「冷やしたときに出てくる結晶の量の計算で、水の量が100gでないと分からなくなる」「食塩水を冷やしても、食塩がほとんど出てこないのはなぜ?」
溶解度と再結晶は、中学受験の理科の化学分野で、計算問題としてよく出題される単元です。水の量や温度によってとける量がどう変わるか、冷やしたり水を蒸発させたりして結晶を取り出すとき、どれだけ出てくるかが問われます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、とける量の基本と、よく出る計算問題の解き方をまとめました。水溶液全体の性質は水溶液の記事で解説しているので、ここでは「とける量」の計算にしぼります。
とける量のきまり
ものが水にとける量には、限りがあります。とける量には、次のきまりがあります。
- 水の量が2倍、3倍になると、とける量も2倍、3倍になる(比例する)
- 水の温度によって、とける量が変わる(物によって変わり方がちがう)
水100gにとける最大の量を、その温度での溶解度といいます。それ以上とけきれないところまでとかした水溶液を、ほう和水溶液といいます。
とける量は「水の量に比例」する。温度による変わり方は、物によってちがいます。
食塩とミョウバンのちがい

| 物 | 温度による変化 | 結晶の取り出し方 |
|---|---|---|
| 食塩 | 温度を上げても、とける量はあまり変わらない | 水を蒸発させる |
| ミョウバン | 温度が高いほど、多くとける | 水溶液を冷やす |
食塩水を冷やしても、とける量がほとんど変わらないので、結晶はほとんど出てきません。食塩の結晶を取り出すには、水を蒸発させます。
冷やして結晶がたくさん出るのは、温度でとける量が大きく変わる物(ミョウバンなど)です。
一度とかした物を、冷やしたり水を蒸発させたりして、もう一度結晶として取り出すことを、再結晶といいます。
計算問題の考え方
ここからは、次の表の物質Aを使って考えます(数値は問題用の例です)。
| 水の温度 | 20℃ | 40℃ | 60℃ |
|---|---|---|---|
| 水100gにとける物質Aの量 | 30g | 50g | 80g |
冷やしたときに出てくる量
例題1:60℃の水100gに、物質Aを80gとかしました。この水溶液を20℃まで冷やすと、何gの結晶が出てきますか。
20℃の水100gには、30gまでしかとけません。80-30=50gが、とけきれずに結晶として出てきます。
出てくる結晶の量=はじめにとけていた量-冷やした温度でとける量。
水の量が100gでないとき
例題2:60℃の水200gには、物質Aは最大で何gとけますか。
水の量が2倍なので、とける量も2倍で、80×2=160gです。
例題3:40℃の水50gに、物質Aを30g入れてよくかき混ぜました。とけ残りは何gですか。
40℃の水50gには、50×2分の1=25gまでとけます。30-25=5gがとけ残ります。
ほう和水溶液の重さから考える
例題4:60℃の物質Aのほう和水溶液360gを、20℃まで冷やしました。何gの結晶が出てきますか。
60℃のほう和水溶液は、水100gと物質A80gで180gです。360gは、その2倍なので、水200gに物質A160gがとけています。20℃の水200gには30×2=60gまでとけるので、160-60=100gが出てきます。
ほう和水溶液の重さがあたえられたら、まず「水の量」と「とけている量」に分けます。
ほう和水溶液の濃さ
例題5:40℃の物質Aのほう和水溶液の濃さは何%ですか。小数第2位を四捨五入して答えましょう。
水100gに50gとけるので、水溶液は150gです。50÷150×100=33.33…で、約33.3%です。
ほう和水溶液の濃さは、水の量が変わっても同じです。濃さの計算は、食塩水の濃さと同じ考え方です。
ろ過のしかた
とけ残った物や、出てきた結晶を取り出すときには、ろ過をします。
- ろ紙を折ってろうとにはめ、水でぬらしてぴったりつける
- ろうとの足の長いほうを、ビーカーのかべにつける
- 液は、ガラス棒を伝わらせて、少しずつ注ぐ
ろ紙を通りぬけた液(ろ液)には、とけている物がふくまれています。
よくあるまちがいと対策
- 水の量が100gでないのに、表の数字をそのまま使う:水の量に比例させる
- ほう和水溶液の重さを、水の重さと考える:水溶液=水+とけている物
- 食塩水を冷やすと、食塩がたくさん出ると考える:食塩はとける量があまり変わらない
- 濃さの計算で、とけている量÷水の量にする:濃さは「とけている量÷水溶液の重さ」
家庭での覚え方のコツ
塩と砂糖をとかしてみる
コップ1ぱいの水に、塩をスプーンで少しずつ入れて、何ばいまでとけるか調べてみましょう。お湯で同じことをすると、塩はあまり変わりませんが、砂糖はお湯のほうがずっと多くとけます。温度による変わり方のちがいを体験できます。
表を書いてから計算する
計算問題では、「温度・水の量・とける量・とけている量」を表に書きこんでから計算する習慣をつけてください。水の量が変わる問題でも、比例の関係が見えやすくなります。
結晶を観察する
食塩水をお皿に少し入れて、日なたに置いておくと、水が蒸発して食塩の結晶ができます。虫めがねで見ると、四角い形の結晶が観察できます。
溶解度と再結晶のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の理科では、5年生でもののとけ方を学びます。とける量の計算は、中学受験向けの教材で、5〜6年生ごろに学ぶことが多い内容です。
結晶の形も覚える必要がありますか?
食塩の結晶は立方体(四角い形)、ミョウバンの結晶は正八面体のような形になることがよく出題されます。写真で確認しておきましょう。
計算が苦手な場合はどうすればいいですか?
とける量の計算は、比例の考え方で解けます。比例と反比例や比の基本を確認しておくと、スムーズに解けるようになります。
練習問題にチャレンジ
問題1:表の物質Aは、20℃の水100gに最大で何gとけますか。
問題2:60℃の水50gには、物質Aは最大で何gとけますか。
問題3:60℃の水100gに物質Aを80gとかし、40℃まで冷やしました。何gの結晶が出てきますか。
問題4:20℃の物質Aのほう和水溶液の濃さは何%ですか。小数第2位を四捨五入して答えましょう。
答え
問題1:30gです。
問題2:80×2分の1=40gです。
問題3:80-50=30gです。
問題4:30÷130×100=23.07…で、約23.1%です。
練習プリント(無料)
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まとめ:とける量は「水に比例」「温度で変わる」
とける量は水の量に比例し、温度によって変わります。ミョウバンのように温度で大きく変わる物は冷やすと結晶が出て、食塩のようにあまり変わらない物は水を蒸発させて取り出します。計算では、水の量をそろえ、ほう和水溶液は水ととけている物に分けて考えましょう。