「おうぎ形のまわりの長さを求めると、いつも半径の分を足し忘れる」「3.14のかけ算が多くて、計算ミスが止まらない」
円とおうぎ形は、中学受験の算数の図形分野で、ほぼすべての学校で出題される単元です。面積や長さを求める問題だけでなく、図形の移動や立体の問題でも、円とおうぎ形の計算が土台になります。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、円とおうぎ形の公式、例題、3.14の計算を楽にする工夫、よくあるまちがいを整理し、家での教え方をまとめました。
円の基本
円の中心から円のまわりまでの長さを「半径」、半径の2倍を「直径」、円のまわりの長さを「円周」といいます。
円周の長さは、直径のおよそ3.14倍です。この3.14を「円周率」といいます。
- 円周=直径×3.14(=半径×2×3.14)
- 円の面積=半径×半径×3.14
円周は「直径×3.14」、面積は「半径×半径×3.14」。直径と半径の使い分けが第一歩です。
例題1:半径5cmの円の、円周と面積を求めましょう。
円周は、直径10cmなので、10×3.14=31.4cmです。面積は、5×5×3.14=78.5cm²です。
おうぎ形の公式

おうぎ形は、円を2本の半径で切り取った形です。2本の半径がつくる角を「中心角」、曲がった部分を「弧」といいます。
おうぎ形は「円の何分の1か」で考えます。中心角が90°なら、360°の4分の1なので、円の4分の1です。
- 弧の長さ=直径×3.14×中心角÷360
- おうぎ形の面積=半径×半径×3.14×中心角÷360
- おうぎ形のまわりの長さ=弧の長さ+半径×2
おうぎ形のまわりの長さは「弧+半径2本」。半径の足し忘れがいちばん多いまちがいです。
例題2:半径6cm、中心角120°のおうぎ形の、弧の長さ、まわりの長さ、面積を求めましょう。
120°は360°の3分の1です。弧の長さは、12×3.14÷3=12.56cmです。まわりの長さは、12.56+6×2=24.56cmです。面積は、6×6×3.14÷3=37.68cm²です。
中心角を求める問題
弧の長さや面積から、中心角を逆に求める問題もよく出ます。
例題3:半径10cmのおうぎ形の弧の長さが15.7cmのとき、中心角は何度ですか。
円周は20×3.14=62.8cmです。15.7÷62.8=4分の1なので、中心角は360÷4=90°です。
「円全体の何分の1か」を先に求めると、どんな形の問題でも同じ考え方で解けます。
3.14の計算を楽にする工夫
円の問題では、3.14のかけ算が何回も出てきます。毎回計算すると、時間がかかり、ミスも増えます。
3.14は最後にまとめてかける
例えば、半径6cmの円から半径4cmの円をくりぬいた図形(ドーナツ形)の面積は、次のように計算します。
6×6×3.14-4×4×3.14=(36-16)×3.14=20×3.14=62.8cm²
3.14をかける前の数どうしを先にまとめると、3.14のかけ算は1回ですみます。
よく使う3.14の段を覚える
- 3.14×2=6.28
- 3.14×3=9.42
- 3.14×4=12.56
- 3.14×5=15.7
- 3.14×6=18.84
- 3.14×7=21.98
- 3.14×8=25.12
- 3.14×9=28.26
さらに、3.14×16=50.24、3.14×25=78.5、3.14×36=113.04 なども、よく出る数です。
3.14は「最後にまとめて1回」。3.14の段を覚えると、計算時間が大きく減ります。
応用:組み合わせた図形
入試では、正方形とおうぎ形を組み合わせた図形の面積がよく出ます。
例題4:1辺10cmの正方形の中に、1つの頂点を中心とする半径10cmで中心角90°のおうぎ形をかきました。正方形からおうぎ形を除いた部分の面積を求めましょう。
正方形の面積は100cm²、おうぎ形の面積は10×10×3.14÷4=78.5cm²です。100-78.5=21.5cm²です。
この「正方形-4分の1の円」の形は、21.5cm²という答えごとよく出てきます。また、葉っぱのような形(2つのおうぎ形が重なった部分)は、78.5×2-100=57cm²で求められます。
よくあるまちがいと対策
- 円周を「半径×3.14」で計算する:円周は「直径×3.14」
- おうぎ形のまわりの長さで、半径2本を足し忘れる:図に色をつけて、まわりを1周なぞる
- 面積と長さの単位を混ぜる:長さはcm、面積はcm²
- 3.14を毎回かけて計算ミスをする:3.14は最後にまとめてかける
家庭での教え方のコツ
身のまわりの円をはかる
お皿や缶のまわりにひもを巻いて長さをはかり、直径と比べてみましょう。「まわりの長さは、直径の3倍ちょっと」と、円周率の意味が実感できます。
「円の何分の1か」を口に出す
おうぎ形の問題では、まず「中心角は何度?円の何分の1?」と親子で確認してから式を立てる習慣をつけると、公式を忘れても解けるようになります。
3.14の段をカードにする
3.14の段を、九九のようにカードにして毎日少しずつ練習してみてください。数日で覚えられ、図形問題全体のスピードが上がります。
円とおうぎ形のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の算数では、5年生で円周、6年生で円の面積を学びます。中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろからおうぎ形まで学び、6年生で組み合わせた図形などの応用問題に取り組みます。
円周率は3.14以外を使うこともありますか?
中学受験では、ほとんどの学校が「円周率は3.14とします」と問題に書いています。ただし、学校によっては「3.14を使わずに、○×3.14の形で答える」などの指示があることもあるので、問題文の指示をよく読みましょう。
図形が苦手な子は、何から始めればいいですか?
まずは円とおうぎ形の公式と、3.14の計算に慣れることから始めましょう。基本の面積の求め方は、図形の面積の求め方もあわせて確認してください。
円とおうぎ形の家での進め方
- 半径・直径・円周の意味と、円周の公式
- 円の面積の公式(例題1)
- おうぎ形の弧・まわりの長さ・面積(例題2)
- 中心角を求める問題(例題3)
- 3.14の計算の工夫と、組み合わせた図形(例題4)
練習問題にチャレンジ
問題1:直径8cmの円の円周を求めましょう。
問題2:半径4cm、中心角45°のおうぎ形の面積を求めましょう。
問題3:半径3cm、中心角60°のおうぎ形のまわりの長さを求めましょう。
問題4:半径5cmの円から、半径3cmの円をくりぬいた図形の面積を求めましょう。
答え
問題1:8×3.14=25.12cmです。
問題2:45°は円の8分の1なので、4×4×3.14÷8=6.28cm²です。
問題3:弧は6×3.14÷6=3.14cm、まわりの長さは3.14+3×2=9.14cmです。
問題4:(25-9)×3.14=16×3.14=50.24cm²です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:円とおうぎ形は「円の何分の1か」で考える
円周は直径×3.14、面積は半径×半径×3.14です。おうぎ形は「円の何分の1か」を先に求め、まわりの長さでは半径2本を忘れないようにしましょう。3.14は最後にまとめてかけると、計算が速く正確になります。
図形のほかの単元は、角度の求め方、相似の考え方、立体の体積と表面積で解説しています。算数が苦手になる原因は中学受験の算数が苦手な原因と立て直し方も参考にしてください。