「国会と内閣、どちらが何をするところなのか混ざってしまう」「三権分立の図の矢印が多すぎて、覚えきれない」
三権分立は、中学受験の社会の公民分野で、毎年のように出題される単元です。国会・内閣・裁判所の仕事と、たがいにおさえ合う関係が問われます。時事問題と結びつけた出題も多い単元です。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、三権分立のしくみと、図の覚え方をまとめました。
三権分立とは
国の権力を、法律をつくる「立法権」、法律にもとづいて政治を行う「行政権」、争いや犯罪を法律にもとづいて裁く「司法権」の3つに分け、それぞれ別の機関が受け持つしくみを三権分立といいます。
| 権力 | 受け持つ機関 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| 立法権 | 国会 | 法律をつくる、予算を決める |
| 行政権 | 内閣 | 法律や予算にもとづいて政治を行う |
| 司法権 | 裁判所 | 法律にもとづいて裁判を行う |
1つの機関に権力が集まると、国民の権利がおびやかされるおそれがあります。そこで3つに分けて、たがいにおさえ合います。
国会(立法)
国会は、国の政治の中心となる機関で、日本国憲法で「国権の最高機関」「国の唯一の立法機関」とされています。
衆議院と参議院
国会は、衆議院と参議院の二院制です。
| 衆議院 | 参議院 | |
|---|---|---|
| 任期 | 4年(解散あり) | 6年(3年ごとに半数を選挙) |
| 立候補できる年齢 | 25歳以上 | 30歳以上 |
議員の数は、法律で決められていて、変わることがあります。最新の数は資料集で確認してください。
衆議院の優越
衆議院は任期が短く解散もあるので、国民の意見をより反映しやすいと考えられています。そのため、いくつかの点で参議院より強い権限をもちます。
- 予算は、先に衆議院で話し合う
- 内閣不信任の決議ができるのは、衆議院だけ
- 法律案で両院の議決がちがうとき、衆議院が出席議員の3分の2以上で再び可決すると法律になる
国会の主な仕事
- 法律をつくる
- 予算を決める
- 内閣総理大臣を指名する
- 条約を承認する
- 裁判官をやめさせるかどうかを決める弾劾裁判所を開く
- 憲法改正を発議する
国会の種類
国会には、開かれる時期や目的によって、次のような種類があります。
| 種類 | 開かれるとき |
|---|---|
| 常会(通常国会) | 毎年1回、1月に召集。会期は150日間。主に予算を話し合う |
| 臨時会(臨時国会) | 内閣が必要と認めたときなど |
| 特別会(特別国会) | 衆議院の解散による総選挙のあと30日以内。内閣総理大臣を指名する |
衆議院が解散されている間に、急いで決めることが必要になったときは、参議院の緊急集会が開かれます。
総選挙のあとの特別会では、まず内閣総理大臣の指名が行われます。
内閣(行政)
内閣は、内閣総理大臣と国務大臣でつくられ、法律や予算にもとづいて国の政治を行います。
- 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会が指名し、天皇が任命する
- 国務大臣は、内閣総理大臣が任命する。その過半数は国会議員
- 閣議を開いて、政治の方針を決める
内閣が国会の信任にもとづいてつくられ、国会に対して責任を負うしくみを、議院内閣制といいます。
衆議院で内閣不信任が決議されると、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職しなければなりません。
裁判所(司法)
裁判所には、最高裁判所と、下級裁判所(高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所)があります。
三審制
1つのことがらについて、3回まで裁判を受けられるしくみを三審制といいます。判決に納得できないときは、上の裁判所にうったえることができます。まちがった判決を防ぎ、人権を守るためのしくみです。
裁判員制度
国民の中から選ばれた裁判員が、裁判官といっしょに、重大な刑事裁判を行う制度です。地方裁判所で行われる最初の裁判(第一審)が対象です。
三権のおさえ合い

| 向き | おさえ方 |
|---|---|
| 国会から内閣へ | 内閣不信任の決議(衆議院) |
| 内閣から国会へ | 衆議院の解散 |
| 国会から裁判所へ | 弾劾裁判 |
| 裁判所から国会へ | 法律が憲法に違反していないかの審査 |
| 内閣から裁判所へ | 最高裁判所長官の指名、その他の裁判官の任命 |
| 裁判所から内閣へ | 命令や処分が憲法に違反していないかの審査 |
国民は、国会には選挙、内閣には世論、裁判所には最高裁判所の裁判官の国民審査で関わります。
法律などが憲法に違反していないかを最終的に決めるのは最高裁判所。そのため「憲法の番人」とよばれます。
よくあるまちがいと対策
- 内閣総理大臣を国民が直接選ぶと考える:国会が指名し、天皇が任命する
- 内閣不信任の決議を参議院でもできると考える:衆議院だけ
- 弾劾裁判を裁判所が行うと考える:弾劾裁判所は国会に置かれる
- 国民審査の対象を全部の裁判官と考える:最高裁判所の裁判官が対象
家庭での覚え方のコツ
図を何も見ずにかく
三角形の頂点に国会・内閣・裁判所を書き、矢印と言葉を何も見ずにかけるか試してみましょう。かけなかった矢印だけを覚え直すと効率的です。
ニュースと結びつける
国会で法律が成立した、内閣が閣議で決めた、最高裁判所が判決を出した、などのニュースを見たら、どの権力の話かを親子で確かめてみてください。
「3」の数字で整理する
三権分立、三審制、国民の関わり方(選挙・世論・国民審査)など、「3つ」でまとまる内容が多い単元です。セットで覚えると忘れにくくなります。
三権分立のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の社会では、6年生で国の政治のしくみとして学びます。中学受験向けの教材では、6年生ごろに公民分野として学ぶことが多い内容です。
公民の全体像はどこで確認できますか?
憲法・地方自治・財政などをふくめた公民の全体の流れは、公民の勉強法で解説しています。
国際連合の安全保障理事会とまちがえやすいです。
拒否権などは国際連合の安全保障理事会のしくみで、日本の国会とは別のものです。国際連合で整理しておきましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:法律をつくる権力を何といいますか。また、それを受け持つ機関はどこですか。
問題2:内閣総理大臣は、だれが指名しますか。
問題3:1つのことがらについて、3回まで裁判を受けられるしくみを何といいますか。
問題4:最高裁判所が「憲法の番人」とよばれるのはなぜですか。
答え
問題1:立法権で、国会が受け持ちます。
問題2:国会が、国会議員の中から指名します。
問題3:三審制です。
問題4:法律や命令などが憲法に違反していないかを、最終的に判断するからです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「社会・公民パック」に入っています。
まとめ:三権分立は「3つの仕事」と「6本の矢印」
三権分立は、立法・行政・司法の3つの権力を、国会・内閣・裁判所が分けて受け持つしくみです。それぞれの仕事に加えて、たがいをおさえ合う6本の矢印と、国民の関わり方(選挙・世論・国民審査)をセットで覚えましょう。