「何年後に3倍になるか、という問題で、子どもが式を立てられない」「方程式を使わずに、どう説明すればいいの?」
年齢算は、親子や兄弟の年齢について、「何年後に○倍になるか」「何年前は○倍だったか」などを求める問題です。中学受験の算数の特殊算の中では、考え方さえつかめば得点しやすい単元です。
年齢算のポイントは、たった1つ。「2人の年齢の差は、何年たっても変わらない」ということです。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、このポイントを使った線分図での解き方と、よく出るパターン、家での教え方をまとめました。
年齢算のポイント:年齢の差は変わらない
今、母が36才、子が8才だとします。年齢の差は28才です。
1年後、母は37才、子は9才で、差は28才です。10年後、母は46才、子は18才で、やはり差は28才です。どちらも1年に1才ずつ年をとるので、差は変わりません。
年齢算は「差は変わらない」。この1つの事実から、線分図で解いていきます。
一方で、年齢の「倍」や「比」は、年がたつと変わります。今は母が子の4.5倍ですが、何年かたつと3倍、2倍と、だんだん小さくなっていきます。この「変わらない差」と「変わる倍」を組み合わせるのが年齢算です。
基本:何年後に○倍になるか
例題1:今、母は36才、子は8才です。母の年齢が子の年齢の3倍になるのは何年後ですか。

母の年齢が子の3倍になったときを線分図にかきます。子の年齢を1つ分とすると、母の年齢は3つ分です。その差の2つ分が、変わらない差の28才にあたります。
- 子の年齢の1つ分:28÷(3-1)=14才
- 何年後:14-8=6年後
確かめると、6年後の母は36+6=42才で、子14才の3倍になっています。
何年前に○倍だったか
例題2:今、母は36才、子は8才です。母の年齢が子の年齢の5倍だったのは何年前ですか。
5倍のときを線分図にかくと、差の28才が、子の年齢の5-1=4つ分にあたります。
- 子の年齢:28÷4=7才
- 何年前:8-7=1年前
確かめると、1年前の母は35才で、子7才の5倍です。
「○倍」のとき、差は子の年齢の「○-1」つ分です。
和の問題:父と子ども2人
人数が増えると、差が変わる問題もあります。
例題3:今、父は42才、2人の子は12才と8才です。父の年齢が、2人の子の年齢の和と等しくなるのは何年後ですか。
今、2人の子の年齢の和は12+8=20才で、父との差は42-20=22才です。
1年たつと、父は1才、子の和は2人分の2才増えます。つまり、差は1年に2-1=1才ずつ縮まります。
差の22才がなくなるのは、22÷1=22年後です。
確かめると、22年後の父は64才、子は34才と30才で、和は64才です。
このように、片方が2人以上のときは、「1年で差がいくつ縮まるか」を考えます。これは旅人算の「追いつき」と同じ考え方です。
比の問題:差をそろえる
例題4:今、兄と弟の年齢の比は5:3です。4年後には、3:2になります。今の兄の年齢は何才ですか。
年齢の比が変わっても、差は変わりません。そこで、比の差をそろえます。
- 今:5:3で、比の差は2
- 4年後:3:2で、比の差は1。2倍して6:4にすると、比の差が2にそろう
今の5:3と、4年後の6:4を比べると、兄は5から6へ、比で1増えています。これが4年分なので、比の1は4才です。
今の兄は5×4=20才、弟は3×4=12才です。確かめると、4年後は24才と16才で、24:16=3:2になっています。
比の差をそろえる考え方は、年齢算だけでなく、やりとり算などでもよく使います。
入試レベル:年齢の和と倍を組み合わせる
例題5:今、父と子の年齢の和は48才です。12年後、父の年齢は子の年齢の2倍になります。今の父と子の年齢はそれぞれ何才ですか。
和が出てくる問題では、「和は1年に2才ずつ増える」ことに注目します。2人とも1年に1才ずつ年をとるからです。
- 12年後の和:48+12×2=72才
- 12年後、父は子の2倍なので、和は子の年齢の3つ分
- 12年後の子:72÷3=24才、今の子:24-12=12才
- 今の父:48-12=36才
確かめると、12年後の父は48才で、子24才のちょうど2倍です。
差は変わらない、和は1年に人数分ずつ増える。この2つを使い分けられると、入試の年齢算にも対応できます。
よくあるまちがいと対策
- 差を「子の年齢の○つ分」とする数をまちがえる:「3倍なら差は2つ分」と、線分図で毎回確かめる
- 答えの年齢を「何年後」と取りちがえる:求めた年齢から今の年齢をひくのを忘れない
- 和の問題で、差が1年に1才縮むと決めつける:人数を数えて、1年で増える年齢の差を計算する
- 比の問題で、比をそろえずに比べる:変わらない「差」の比をそろえてから比べる
年齢算は、答えが出たら必ず確かめ算をしましょう。年齢を当てはめて、問題の条件に合うかを調べれば、ミスにすぐ気づけます。
家庭での教え方のコツ
家族の年齢で問題を作る
年齢算は、家族の年齢を使って問題を作れるのが大きな魅力です。「お母さんの年齢が、あなたの3倍になるのは何年後?」と聞けば、子どもも身近な問題として考えられます。答えが出たら、カレンダーで何年の何才のときかを確かめてみるのも楽しいでしょう。
線分図は2本を左はしでそろえる
線分図は、2人の年齢の線を左はしをそろえてかき、右はしのちがいが「差」になるようにします。差の部分に色をぬると、「差は変わらない」ことが目で分かります。
和差算・倍数算とつなげる
年齢算は、和差算や、比を使う倍数算と考え方が近い単元です。線分図で差に注目する練習は、ほかの特殊算にもそのまま役立ちます。
年齢算のよくある質問
年齢算は方程式を使わないと解けませんか?
いいえ、中学受験の年齢算は、線分図を使えば方程式なしで解けます。「差は変わらない」ことと、「○倍のとき、差は○-1つ分」ということを使えば、たし算・ひき算・わり算だけで答えが出ます。むしろ、線分図で解く練習をしておくと、中学で方程式を学んだときに、式の意味がよく分かるようになります。
「○倍」の問題で、答えが小数や分数になったら?
年齢算の問題では、ふつう答えは整数になるように作られています。答えが小数になったら、差の計算や、「○-1つ分」の数をまちがえていないか見直してみてください。それでも小数になるときは、問題文に「年齢は整数とします」などの条件がないかも確認しましょう。
年齢算は何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろに学ぶことが多い単元です。和差算や倍の考え方を学んだあとに取り組むと、スムーズに理解できます。比を使う問題は、比の単元を学んだあとに練習しましょう。
年齢算の家での進め方
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 家族の年齢で「差は変わらない」ことを確かめる
- 何年後に○倍になるかを求める(例題1)
- 何年前に○倍だったかを求める(例題2)
- 和の問題(例題3)と、比の問題(例題4)
1日2〜3問、線分図をかいてから式を立てる習慣をつけましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:今、父は38才、子は6才です。父の年齢が子の年齢の3倍になるのは何年後ですか。
問題2:今、母は34才、子は10才です。母の年齢が子の年齢の5倍だったのは何年前ですか。
問題3:今、姉と妹の年齢の比は3:2です。5年後には4:3になります。今の姉の年齢は何才ですか。
答え
問題1:差は32才で、子の年齢の2つ分です。32÷2=16才なので、16-6=10年後です。
問題2:差は24才で、子の年齢の4つ分です。24÷4=6才なので、10-6=4年前です。
問題3:比の差はどちらも1でそろっています。姉は3から4へ比で1増え、それが5年分なので、比の1は5才です。今の姉は3×5=15才です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「算数・特殊算パック①」に入っています。
まとめ:年齢算は「変わらない差」から考える
年齢算は、2人の年齢の差が変わらないことを使って、線分図で解く単元です。「○倍のとき、差は○-1つ分」、和の問題は「1年で差がいくつ縮むか」、比の問題は「差の比をそろえる」。この3つを押さえれば、多くの問題に対応できます。
線分図の基本は和差算の線分図での解き方、比の考え方は比の性質・比例配分・連比・逆比の解き方で解説しています。家庭学習の教材選びは塾無しで目指す中学受験のおすすめ参考書ランキングも参考にしてください。