「倍数算の問題で、比をどうそろえればいいのか分からない」「やりとりの問題と、同じ金額ずつもらう問題のちがいが分からない」
倍数算は、2人の持っている金額などの比が、お金のやりとりや増減によって変わる問題です。中学受験の算数では、比の単元の応用としてよく出題されます。
倍数算を解くポイントは、「何が変わらないか」を見つけることです。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、倍数算の4つのパターンと、それぞれの解き方、家での教え方をまとめました。比の基本(比の性質、比をそろえる)を学んでから読むと、理解しやすくなります。
倍数算は「変わらないもの」を見つける
倍数算の問題は、次の4つのパターンに分けられます。
| パターン | 変わらないもの | 比のそろえ方 |
|---|---|---|
| 2人が同じ金額ずつ増える(減る) | 2人の差 | 比の差をそろえる |
| 2人の間でやりとりする | 2人の和 | 比の和をそろえる |
| 片方だけが増える(減る) | 変わらない方の金額 | 変わらない方の比をそろえる |
| 両方が別々に変わる | なし | 式を作って考える |
倍数算は「差・和・片方」のどれが変わらないかを見つけて、そこの比をそろえます。
パターン1:差が変わらない

例題1:兄は1000円、弟は600円持っています。2人が同じ金額ずつおこづかいをもらったところ、兄と弟の持っている金額の比が5:4になりました。2人はそれぞれ何円もらいましたか。
2人が同じ金額ずつもらうので、2人の差の1000-600=400円は変わりません。
もらったあとの比は5:4で、比の差は1です。この比の1が、変わらない差の400円にあたります。
- もらったあとの弟:400×4=1600円
- もらった金額:1600-600=1000円
確かめると、兄は2000円、弟は1600円で、2000:1600=5:4です。
パターン2:和が変わらない(やりとり)
例題2:姉は1500円、妹は900円持っています。姉が妹にいくらかわたしたところ、姉と妹の持っている金額の比が3:5になりました。姉は妹に何円わたしましたか。
2人の間でお金をやりとりしても、2人の合計の1500+900=2400円は変わりません。
わたしたあとの比は3:5で、比の和は8です。この比の8が、2400円にあたります。
- 比の1:2400÷8=300円
- わたしたあとの姉:300×3=900円
- わたした金額:1500-900=600円
確かめると、妹は900+600=1500円で、900:1500=3:5です。
パターン3:片方だけが変わる
例題3:AさんとBさんの持っている金額の比は4:3です。Aさんが300円使ったので、比が2:3になりました。はじめにAさんが持っていた金額は何円ですか。
Bさんの金額は変わっていません。はじめの比4:3と、あとの比2:3を見ると、Bさんの比はどちらも3でそろっています。
Aさんの比は4から2へ、2減りました。これが300円にあたるので、比の1は150円です。
はじめのAさんは150×4=600円、Bさんは150×3=450円です。確かめると、Aさんが300円使って300円になり、300:450=2:3です。
もし、変わらない方の比がそろっていなければ、最小公倍数を使ってそろえます。たとえば、Bさんの比が「3」と「2」なら、両方を6にそろえてから比べます。
パターン4:両方が変わる
例題4:兄と弟の持っている金額の比は5:3です。兄が200円使い、弟が100円もらったところ、比が3:2になりました。はじめに兄が持っていた金額は何円ですか。
差も和も変わってしまうので、はじめの金額を比で表して考えます。はじめの兄を⑤、弟を③とすると、
- あとの兄:⑤-200円
- あとの弟:③+100円
この2つが3:2なので、「あとの兄×2=あとの弟×3」になります(比の内側の積と外側の積が等しい)。
- (⑤-200)×2=⑩-400
- (③+100)×3=⑨+300
- ⑩-400=⑨+300なので、①=700円
はじめの兄は700×5=3500円、弟は700×3=2100円です。確かめると、あとの兄は3300円、弟は2200円で、3300:2200=3:2です。
両方が変わる問題は、はじめの金額を丸数字の比で表し、式を作って①を求めます。
応用:同じ金額ずつ減る問題
例題5:Aさんは2000円、Bさんは1400円持っています。2人が同じ金額ずつ使ったところ、AさんとBさんの持っている金額の比が5:3になりました。2人はそれぞれ何円使いましたか。
同じ金額ずつ減るときも、2人の差は変わりません。差は2000-1400=600円です。
使ったあとの比は5:3で、比の差は2です。比の2が600円にあたるので、比の1は300円です。使ったあとのBさんは300×3=900円なので、使った金額は1400-900=500円です。
確かめると、Aさんは1500円、Bさんは900円で、1500:900=5:3です。
「増える」でも「減る」でも、同じ金額ずつなら差は変わりません。比の差が1でないときは、例題5のように、比の差がいくつかを確かめてから計算しましょう。
よくあるまちがいと対策
- どのパターンか見分けずに解き始める:「2人とも同じだけ増減」「やりとり」「片方だけ」「両方別々」を、最初に確認する
- 比をそろえずに、比の数どうしを比べる:変わらないものの比を、最小公倍数でそろえる
- 求めた金額が、はじめかあとかを取りちがえる:問題が「はじめ」と「あと」のどちらを聞いているか線を引く
- 確かめ算をしない:求めた金額で比を計算し、問題の比と一致するか確かめる
家庭での教え方のコツ
おこづかいで考える
倍数算は、きょうだいのおこづかいなど、身近なお金の話で考えると分かりやすくなります。「2人とも100円ずつもらったら、差は変わる?」「お姉ちゃんが妹に100円あげたら、2人の合計は変わる?」と聞いて、変わらないものを自分で見つけさせてください。
線分図をかく
倍数算は、線分図で2人の金額を並べると、差や和が目で見えます。変わらないものに色をぬると、どの比をそろえればよいかが分かりやすくなります。
比の単元を先に確実にする
倍数算は、比をそろえる計算が中心です。比の性質や、比の差・和をそろえる練習が不十分なら、先に比の単元を復習しましょう。
倍数算のよくある質問
倍数算と年齢算は似ていますか?
はい、年齢算は「差が変わらない」倍数算の一種です。2人とも1年に1才ずつ年をとるので、年齢の差は変わりません。年齢算で差の考え方を身につけていると、倍数算のパターン1もすぐに理解できます。
倍数算は何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、5〜6年生ごろ、比の単元を学んだあとに取り組むことが多い単元です。
パターン4の式がむずかしいときは?
パターン4は、倍数算の中でもむずかしい問題です。まずはパターン1〜3を確実に解けるようにして、パターン4は、比の内側の積と外側の積が等しいことを確認しながら、ゆっくり練習しましょう。
倍数算の家での進め方
- 比の性質と、比をそろえる練習
- 差が変わらない問題(例題1)
- 和が変わらないやりとりの問題(例題2)
- 片方だけが変わる問題(例題3)
- 両方が変わる問題(例題4)
練習問題にチャレンジ
問題1:Aさんは900円、Bさんは500円持っています。2人が同じ金額ずつもらったところ、比が3:2になりました。2人はそれぞれ何円もらいましたか。
問題2:Aさんは800円、Bさんは400円持っています。AさんがBさんにいくらかわたしたところ、比が1:2になりました。何円わたしましたか。
問題3:AさんとBさんの持っている金額の比は5:4です。Bさんが600円使ったので、比が5:2になりました。はじめのAさんの金額は何円ですか。
答え
問題1:差の400円が比の差1にあたるので、もらったあとのBさんは800円です。もらった金額は800-500=300円です。
問題2:合計1200円が比の和3にあたるので、比の1は400円です。わたしたあとのAさんは400円なので、800-400=400円わたしました。
問題3:Aさんの比は5でそろっています。Bさんの比が4から2へ2減り、それが600円なので、比の1は300円です。はじめのAさんは300×5=1500円です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:倍数算は「変わらないもの」の比をそろえる
倍数算は、差・和・片方のどれが変わらないかを見つけ、その部分の比をそろえて解きます。両方が変わるときは、はじめの金額を比で表して式を作ります。求めたら、必ず比を計算して確かめましょう。
比の基本は比の性質・比例配分・連比・逆比の解き方、差が変わらない問題は年齢算の線分図での解き方で解説しています。家庭学習の教材選びは塾無しで目指す中学受験のおすすめ参考書ランキングも参考にしてください。