「気持ちを答える問題で、なんとなく選んでまちがえてしまう」「本文に気持ちが書かれていないのに、どうやって答えればいいのか分からない」
物語文は、中学受験の国語で、説明文と並んでほぼ必ず出題される文章です。登場人物の気持ちや、その変化の理由を問う問題が中心になります。物語文の気持ちは、多くの場合はっきりとは書かれていません。行動や表情、会話、情景から読み取る方法を身につけることが大切です。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、物語文の読み方の基本と、よく出る問題の解き方をまとめました。例文は、この記事のために作ったものです。
まず場面をつかむ
物語文を読むときは、まず場面を整理します。
- いつ(季節・時間)
- どこで(場所)
- だれが(登場人物と、その関係)
- 何が起きたか(出来事)
場面が変わるところ(時間がたつ、場所が変わる、新しい人物が出てくる)で、文章を区切って読むと、話の流れがつかみやすくなります。
物語文は「いつ・どこで・だれが・何が起きたか」を先に整理します。
気持ちを読み取る4つの手がかり
| 手がかり | 例 |
|---|---|
| 行動 | テストを、そっと机の中にしまった |
| 表情・しぐさ | 下を向いたまま、くちびるをかんだ |
| 会話 | 「別に、どうでもいいよ」と小さな声で言った |
| 情景描写 | 窓の外では、冷たい雨が降り続いていた |
例題1:次の文から、健太の気持ちを読み取りましょう。「健太は、返されたテストを見ると、すぐに二つに折って、そっと机の中にしまった。窓の外では、冷たい雨が降り続いていた。」
テストをすぐに折って、そっとしまう行動から、点数を人に見られたくない、がっかりした気持ちが読み取れます。冷たい雨の情景も、健太の沈んだ気持ちと重なっています。
気持ちは「書かれた行動や様子」から読み取ります。自分の想像ではなく、本文の言葉を根拠にします。
情景描写に注目する
情景描写とは、景色や天気などの様子をえがいた文です。物語文では、情景描写が登場人物の気持ちを表していることがよくあります。
- 晴れわたった空、明るい日差し:うれしい、前向きな気持ち
- 冷たい雨、暗い雲:悲しい、沈んだ気持ち
- 雨が上がり、光がさしこむ:気持ちが晴れる、立ち直る
ただし、いつもこの通りとは限りません。前後の場面とあわせて判断しましょう。
気持ちの変化をとらえる

物語文では、出来事をきっかけに、登場人物の気持ちが変わる場面がよく出ます。気持ちの変化は、次の3つで整理します。
- 前の気持ち
- きっかけ(何があったか)
- 後の気持ち
例題2:例題1の続きです。「休み時間、となりの席の美咲が『わたしも三問目、まちがえちゃった』と笑って話しかけてきた。健太は少しだけ顔を上げ、机の中のテストを取り出した。」健太の気持ちはどう変わりましたか。
前の気持ちは、点数を見られたくない、落ちこんだ気持ちです。きっかけは、美咲が自分もまちがえたと笑って話しかけてくれたことです。顔を上げ、テストを取り出した行動から、少し気持ちが軽くなったことが読み取れます。
気持ちの変化は「前・きっかけ・後」の3点セット。行動の変化(下を向く→顔を上げる)が、気持ちの変化を表します。
選択肢問題の見分け方
気持ちを選ぶ問題では、次のような選択肢に注意します。
- 言いすぎ:「とても」「完全に」「二度と〜ない」など、本文より強い表現
- 本文にない:本文に根拠がない内容がまじっている
- 一部だけ正しい:前半は合っているが、後半がちがう
- 時間がずれている:その場面ではなく、前や後の場面の気持ち
選択肢は、全部の部分が本文と合っているかを確かめます。一部でもちがえば選びません。
気持ちを答える記述の型
記述問題で気持ちを答えるときは、次の型を使うと書きやすくなります。
「(きっかけ・理由)から、(気持ち)という気持ち。」
例:「美咲も同じところをまちがえたと知って、自分だけではないと分かり、少し安心した気持ち。」
理由と気持ちの両方を書くことで、採点のポイントを押さえやすくなります。
人物どうしの関係を読む
物語文では、登場人物どうしの関係が変わる場面もよく出ます。
- 最初はぎくしゃくしていた2人が、ある出来事をきっかけに打ち解ける
- 親や先生の言葉を、最初は反発していたが、あとで理解する
人物の関係を図にして、場面ごとにどう変わったかを書きこむと、全体の流れが見えてきます。
よくあるまちがいと対策
- 自分ならどう思うかで答える:本文の言葉を根拠にする
- 気持ちだけ書いて理由を書かない:「〜から、〜という気持ち」の型で書く
- 情景描写を読み飛ばす:景色や天気の文に線を引く
- 選択肢を一部だけで判断する:全部の部分を本文と照らし合わせる
家庭での教え方のコツ
読んだあとに「どうして?」と聞く
本を読んだあとに、「このとき、どんな気持ちだったと思う?」「どうしてそう思った?」と聞いてみましょう。根拠を言う練習になります。
気持ちを表す言葉をふやす
「うれしい」「悲しい」だけでなく、「ほっとする」「くやしい」「てれくさい」「もどかしい」など、気持ちを表す言葉をふやしましょう。記述の表現が豊かになります。
線を引きながら読む
行動・表情・会話・情景に、それぞれ印をつけながら読む練習をしてください。手がかりを見落とさなくなります。
物語文のよくある質問
何年生から練習すればいいですか?
中学受験向けの教材では、4年生ごろから読解の練習が始まり、学年が上がるにつれて文章が長く、心情の変化も複雑になります。早めに「根拠を探す読み方」に慣れておくと安心です。
説明文とは読み方がちがいますか?
説明文は筆者の考えを読み取り、物語文は登場人物の気持ちを読み取る、という点がちがいます。説明文の読み方もあわせて確認しましょう。
接続語や指示語も関係しますか?
はい、物語文でも、接続語や指示語の問題がよく出ます。接続語と指示語で、基本を確認しておきましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:気持ちを読み取る4つの手がかりを答えましょう。
問題2:景色や天気などの様子をえがき、人物の気持ちを表すことがある文を何といいますか。
問題3:気持ちの変化をとらえるときに整理する3つのことを答えましょう。
問題4:「とても」「完全に」など、本文より強い表現がある選択肢には、どんな注意が必要ですか。
答え
問題1:行動、表情・しぐさ、会話、情景描写です。
問題2:情景描写です。
問題3:前の気持ち、きっかけ、後の気持ちです。
問題4:言いすぎになっていないか、本文と照らし合わせて確かめます。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:物語文は「根拠」と「変化」で読む
物語文は、まず場面を整理し、行動・表情・会話・情景描写を手がかりに気持ちを読み取ります。気持ちの変化は「前の気持ち・きっかけ・後の気持ち」で整理し、記述では理由と気持ちをセットで書きましょう。いつも本文の言葉を根拠にすることが、得点への近道です。