「重い球のほうが、斜面を速く転がると思っていた」「木片が動くきょりの表から、どう計算すればいいのか分からない」
ものの運動は、中学受験の理科で、物理分野の実験問題としてよく出る単元です。斜面から球を転がしたときの速さや、球を木片に当てたときに木片が動くきょりについて、条件を変えた実験の結果を読み取る問題が出ます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、ものの運動の基本の決まりと、実験問題の解き方をまとめました。なお、記事中の実験の数値は、問題のために決めたものです。
斜面を転がる球の速さ
斜面の上から球を転がすと、球は下るほど速くなります。斜面の下での速さは、次のように決まります。
| 変える条件 | 斜面の下での速さ |
|---|---|
| 球を転がす高さを高くする | 速くなる |
| 球を重くする | 変わらない |
| 斜面の角度を変える(同じ高さから) | 変わらない |
斜面の下での速さを決めるのは「高さ」だけ。重さや斜面の角度には関係しません(まさつや空気の影響を考えないとき)。
高さと速さの関係
高さを2倍にしても、速さは2倍にはなりません。速さを2倍にするには、高さを4倍にする必要があります。
| 高さ | 10cm | 40cm | 90cm |
|---|---|---|---|
| 速さ | 1 | 2 | 3 |
高さ10cmのときの速さを1とすると、40cm(4倍)で2、90cm(9倍)で3になります。
球を木片に当てる実験

斜面の下に木片を置き、転がした球を当てて、木片が動いたきょりを調べます。
| 球の重さ | 転がす高さ | 木片が動いたきょり |
|---|---|---|
| 20g | 10cm | 4cm |
| 40g | 10cm | 8cm |
| 20g | 30cm | 12cm |
この結果から、次のことが分かります。
- 球の重さを2倍にすると、木片の移動きょりも2倍になる
- 転がす高さを3倍にすると、木片の移動きょりも3倍になる
木片の移動きょりは「球の重さ」と「転がす高さ」のどちらにも比例します。
計算問題の解き方
例題1:上の表と同じ実験で、60gの球を20cmの高さから転がすと、木片は何cm動きますか。
20g・10cmのときに4cmです。重さは60÷20=3倍、高さは20÷10=2倍なので、移動きょりは4×3×2=24cmです。
例題2:40gの球を転がして、木片を20cm動かすには、何cmの高さから転がせばよいですか。
40g・10cmのときに8cmです。20cm動かすには、8cmの20÷8=2.5倍にすればよいので、高さも2.5倍の25cmです。
重さと高さの「何倍か」を別々に求めて、かけ合わせます。
条件をそろえる実験
ものの運動の実験では、調べたい条件だけを変え、ほかの条件はすべてそろえます。
例題3:球の重さと木片の移動きょりの関係を調べたいとき、どの実験とどの実験をくらべればよいですか。
転がす高さが同じで、球の重さだけがちがう実験をくらべます。上の表なら、20g・10cmと40g・10cmの実験です。
重さと高さが両方ちがう実験をくらべても、どちらの条件が結果を変えたのか分かりません。
ふりことの共通点
ふりこのおもりが、いちばん下を通るときの速さも、おもりをはなす高さで決まり、おもりの重さには関係しません。斜面を転がる球と同じ考え方です。
- 高いところにあるものほど、下に来たときに速くなる
- 速く動くもの、重いものほど、ほかのものを動かすはたらきが大きい
このように、ものを動かすことのできるはたらきを「エネルギー」とよびます。高いところにあるものがもつエネルギーを位置エネルギー、動いているものがもつエネルギーを運動エネルギーといいます。
斜面の角度と下に着くまでの時間
同じ高さから転がすとき、斜面の下での速さは、斜面の角度に関係しません。ただし、下に着くまでの時間は変わります。
- 斜面がゆるやか:斜面が長くなるので、下に着くまでの時間が長くなる
- 斜面が急:斜面が短くなるので、下に着くまでの時間が短くなる
「速さ」と「かかる時間」は別のものです。問題文がどちらを聞いているかを、よく読みましょう。
同じ高さなら、下での速さは同じ。かかる時間は、斜面がゆるやかなほど長い。
実験は何回か行って平均をとる
木片の移動きょりの実験は、同じ条件でも、少しずつ結果がばらつきます。そのため、同じ条件で何回か実験し、その平均をとって結果とします。実験の表にある数が「平均」であることを示す問題も出るので、平均の意味も確認しておきましょう。
よくあるまちがいと対策
- 重い球ほど斜面の下で速いと考える:速さは高さだけで決まる
- 高さを2倍にすると速さも2倍と考える:速さ2倍には高さ4倍
- 移動きょりの計算で、重さか高さの片方だけ倍にする:両方の倍をかけ合わせる
- 条件が2つちがう実験をくらべる:調べたい条件以外はそろえる
家庭での覚え方のコツ
ビー玉と定規で実験する
本を積んで定規の斜面を作り、ビー玉を転がして、消しゴムを動かしてみましょう。高さを変えると、消しゴムの動くきょりが変わることが分かります。
すべり台を思い出す
高いすべり台ほど、下に着いたときに速くなることを思い出してみてください。高さが速さを決めることが、体験と結びつきます。
表に「何倍」を書きこむ
実験の表を見たら、基準の行から何倍になっているかを書きこむ習慣をつけましょう。比例の関係がひと目で分かります。
ものの運動のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の理科では、5年生でふりこの運動を学びます。斜面を転がる球や衝突の実験は、中学受験向けの教材で5〜6年生ごろに学ぶことが多い内容です。
ふりことのちがいは何ですか?
ふりこの1往復する時間は、ふりこの長さで決まります。速さと時間の両方を混同しないように、ふりこで整理しておきましょう。
比例の計算が苦手です。
木片の移動きょりは、重さにも高さにも比例します。比例と反比例で、比例の考え方を確認しておくと解きやすくなります。
練習問題にチャレンジ
(20gの球を10cmの高さから転がすと、木片が4cm動くものとします。)
問題1:20gの球を50cmの高さから転がすと、木片は何cm動きますか。
問題2:80gの球を10cmの高さから転がすと、木片は何cm動きますか。
問題3:30gの球を40cmの高さから転がすと、木片は何cm動きますか。
問題4:斜面の角度を急にして、同じ高さから同じ球を転がすと、斜面の下での速さはどうなりますか。
答え
問題1:高さが5倍なので、4×5=20cmです。
問題2:重さが4倍なので、4×4=16cmです。
問題3:重さは1.5倍、高さは4倍なので、4×1.5×4=24cmです。
問題4:変わりません。
練習プリント(無料)
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まとめ:運動は「高さ」と「重さ」で考える
斜面を転がる球の速さは、転がす高さだけで決まり、重さや斜面の角度には関係しません。木片を動かすきょりは、球の重さと転がす高さのどちらにも比例します。実験では、調べたい条件以外をそろえることも大切なポイントです。