「和差算は簡単そうに見えるのに、うちの子は大きい方と小さい方をよく取り違える」「線分図をかきなさいと言われても、どうかけばいいのか分からない」
和差算は、中学受験の算数で最初に学ぶことが多い特殊算です。計算そのものは足し算・引き算・割り算だけなので、つい「公式を覚えれば大丈夫」と考えがちです。でも、和差算で身につけたいのは公式ではなく、「線分図をかいて、数量の関係を目で見る力」です。この力は、このあと学ぶ分配算や年齢算、割合の問題でもずっと使います。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、和差算の基本、線分図のかき方、3人の和差算、問題文に和と差がかくれているパターン、家での教え方をまとめました。
和差算とは?どんな問題か
和差算は、「2つ(または3つ以上)の数量の、和(合計)と差が分かっているとき、それぞれの数量を求める問題」です。
例題1:兄と弟の持っているお金を合わせると1000円です。兄は弟より200円多く持っています。兄と弟はそれぞれ何円持っていますか。
分かっているのは、「和=1000円」と「差=200円」の2つです。ここから、兄と弟の金額をそれぞれ求めます。
基本の解き方:線分図で「そろえる」
和差算は、線分図をかいて解くのが基本です。

小さい方にそろえる解き方
図を見ると、兄の線は弟の線より200円分だけ長くなっています。この200円分を取りのぞくと、兄と弟の線の長さが同じになり、「弟2人分」になります。
- 1000-200=800円(弟2人分)
- 800÷2=400円(弟)
- 400+200=600円(兄)
確かめると、600+400=1000円、600-400=200円で、どちらも問題と合っています。
大きい方にそろえる解き方
反対に、弟の線に200円を足して兄と同じ長さにする方法もあります。
- 1000+200=1200円(兄2人分)
- 1200÷2=600円(兄)
- 600-200=400円(弟)
どちらの解き方でも答えは同じです。家で教えるときは、まず「小さい方にそろえる」方法を1つ確実にしてから、もう1つの方法を見せると混乱しにくくなります。
和差算は「差の分を取りのぞいて(または足して)、同じ長さにそろえる」と考えます。
「(和-差)÷2」を丸暗記しない
和差算には「小さい方=(和-差)÷2」「大きい方=(和+差)÷2」という公式があります。覚えておくと便利ですが、公式だけを覚えると、3人の問題や、差が問題文にかくれている問題で使えなくなります。
公式は「線分図をかいたら、結果的にこうなる」というまとめとして扱い、最初は毎回図をかいて解くことをおすすめします。
線分図のかき方のコツ
線分図がうまくかけない子は、次の順番で練習してみてください。
- 登場する人(もの)の名前を、たてに並べて書く
- 小さい方の線を先に引く
- 大きい方の線を、小さい方と左をそろえて、少し長めに引く
- はみ出した部分に「差」の数を書く
- 右側にかっこを書いて「和」の数を書く
いちばん大事なのは、線の左はしをそろえることです。左がそろっていないと、どこが「差」なのかが分からなくなります。ノートのマス目を使って、きっちりそろえる練習をしておくと、ほかの単元でもきれいな図がかけるようになります。
線の長さは、正確な比率でなくてかまいません。「大きい方が長い」ことが分かれば十分です。
3人の和差算
登場する人が3人になると、少しむずかしくなります。でも、考え方は同じです。いちばん少ない人(または多い人)に「そろえる」だけです。
例題2:A、B、Cの3人の持っているお金を合わせると1300円です。AはBより100円多く、BはCより150円多く持っています。3人はそれぞれ何円持っていますか。

いちばん少ないCにそろえて考えます。BはCより150円多く、AはBより100円多いので、AはCより150+100=250円多いことになります。
- 3人の合計から、はみ出した部分を取りのぞく:1300-(250+150)=900円(C3人分)
- 900÷3=300円(C)
- 300+150=450円(B)
- 450+100=550円(A)
確かめると、550+450+300=1300円です。
3人の問題では、「AはCより何円多いか」を先に出しておくことがポイントです。線分図をかくと、Aのはみ出した部分が「150円+100円」になっていることが目で見て分かります。
和や差がかくれている問題
和差算の応用では、和や差がそのまま書かれていないことがあります。
「あげると同じになる」問題
例題3:姉と妹の持っているお金は合わせて1600円です。姉が妹に150円あげると、2人の金額は同じになります。姉と妹ははじめに何円ずつ持っていましたか。
この問題で多いまちがいが、「差は150円」と考えてしまうことです。
姉が150円あげると、姉は150円減り、妹は150円増えます。それで同じになるのですから、はじめの差は150×2=300円です。
- (1600-300)÷2=650円(妹)
- 650+300=950円(姉)
確かめると、姉は950-150=800円、妹は650+150=800円で、同じになっています。
「あげると同じになる」ときは、あげた金額の2倍が差になります。
このタイプは、実際にお金やおはじきを使って、親子で「あげる・もらう」をやってみると一気に分かります。片方が減って、もう片方が増えるので、差は2倍ちぢまる、という動きが体験できます。
長方形のまわりの長さの問題
例題4:まわりの長さが48cmの長方形があります。たての長さは横の長さより4cm長いです。たてと横の長さはそれぞれ何cmですか。
長方形のまわりの長さは「(たて+横)×2」なので、たて+横=48÷2=24cmです。これが「和」になります。
- (24-4)÷2=10cm(横)
- 10+4=14cm(たて)
まわりの長さ48cmを、そのまま和として使ってしまうまちがいが多い問題です。「まわりの長さは、たてと横が2本ずつ」ということを、図をかいて確認させてください。
家庭での教え方のコツ
毎回「確かめ算」をする
和差算は、答えが出たら「和」と「差」の両方で確かめられます。2つとも合っていれば正解です。確かめ算を習慣にすると、大きい方と小さい方の取り違えにも自分で気づけるようになります。
「何をそろえたか」を言葉で言わせる
答えが合っていても、「どっちにそろえたの?」「なんで200を引いたの?」と聞いてみてください。言葉で説明できれば、線分図の意味が分かっています。説明できない場合は、公式を当てはめているだけかもしれません。
身近な題材で問題を作る
おこづかい、兄弟の身長、本のページ数など、身近な数で問題を作ると、子どもは楽しんで取り組めます。慣れてきたら、子どもに問題を作らせて、親が解くのも効果的です。問題を作るには、和と差の関係を理解している必要があるからです。
和差算の次に学ぶ「分配算」「年齢算」とのつながり
和差算ができるようになると、次に「分配算」や「年齢算」が出てきます。どちらも、線分図で「そろえる」考え方をそのまま使います。
分配算:「〜倍」が入ってくる
分配算は、「AはBの3倍より100円多い」のように、「何倍」という関係が入ってくる問題です。
たとえば「兄と弟の合計が1300円で、兄は弟の2倍より100円多い」という問題なら、弟の線を1本、兄の線を「弟2本分+100円」でかきます。100円を取りのぞくと、弟3本分が1300-100=1200円になるので、弟は1200÷3=400円、兄は400×2+100=900円です(合計1300円)。
和差算で「はみ出した部分を取りのぞいて、そろえる」練習をしておくと、分配算でも同じ動きで解けます。
年齢算:差が変わらないことを使う
年齢算は、親子や兄弟の年齢についての問題です。ポイントは、「何年たっても、2人の年齢の差は変わらない」ことです。
たとえば「父は40才、子は10才。父の年齢が子の年齢の3倍になるのは何年後?」という問題では、差の30才がずっと変わりません。父が子の3倍になるとき、差の30才は子の年齢の2つ分なので、子は30÷2=15才。15-10=5年後です(父45才、子15才で、45は15の3倍)。
和差算で「差」に注目する習慣をつけておくと、年齢算でも「変わらないものは何か」を見つけやすくなります。
和差算の線分図は、分配算・年齢算・割合の文章題まで、ずっと使う道具です。
和差算は何年生で?家での進め方
和差算は、中学受験向けの教材では4年生ごろに出てくることが多い単元です。使う計算は足し算・引き算・割り算だけなので、割り算ができれば3年生でも取り組めます。
塾なしで進める場合の目安は、次のとおりです。
- 2人の和差算を、線分図をかいて解く(小さい方にそろえる)
- 同じ問題を、大きい方にそろえて解く
- 3人の和差算に進む
- 「あげると同じになる」「長方形のまわり」など、和や差がかくれた問題に進む
1日2〜3問で十分です。とくに3人の問題と、かくれた和・差の問題は、線分図をていねいにかけるかどうかで結果が変わります。
練習問題にチャレンジ
問題1:大小2つの数があります。2つの数の和は56、差は12です。大きい方の数はいくつですか。
問題2:まわりの長さが36cmの長方形があります。たての長さは横の長さより6cm短いです。たての長さは何cmですか。
問題3:A、B、Cの3人の持っているお金を合わせると2400円です。AはBより300円多く、CはBより150円少ないです。Bは何円持っていますか。
答え
問題1:(56+12)÷2=34。大きい方は34です(小さい方は22で、34+22=56、34-22=12)。
問題2:たて+横=36÷2=18cm。たての方が短いので、(18-6)÷2=6cm。たては6cmです(横は12cmで、まわりは(6+12)×2=36cm)。
問題3:Bにそろえて考えます。AはBより300円多く、CはBより150円少ないので、2400-300+150=2250円がB3人分です。2250÷3=750円。Bは750円です(Aは1050円、Cは600円で、合計2400円)。
問題3は、「少ない人を足してそろえる」というひと工夫が必要です。線分図をかいて、どこが足りなくてどこがはみ出しているかを確かめながら解かせてください。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「算数・特殊算パック①」に入っています。
まとめ:和差算は「線分図でそろえる」練習
和差算は、和と差が分かっているときに、線分図でそろえて1人分を求める問題です。公式を覚える前に、線分図をかいて「差の分を取りのぞく(足す)」という動きを理解させることが大切です。
ここで身につけた線分図をかく力は、分配算、年齢算、割合や比の文章題まで、中学受験の算数全体の土台になります。急がず、1問ずつ図をかいて、確かめ算までをセットで習慣にしていきましょう。
ほかの特殊算は、つるかめ算の解き方と教え方や旅人算の解き方と図のかき方でも解説しています。家で使う問題集を探すときは、塾無しで目指す中学受験のおすすめ参考書ランキングも参考にしてください。