「光合成と呼吸のちがいを、子どもがごちゃまぜに覚えている」「蒸散の実験の計算問題で、ワセリンをぬった場所の意味が分からないみたい」
植物のはたらきは、中学受験の理科の生物分野で、くり返し出題される単元です。光合成・呼吸・蒸散という3つのはたらきを、実験とセットで問われるのが特ちょうです。用語を覚えるだけでなく、「なぜその実験をするのか」「結果から何が分かるのか」を説明できることが求められます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、発芽と成長の条件、葉の3つのはたらき、よく出る実験、蒸散の計算問題と、家での教え方をまとめました。
まずは発芽と成長の条件
植物のはたらきを学ぶ前に、種子が発芽する条件と、植物がよく成長する条件を確認しておきましょう。
- 発芽の3条件:水、空気(酸素)、適当な温度
- よく成長する条件:上の3つに加えて、日光、肥料
発芽には、日光や肥料は必要ありません。インゲンマメなどの種子は、発芽に必要な養分(でんぷん)を、子葉にたくわえているからです。発芽したあと、成長を続けるために日光が必要になります。
発芽は「水・空気・温度」。日光と肥料は、発芽のあとの成長に必要です。
葉の3つのはたらき

光合成
植物は、葉の細胞の中にある緑色のつぶ(葉緑体)で、日光を受けて、二酸化炭素と水から、でんぷんなどの養分をつくります。このとき、酸素も出します。このはたらきを光合成といいます。
- 必要なもの:日光、二酸化炭素、水
- つくられるもの:でんぷん(養分)、酸素
- 行う場所:葉緑体(葉の緑色の部分)
呼吸
植物も、動物と同じように呼吸をしています。酸素を取り入れて、二酸化炭素を出すはたらきです。呼吸は、昼も夜も、一日中行っています。
昼間は、呼吸より光合成のほうがさかんなので、植物全体としては二酸化炭素を取り入れて、酸素を出しているように見えます。夜は光合成をしないので、呼吸だけが行われます。
蒸散
植物は、根から吸い上げた水を、主に葉の表面にある小さな穴(気孔)から、水蒸気として出しています。これを蒸散といいます。気孔は、ふつう葉の裏側に多くあります。
蒸散によって、根から水が吸い上げられやすくなります。また、植物の体の温度が上がりすぎるのを防ぐはたらきもあります。
光合成は「日光で養分づくり」、呼吸は「一日中」、蒸散は「気孔から水蒸気」。
よく出る実験
でんぷんができたかを調べる
光合成ででんぷんができたかは、ヨウ素液で調べます。でんぷんがあると、ヨウ素液は青むらさき色に変わります。
葉をそのままヨウ素液にひたしても、葉が緑色なので色の変化が見えにくくなります。そこで、葉を湯であたためてやわらかくしたあと、あたためたエタノールにつけて緑色をぬいてから、ヨウ素液にひたします。エタノールは火がつきやすいので、直接火にかけず、湯せんであたためます。
日光が必要なことを調べる
前の日の夕方から葉の一部をアルミニウムはくでおおい、次の日に日光を当てたあと、ヨウ素液で調べます。アルミニウムはくでおおった部分は色が変わらず、日光が当たった部分だけが青むらさき色になります。
前の日から光を当てないようにしておくのは、葉にもともとあるでんぷんを、夜のうちにほかの部分へ移動させておくためです。
葉緑体が必要なことを調べる
アサガオなどの「ふ入りの葉」(緑色の部分と、白っぽい「ふ」の部分がある葉)を使います。日光を当てたあとにヨウ素液で調べると、緑色の部分だけが青むらさき色になり、ふの部分は変わりません。ふの部分には葉緑体がないからです。
呼吸を調べる
植物にふくろをかぶせて暗いところに置き、しばらくしてからふくろの中の空気を石灰水に通すと、石灰水が白くにごります。暗いところでは光合成ができず、呼吸で出した二酸化炭素がたまるからです。
蒸散の計算問題
例題1:同じ大きさの葉の数がそろった枝を3本用意し、それぞれ水を入れた試験管にさしました。Aは何もぬらず、Bは葉の表側にワセリンをぬり、Cは葉の裏側にワセリンをぬりました。一定時間後、水の減った量は、Aが12mL、Bが9mL、Cが4mLでした。葉の表側、葉の裏側、茎からの蒸散量は、それぞれ何mLですか。
ワセリンをぬったところからは、蒸散が起こりません。それぞれの試験管で蒸散した場所を整理します。
| 試験管 | 蒸散した場所 | 水の減った量 |
|---|---|---|
| A(何もぬらない) | 表+裏+茎 | 12mL |
| B(表にぬる) | 裏+茎 | 9mL |
| C(裏にぬる) | 表+茎 | 4mL |
- 表=A-B=12-9=3mL
- 裏=A-C=12-4=8mL
- 茎=A-表-裏=12-3-8=1mL
裏からの蒸散量が表より多いのは、気孔が葉の裏側に多いからです。
蒸散の計算は「ワセリンをぬったところは蒸散しない」と考えて、表にして差をとります。
なお、実際の実験では、水面から水が蒸発しないように、水面に油をたらしておきます。この理由もよく問われます。
よくあるまちがいと対策
- 植物は昼に呼吸をしないと思っている:呼吸は昼も夜も行っている
- 発芽の条件に日光を入れてしまう:日光は成長に必要で、発芽には必要ない
- ヨウ素液の色の変化を取りちがえる:でんぷんがあると「青むらさき色」
- 蒸散の計算で、ワセリンをぬった場所の意味を逆にする:ぬった場所は「ふたをした」と考える
家庭での教え方のコツ
身近な植物で観察する
ベランダの鉢植えや、通学路の植物の葉の裏を、虫めがねで観察してみましょう。気孔そのものは小さくて見えにくいですが、葉の表と裏で手ざわりや色がちがうことに気づくきっかけになります。
実験の「目的」を言わせる
植物の実験問題は、「この実験は、何を調べるためのものか」を問う問題が多く出ます。教材の実験を読んだら、「アルミニウムはくでおおうのは何のため?」と、目的を子どもに説明させてください。
光合成と呼吸を表で比べる
光合成と呼吸は、取り入れるものと出すものが逆になっています。「行う時間」「取り入れるもの」「出すもの」の表を作って比べると、混乱しにくくなります。
植物のはたらきのよくある質問
植物のはたらきは何年生で学びますか?
小学校の理科では、5年生で発芽と成長、6年生で植物の養分と水の通り道(でんぷんのでき方や蒸散)を学びます。中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろから学び、6年生で実験の応用問題に取り組むことが多い単元です。
光合成でできた養分は、どこへ行きますか?
葉でつくられたでんぷんは、水にとけやすい養分に変えられて、師管という管を通って、体のいろいろな部分に運ばれます。根から吸い上げた水は、道管という管を通ります。道管と師管がまとまった部分を維管束といい、茎や葉脈の断面図の問題でよく出題されます。
植物の名前や分類も覚える必要がありますか?
はい、入試では、植物の分類(種子植物・シダ植物・コケ植物など)や、花のつくり、季節ごとの植物の問題も出ます。この記事のはたらきの内容とあわせて、図鑑や参考書の写真を見ながら、少しずつ覚えていきましょう。
植物のはたらきの家での進め方
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 発芽と成長の条件
- 光合成・呼吸・蒸散のはたらき
- ヨウ素液、アルミニウムはく、ふ入りの葉の実験
- 蒸散の計算(例題1)
- 道管・師管と、植物のつくり
1日20〜30分、実験の図を見ながら、目的と結果をセットで覚えましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:インゲンマメの種子が発芽するために必要な3つの条件は何ですか。
問題2:ふ入りの葉に日光を当てたあと、ヨウ素液で調べると、どの部分が青むらさき色になりますか。また、その理由は何ですか。
問題3:例題1と同じ実験で、Aが15mL、Bが11mL、Cが5mL減りました。葉の裏側からの蒸散量は何mLですか。
答え
問題1:水、空気(酸素)、適当な温度です。
問題2:緑色の部分だけが青むらさき色になります。光合成は葉緑体で行われ、ふの部分には葉緑体がないからです。
問題3:裏=A-C=15-5=10mLです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:植物は「3つのはたらき」を実験とセットで
植物のはたらきは、光合成・呼吸・蒸散の3つが基本です。光合成は日光を使って葉緑体ででんぷんをつくり、呼吸は一日中行い、蒸散は主に葉の裏の気孔から水蒸気を出します。実験は「何を調べるためか」を説明できるようにし、蒸散の計算は表にして差をとりましょう。
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