「ちょうど中和する量の比は分かるのに、残る固体の重さになると解けない」「グラフが途中で折れ曲がる理由が分からない」
中和の計算は、中学受験の理科で、化学分野の計算問題としてよく出る単元です。酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液をまぜたときの量の関係を、比を使って考えます。グラフの読み取りとセットで問われることも多くあります。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、中和の基本と、計算問題の解き方をまとめました。なお、記事中の体積や重さは、問題のために決めた数字です。実際の水溶液のこさによって変わります。
中和とは
酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液をまぜると、たがいの性質を打ち消し合います。これを中和といいます。
塩酸(酸性)と水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性)がちょうど中和すると、食塩(塩化ナトリウム)と水ができ、液は中性になります。
| 液の性質 | BTB液の色 |
|---|---|
| 酸性 | 黄色 |
| 中性 | 緑色 |
| アルカリ性 | 青色 |
塩酸+水酸化ナトリウム水溶液で、食塩と水ができる。BTB液は、酸性が黄、中性が緑、アルカリ性が青。
身近なところでは、酸性になった畑の土に石灰をまく、などに中和の考え方が使われています。
ちょうど中和する量は比で考える
ここからは、次の2つの液を使います。
- 塩酸A 10cm³と、水酸化ナトリウム水溶液B 15cm³が、ちょうど中和する
ちょうど中和する体積の比は、A:B=10:15=2:3です。この比は、同じこさの液を使う限り変わりません。
例題1:塩酸A 20cm³をちょうど中和するには、水酸化ナトリウム水溶液Bが何cm³必要ですか。
Aが2倍になったので、Bも2倍の30cm³必要です。
ちょうど中和する体積の比は一定。片方が2倍なら、もう片方も2倍です。
まぜた液の性質
例題2:塩酸A 10cm³に、水酸化ナトリウム水溶液Bを20cm³加えました。まぜた液は何性ですか。また、BTB液を入れると何色になりますか。
A 10cm³とちょうど中和するBは15cm³です。20cm³加えたので、Bが5cm³あまります。あまったBはアルカリ性なので、液はアルカリ性で、BTB液は青色になります。
まぜた液の性質は、どちらの液があまったかで決まります。
こさを変えたとき
例題3:塩酸Aを2倍のこさにした塩酸 10cm³をちょうど中和するには、水酸化ナトリウム水溶液Bが何cm³必要ですか。
こさが2倍の塩酸 10cm³は、塩酸A 20cm³と同じはたらきをします。必要なBは30cm³です。
こさが2倍の液は、元の液の2倍の体積と同じはたらきをします。
水を蒸発させて残る固体

まぜた液を加熱して水を蒸発させると、とけていた固体が残ります。
- 塩酸は、気体の塩化水素がとけた液なので、蒸発させると何も残らない
- 水酸化ナトリウム水溶液を蒸発させると、水酸化ナトリウムが残る
- 中和してできた食塩は、蒸発させると残る
問題用の条件として、次のように決めます。
- A 10cm³とB 15cm³をまぜて蒸発させると、食塩が1.5g残る
- B 15cm³だけを蒸発させると、水酸化ナトリウムが1.0g残る
例題4:塩酸A 10cm³に、水酸化ナトリウム水溶液Bを10cm³加えて、水を蒸発させました。何gの固体が残りますか。
Bが足りないので、Bはすべて中和に使われます。できる食塩は、1.5×(10÷15)=1.0gです。あまった塩酸は蒸発して何も残らないので、残る固体は1.0gです。
例題5:塩酸A 10cm³に、水酸化ナトリウム水溶液Bを30cm³加えて、水を蒸発させました。何gの固体が残りますか。
A 10cm³と中和するのはB 15cm³で、食塩が1.5gできます。あまったB 15cm³からは、水酸化ナトリウムが1.0g残ります。合わせて1.5+1.0=2.5gです。
グラフが折れるところが、ちょうど中和する点。そこから先は、あまった液にとけていたものが加わります。
グラフの読み取り方
- 折れ目より左:まだ中和しきっていない。残るのは食塩だけ
- 折れ目:ちょうど中和した点。液は中性
- 折れ目より右:アルカリ性の液があまる。食塩に、水酸化ナトリウムが加わる
折れ目より右のかたむきがゆるやかなのは、Bを1cm³加えたときにふえる重さが、中和で食塩ができるときより小さいからです。
よくあるまちがいと対策
- 塩酸を蒸発させると何か残ると考える:塩化水素は気体なので、何も残らない
- あまった液を考えずに食塩の量だけ答える:折れ目をこえたら、あまった液の固体も加える
- 比を逆にする:「A:B」の順番を表に書いてから計算する
- BTB液の色を混ぜる:酸性は黄、中性は緑、アルカリ性は青
家庭での覚え方のコツ
表で「どちらがあまるか」を書く
AとBの体積を表に書き、ちょうど中和する量とくらべて、どちらがあまるかを先に決めましょう。性質も、残る固体も、ここから決まります。
グラフを自分でかく
例題の数字で、Bを0・5・10・15・20・25・30cm³加えたときの固体の重さを計算し、グラフにかいてみてください。折れ目の意味が実感できます。
身近な中和を探す
石灰をまく畑や、酸性の温泉の水を中和する取り組みなど、中和が使われている例を親子で調べると、記憶に残りやすくなります。
中和の計算のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の理科では6年生で水溶液の性質を学びます。中和の計算は、中学受験向けの教材で6年生ごろに学ぶことが多い内容です。
水溶液の性質とどうつながりますか?
酸性・アルカリ性の見分け方や、指示薬の色の変化は、中和の問題の土台です。水溶液の性質で、先に確認しておきましょう。
比の計算が苦手です。
中和の計算は、ほとんどが比の問題です。比の基本で、比例配分や比の性質を復習しておくと解きやすくなります。
練習問題にチャレンジ
(塩酸A 10cm³と水酸化ナトリウム水溶液B 15cm³がちょうど中和し、そのとき食塩が1.5gできるものとします。B 15cm³を蒸発させると、水酸化ナトリウムが1.0g残ります。)
問題1:塩酸A 30cm³をちょうど中和するには、Bが何cm³必要ですか。
問題2:A 10cm³にB 12cm³を加えると、BTB液は何色になりますか。
問題3:A 10cm³にB 6cm³を加えて蒸発させると、何gの固体が残りますか。
問題4:A 10cm³にB 21cm³を加えて蒸発させると、何gの固体が残りますか。
答え
問題1:Aが3倍なので、Bも3倍の45cm³です。
問題2:Aがあまるので酸性で、黄色です。
問題3:1.5×(6÷15)=0.6gです。
問題4:食塩1.5gに、あまったB 6cm³の水酸化ナトリウム1.0×(6÷15)=0.4gを加えて、1.9gです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「理科・計算パック」に入っています。
まとめ:中和の計算は「どちらがあまるか」
中和の計算は、ちょうど中和する体積の比をもとに考えます。まぜた液の性質も、蒸発させて残る固体の重さも、どちらの液があまるかで決まります。グラフの折れ目がちょうど中和した点であることを押さえ、表に整理して解きましょう。