性・アルカリ性の見分け方と覚え方、比の計算は比の性質・比例配分・連比・逆比の解き方で解説しています。理科の参考書選びは塾無しで目指す中学受験のおすすめ参考書ランキングも参考にしてください。