「1円玉やアルミ缶は、磁石につくと思っていた」「方位磁針のN極が北をさすのに、地球の北極がS極というのがよく分からない」
磁石の性質は、中学受験の理科の物理分野で、電磁石の学習の土台になる単元です。磁石につくもの、極どうしの力、方位磁針のしくみ、鉄が磁石になる性質などが、実験や身近な例とともに問われます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、磁石の基本の性質と、よく出るポイントを整理し、家での覚え方をまとめました。
磁石につくもの・つかないもの
| 磁石につくもの | 磁石につかないもの |
|---|---|
| 鉄(くぎ・クリップ・スチール缶など) | アルミニウム(1円玉・アルミ缶など) |
| 銅(10円玉など) | |
| 紙・木・プラスチック・ガラス |
磁石につくのは鉄。金属でも、アルミニウムや銅はつきません。
「金属ならすべて磁石につく」と考えるのは、よくあるまちがいです。電気を通すかどうか(金属はすべて電気を通す)と、磁石につくかどうかは、別の性質です。
磁石の力は間にものがあってもはたらく
磁石と鉄の間に、紙や布、うすい板などがあっても、磁石は鉄を引きつけます。また、磁石は、はなれていても鉄を引きつけますが、きょりが近いほど力は強くなります。
N極とS極

磁石には、N極とS極があります。
- ちがう極どうし(N極とS極)は、引き合う
- 同じ極どうし(N極とN極、S極とS極)は、しりぞけ合う
ちがう極は引き合い、同じ極はしりぞけ合う。
磁石の力が強いところ
棒磁石の力は、両はしの極のところが最も強く、まん中はほとんどはたらきません。棒磁石を鉄のクリップの中に入れると、両はしにたくさんクリップがつき、まん中にはほとんどつきません。
方位磁針と地球
方位磁針は、自由に動くようにした小さな磁石です。方位磁針のN極は北を、S極は南をさします。
これは、地球全体が1つの大きな磁石になっていて、北極の近くにS極、南極の近くにN極があるからです。方位磁針のN極は、地球の北極近くのS極に引きつけられて、北をさします。
方位磁針のN極が北をさすのは、地球の北極近くがS極だから(ちがう極が引き合う)。
例題1:方位磁針のN極に、棒磁石のN極を近づけると、方位磁針の針はどうなりますか。
同じ極どうしはしりぞけ合うので、方位磁針のN極は棒磁石から遠ざかるように動きます。
鉄が磁石になる性質
鉄のくぎに磁石をつけると、くぎ自身も磁石のはたらきをもつようになり、別のくぎを引きつけることがあります。また、磁石で鉄のくぎを同じ向きに何回かこすると、くぎが磁石になります。
例題2:磁石になったくぎが、本当に磁石になっているかを確かめるには、どうすればよいですか。
方位磁針に近づけて、針が引きつけられたり、しりぞけられたりするかを調べます。くぎの両はしで、方位磁針のN極が引きつけられるはしと、しりぞけられるはしがあれば、くぎが磁石になっています。
鉄のくぎを近づけて引きつけるかを調べる方法もありますが、方位磁針を使うと、N極とS極があることまで確かめられます。
磁石を切ると
棒磁石を半分に切ると、どちらの磁石にもN極とS極ができ、2つの磁石になります。N極だけ、S極だけの磁石をつくることはできません。
砂鉄で磁石の力を見る
磁石の上に紙をのせ、その上に砂鉄をまくと、砂鉄が両はしの極に多く集まり、N極からS極へ向かうような線の模様ができます。この模様から、磁石の力がはたらいているようすが分かります。
磁石の利用
- 冷蔵庫のとびらのパッキン、マグネットクリップ
- 空き缶の分別(スチール缶は磁石につき、アルミ缶はつかない)
- 方位磁針
- モーターやスピーカー(電磁石と組み合わせて使う)
磁石の力の強さを比べる実験
磁石の力の強さは、次のような方法で比べます。
- 磁石にクリップを何個つり下げられるかを数える
- 磁石と鉄のクリップのきょりを変えて、引きつけられるきょりを調べる
例題3:2つの磁石の強さを比べるとき、クリップの数を数える方法では、どのような条件をそろえる必要がありますか。
同じ種類・同じ大きさのクリップを使い、磁石の同じ部分(極)につり下げるようにそろえます。
比べる実験では、調べたいこと以外の条件をそろえます。電磁石の実験と同じ考え方です。
よくあるまちがいと対策
- 1円玉やアルミ缶を磁石につくと答える:アルミニウムはつかない
- 金属はすべて磁石につくと考える:つくのは鉄
- 棒磁石のまん中の力が強いと考える:両はしの極が最も強い
- 磁石を切ると、N極とS極に分かれると考える:切ったどちらにもN極とS極ができる
家庭での覚え方のコツ
家の中で「つくもの探し」
磁石を持って、家の中のいろいろなものにつけてみましょう。冷蔵庫、スプーン、1円玉、10円玉、缶など、つくものとつかないものを表にまとめると、「鉄だけがつく」ことが実感できます。
クリップで力の強さを調べる
棒磁石にクリップをつけていき、どこにたくさんつくかを調べてみてください。両はしにたくさんつき、まん中にはつかないことが分かります。
方位磁針で地球の磁石を感じる
方位磁針を持って、家のまわりを歩いてみましょう。どこにいてもN極が北をさすことから、地球が大きな磁石であることを感じられます。ただし、鉄のものや電気製品の近くでは、針がずれることがあります。
磁石の性質のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の理科では、3年生で磁石の性質を学びます。5年生では、電流がつくる磁力(電磁石)を学びます。中学受験向けの教材では、3〜4年生ごろに学ぶことが多い単元です。
電磁石との関係は?
電磁石は、電流を流したときだけ磁石になる道具です。N極とS極の性質は、ふつうの磁石と同じです。電磁石とあわせて、ちがいと共通点を整理しましょう。
電気を通すものとのちがいは?
電気を通すのは金属全体、磁石につくのは鉄です。アルミニウムや銅は、電気を通しますが、磁石にはつきません。電気回路の学習とあわせて区別しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:次のうち、磁石につくものをすべて選びましょう。(鉄のくぎ、1円玉、10円玉、スチール缶、アルミ缶)
問題2:磁石のS極とS極を近づけると、どうなりますか。
問題3:方位磁針のN極は、どの方角をさしますか。
問題4:棒磁石を半分に切ると、それぞれの磁石の極はどうなりますか。
答え
問題1:鉄のくぎとスチール缶です。
問題2:しりぞけ合います。
問題3:北をさします。
問題4:どちらの磁石にも、N極とS極ができます。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:磁石は「鉄につく」と「極の性質」
磁石につくのは鉄で、アルミニウムや銅はつきません。ちがう極は引き合い、同じ極はしりぞけ合い、磁石の力は両はしの極で最も強くなります。方位磁針のN極が北をさすのは、地球が大きな磁石だからです。電磁石の学習につなげて整理しましょう。