「兄と弟の金額を同じにするには、差の分をわたせばいいと思っていた」「何回もやりとりする問題になると、どこから考えればいいか分からない」
やりとり算は、中学受験の算数の文章題で、2人以上の間でお金や物をやりとりする場面を考える単元です。「やりとりしても、全員の合計は変わらない」という1つのポイントを使えば、ほとんどの問題が解けます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、やりとり算の基本の考え方と、よく出るパターンの解き方をまとめました。
やりとり算の基本

2人の間でお金をやりとりしても、2人の合計は変わりません。一方がわたした分だけ、もう一方がふえるからです。
やりとり算は「2人の合計は変わらない」。やりとりの後の金額を、合計から先に決めます。
同じにする問題
例題1:兄は1000円、弟は600円持っています。兄が弟に何円わたすと、2人の金額が同じになりますか。
2人の合計は1600円で、やりとりしても変わりません。同じになったとき、1人分は1600÷2=800円です。兄は1000円から800円になればよいので、1000-800=200円わたします。
ここで、差の400円をそのままわたすと、兄は600円、弟は1000円になり、逆転してしまいます。同じにするには、差の半分をわたします。
同じにするときにわたす金額は「差の半分」です。差をそのままわたすと、逆転してしまいます。
何倍にする問題
例題2:兄は1500円、弟は900円持っています。兄が弟に何円わたすと、弟の金額が兄の2倍になりますか。
2人の合計は2400円です。やりとりの後、兄を1とすると弟は2で、合計は3つ分です。1つ分は2400÷3=800円なので、やりとりの後の兄は800円です。兄は1500-800=700円わたします。
確かめると、弟は900+700=1600円で、兄の800円の2倍になっています。
比を使う問題
例題3:AとBの持っているお金の比は5:3で、合計は1600円です。AがBに何円わたすと、AとBの比が3:5になりますか。
はじめの金額は、Aが1600×8分の5=1000円、Bが600円です。やりとりの後も合計は1600円なので、Aは1600×8分の3=600円になります。AがBにわたすのは、1000-600=400円です。
比の合計が、やりとりの前と後で同じ(5+3=3+5=8)なので、比の1つ分の大きさも変わりません。比の5から3へ、2つ分が移動したと考えて、1600÷8×2=400円と求めることもできます。
合計が変わらないので、やりとりの前と後の比は、比の合計をそろえてから比べます。
何回かやりとりする問題は後ろから
例題4:AがBに、自分の持っているお金の半分をわたしました。次に、BがAに300円わたしたところ、2人とも1000円になりました。はじめに、AとBはそれぞれ何円持っていましたか。
最後から順にもどって考えます。
- 2回目のやりとりの前:BがAに300円わたす前なので、Aは1000-300=700円、Bは1000+300=1300円
- 1回目のやりとりの前:Aは半分をわたして700円になったので、はじめは700×2=1400円。Bは、Aからもらった700円を引いて、1300-700=600円
はじめは、Aが1400円、Bが600円です。合計は2000円で、最後の1000+1000=2000円と同じになっています。
何回もやりとりする問題は、最後の状態から、1回ずつ後ろへもどって考えます。
後ろから考えるときは、次のような表をつくると、まちがいが減ります。
| A | B | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 最後 | 1000円 | 1000円 | 2000円 |
| 2回目の前 | 700円 | 1300円 | 2000円 |
| はじめ | 1400円 | 600円 | 2000円 |
3人でやりとりする問題
3人の間でやりとりする問題でも、「3人の合計は変わらない」ことを使います。
例題5:A・B・Cの3人が、合わせて3000円持っています。AがBに200円、BがCに300円わたしたところ、3人の金額が同じになりました。はじめに、それぞれ何円持っていましたか。
合計は3000円で変わらないので、最後は1人1000円です。後ろからもどすと、Cは300円もらう前なので700円、Bは300円わたす前で200円もらう前なので1000+300-200=1100円、Aは200円わたす前なので1200円です。
確かめると、1200+1100+700=3000円で、合っています。
3人でも「合計は変わらない」と「後ろからもどす」の2つで解けます。
よくあるまちがいと対策
- 同じにするのに、差をそのままわたす:わたすのは差の半分
- やりとりの後の合計が変わると考える:わたした分だけもらうので、合計は変わらない
- 比の問題で、比の数をそのまま比べる:比の合計をそろえてから比べる
- 何回もやりとりする問題を、前から解こうとする:最後の状態から後ろへもどる
家庭での教え方のコツ
おはじきでやりとりする
親子でおはじきを分けて持ち、「何個わたすと同じになる?」を実際にやってみましょう。差の半分をわたすと同じになることが、手で確かめられます。
表に「合計」の列を作る
やりとりの前と後の金額を表にするときは、必ず「合計」の列を作りましょう。合計が変わらないことを確かめる習慣がつきます。
逆からたどる練習
「最後に○円になった。その前は?」と、1つずつ逆にたどる練習をしてみてください。やりとり算だけでなく、相当算や還元算にも役立ちます。
やりとり算のよくある質問
何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろに学ぶことが多い単元です。比を使う問題は、5〜6年生で比を学んでから取り組みます。
倍数算とはどうちがいますか?
倍数算は、2人の金額がそれぞれ増えたり減ったりして、比が変わる問題です。やりとり算は、2人の間でやりとりするので合計が変わらない、という特ちょうがあります。倍数算とあわせて、ちがいを確認しましょう。
苦手な場合は何から始めればいいですか?
まずは「同じにする問題」で、合計が変わらないことに慣れましょう。そのあと、何倍にする問題、比の問題、後ろから考える問題へと進みます。
練習問題にチャレンジ
問題1:Aは800円、Bは500円持っています。AがBに何円わたすと、2人の金額が同じになりますか。
問題2:Aは900円、Bは300円持っています。AがBに何円わたすと、Bの金額がAの2倍になりますか。
問題3:AとBの持っているお金の比は7:5で、合計は1200円です。AがBに何円わたすと、2人の金額が同じになりますか。
問題4:AがBに200円わたしたところ、Aは600円、Bは800円になりました。はじめに、AとBはそれぞれ何円持っていましたか。
答え
問題1:合計1300円の半分は650円なので、800-650=150円です。
問題2:合計1200円を1:2に分けると、Aは400円です。900-400=500円です。
問題3:Aは700円、Bは500円です。同じにするには、差200円の半分の100円です。
問題4:Aは600+200=800円、Bは800-200=600円です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:やりとり算は「合計は変わらない」
やりとり算は、やりとりしても全員の合計が変わらないことを使って、やりとりの後の金額を先に求めます。同じにするときは差の半分をわたし、比の問題は比の合計をそろえ、何回もやりとりする問題は後ろからもどって考えましょう。