「分数の大きさ比べで、分母が大きいほうが大きいと思ってしまう」「2つの分数のどちらにかけても整数になる分数、という問題の解き方が分からない」
分数の性質は、中学受験の算数で、計算問題から数の性質の応用問題まで、あらゆる場面で使われる土台の単元です。約分・通分、大小の比べ方、分数と小数の変換に加えて、約数・倍数の知識を使う応用問題もよく出ます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、分数の基本の性質と、よく出る応用問題の解き方をまとめました。
大きさの等しい分数

分数は、分母と分子に同じ数をかけても、同じ数でわっても、大きさは変わりません。
例:2分の1=4分の2=6分の3
分母と分子に同じ数をかけても、わっても、分数の大きさは変わりません。
約分
分母と分子を、同じ数でわって簡単にすることを約分といいます。分母と分子の最大公約数でわると、一度で約分できます。
例題1:36分の24を約分しましょう。
24と36の最大公約数は12です。24÷12=2、36÷12=3 なので、3分の2です。
それ以上約分できない分数を、既約分数といいます。答えは、ふつう既約分数で書きます。
通分と大小の比べ方
分母をそろえる(通分)
分母のちがう分数を、分母が同じ分数に直すことを通分といいます。分母の最小公倍数にそろえるのが基本です。
例題2:4分の3と6分の5は、どちらが大きいですか。
4と6の最小公倍数12にそろえると、12分の9と12分の10です。6分の5のほうが大きいです。
分子をそろえる
分子が同じ分数は、分母が小さいほうが大きくなります。
例題3:7分の3と8分の3は、どちらが大きいですか。
分子が同じなので、分母が小さい7分の3のほうが大きいです(1を7つに分けた3つ分のほうが、8つに分けた3つ分より大きい)。
分母が同じなら分子が大きいほうが大きい。分子が同じなら分母が小さいほうが大きい。
数が大きいときは、分母と分子のどちらをそろえたほうが計算が楽かを考えてから比べましょう。
分数と小数
分数は「分子÷分母」で小数に直せます。よく出る分数と小数の関係は、覚えておくと計算が速くなります。
| 分数 | 小数 |
|---|---|
| 2分の1 | 0.5 |
| 4分の1 | 0.25 |
| 4分の3 | 0.75 |
| 5分の1 | 0.2 |
| 8分の1 | 0.125 |
| 8分の3 | 0.375 |
それ以上約分できない分数の個数
例題4:分母が12で、分子が1から11までの分数のうち、それ以上約分できない分数はいくつありますか。
12の約数のうち1以外の数(2、3)でわり切れない分子を探します。1、5、7、11の4つなので、4個です。
12=2×2×3なので、分子が2の倍数でも3の倍数でもないものが、約分できない分数になります。
どちらにかけても整数になる分数
例題5:40分の21と45分の14のどちらにかけても整数になる分数のうち、最も小さいものを求めましょう。
かけて整数になるためには、次の2つが必要です。
- かける分数の分子は、40と45の両方の倍数(分母を消すため)
- かける分数の分母は、21と14の両方の約数(分子で約分するため)
最も小さい分数にするには、分子をできるだけ小さく、分母をできるだけ大きくします。分子は40と45の最小公倍数の360、分母は21と14の最大公約数の7です。答えは7分の360です。
確かめると、40分の21×7分の360=27、45分の14×7分の360=16で、どちらも整数になります。
どちらにかけても整数になる最小の分数は「分母どうしの最小公倍数」を分子に、「分子どうしの最大公約数」を分母にします。
逆数
2つの数をかけて1になるとき、一方をもう一方の逆数といいます。分数の逆数は、分母と分子を入れかえた分数です。例えば、3分の2の逆数は2分の3です。分数のわり算は、わる数の逆数をかけて計算します。
分数を小数に直すと割り切れないもの
分母が2と5だけのかけ算でできている分数(2分の1、4分の1、5分の1、8分の1、20分の1など)は、小数で割り切れます。それ以外の数が分母にある分数は、小数にすると割り切れずに続きます。
例題6:3分の1を小数で表すと、どうなりますか。
1÷3=0.333…となり、3が限りなく続きます。
このような分数の計算では、小数に直さずに、分数のまま計算するほうが正確です。分数と小数がまざった計算でも、分数にそろえるのが基本です。
割り切れない分数は、小数に直さず分数のまま計算します。
よくあるまちがいと対策
- 分母が大きいほうが大きい分数だと考える:分子が同じなら、分母が小さいほうが大きい
- 約分を最後まで終えずに答える:最大公約数でわる、または約分できなくなるまでわる
- 「かけて整数になる分数」で、最小公倍数と最大公約数を逆にする:分子には最小公倍数、分母には最大公約数
- 帯分数のまま、かけ算・わり算をする:仮分数に直してから計算する
家庭での教え方のコツ
ピザやケーキで考える
ピザやケーキを2等分、4等分、8等分して、「2分の1と4分の2は同じ量」であることを確かめてみましょう。分数の大きさが実感できます。
数直線をかく
いくつかの分数を、1本の数直線の上に並べる練習をしてください。大小の比べ方や、等しい分数が目で見て分かります。
約数・倍数とつなげる
約分には最大公約数、通分には最小公倍数を使います。分数の学習を、約数・倍数の学習と行き来しながら進めると、両方の理解が深まります。
分数の性質のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の算数では、3年生で分数の意味、4年生で大きさの等しい分数、5年生で約分・通分を学びます。中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろに数の性質とあわせて学びます。
約数・倍数の単元を先に学ぶべきですか?
はい、約分と通分には、最大公約数と最小公倍数を使います。約数と倍数を先に確認しておくと、スムーズに理解できます。
分数の計算が遅いのですが。
途中で約分してから計算すると、数が小さくなって速く正確になります。計算の工夫もあわせて練習しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:48分の18を約分しましょう。
問題2:3分の2、5分の3、7分の4のうち、最も小さい分数はどれですか。
問題3:0.375を分数で表しましょう。
問題4:分母が24で、分子が1から23までの分数のうち、それ以上約分できない分数はいくつありますか。
答え
問題1:最大公約数6でわって、8分の3です。
問題2:105に通分すると、105分の70、105分の63、105分の60なので、7分の4です。
問題3:8分の3です。
問題4:2の倍数でも3の倍数でもない分子は、1、5、7、11、13、17、19、23の8個です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:分数は「約数・倍数」とセットで考える
分数は、分母と分子に同じ数をかけても、わっても大きさは変わりません。約分には最大公約数、通分には最小公倍数を使い、大小は分母か分子をそろえて比べます。かけて整数になる分数の問題も、約数・倍数の考え方で解けます。