「国内の荷物を運ぶのに、いちばん使われているのは何か分からない」「瀬戸大橋と明石海峡大橋が、どこを結んでいるのか混ざってしまう」
運輸と交通は、中学受験の社会の地理で、工業・貿易・観光などとつながる単元として出題されます。輸送手段ごとの特ちょう、交通網の発達、橋やトンネル、運輸をめぐる課題などが問われます。グラフや地図の読み取り問題もよく出ます。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、輸送手段の特ちょう、交通網の発達、運輸の課題を整理し、家での覚え方をまとめました。
なお、輸送量の割合は年によって変わることがあります。最新の数字は、お子さんが使っている教材や資料集で確認してください。
輸送手段の特ちょう

| 輸送手段 | よいところ | 課題 |
|---|---|---|
| 自動車(トラック) | 戸口から戸口まで運べる。時間や場所を選ばない | 渋滞、排出ガス、運転手の不足 |
| 鉄道 | 大量に、時間通りに運べる。二酸化炭素の排出が少ない | 駅から目的地まで、別の手段が必要 |
| 船 | 重い物を大量に、安く運べる | 時間がかかる |
| 航空機 | 遠くまで速く運べる | 運賃が高い、重い物は運べない |
国内の荷物は自動車、重い物を大量に運ぶなら船、速さなら航空機、大量で時間通りなら鉄道。
国内の貨物輸送では、トラックなどの自動車が大きな役割をはたしています。旅客輸送では、自動車のほか、大都市圏を中心に鉄道も多く使われています。
交通網の発達
高速道路と新幹線
1960年代から、高速道路や新幹線などの高速交通網が整備されてきました。
- 1964年:東海道新幹線が開業(東京オリンピックの年)
- その後、山陽・東北・上越・九州・北陸・北海道などの新幹線が開業
- 高速道路は、全国の主な都市を結ぶように広がった
本州と四国・北海道を結ぶ橋とトンネル
| ルート・施設 | 結んでいる地域 |
|---|---|
| 明石海峡大橋(神戸・鳴門ルート) | 兵庫県と淡路島(さらに大鳴門橋で徳島県へ) |
| 瀬戸大橋(児島・坂出ルート) | 岡山県と香川県。鉄道も通る |
| しまなみ海道(尾道・今治ルート) | 広島県と愛媛県。自転車で通ることもできる |
| 青函トンネル | 青森県と北海道。海底を通る鉄道トンネル |
| 関門トンネル・関門橋 | 山口県と福岡県(本州と九州) |
本州と四国を結ぶ3つのルートは、東から「明石海峡大橋(兵庫・徳島)」「瀬戸大橋(岡山・香川)」「しまなみ海道(広島・愛媛)」。
交通の発達と産業
インターチェンジ付近の工場
高速道路のインターチェンジの近くには、工場や物流センターが多く建てられています。原料や製品をトラックで速く運べるからです。関東内陸工業地域のように、高速道路にそって工業地域が発達した例もあります。
例題1:高速道路のインターチェンジの近くに、工場が多く建てられるようになった理由を説明しましょう。
高速道路を使って、原料や製品をトラックで速く、遠くまで運べるからです。
空港の近くの工場
軽くて値段の高い電子部品などをつくる工場は、空港の近くにも多く見られます。航空機で、すばやく遠くに運べるからです。
運輸の課題
- 交通渋滞と、自動車の排出ガスによる大気汚染や地球温暖化
- トラックの運転手の不足や高齢化
- 地方では、利用者が減って鉄道やバスの路線が廃止される地域もある
モーダルシフト
トラックによる輸送の一部を、二酸化炭素の排出が少ない鉄道や船に切りかえることを、モーダルシフトといいます。環境への負担を減らし、運転手の不足にも対応する取り組みとして進められています。
モーダルシフトは「トラックから鉄道や船へ」。環境と人手不足の両方に役立ちます。
交通の発達と地域の変化
交通の発達は、地域のようすも変えてきました。
- 新幹線や高速道路の開通で、日帰りできる範囲が広がり、観光客がふえた地域がある
- 一方で、大都市へ買い物や仕事に出かけやすくなり、地方の商店街の客が減った地域もある
- 本州と四国を結ぶ橋ができて、船の便(フェリー)が減った航路もある
例題2:瀬戸大橋などの本州四国連絡橋ができたことで、本州と四国の間の移動はどのように変わりましたか。
天候に左右されにくく、自動車や鉄道で短い時間で行き来できるようになりました。
交通の発達には、便利になる面と、地域に変化をもたらす面の両方があります。
よくあるまちがいと対策
- 国内の貨物輸送で、鉄道が最も多いと答える:国内の荷物はトラックなどの自動車が中心
- 瀬戸大橋としまなみ海道を混ぜる:「瀬戸大橋は岡山・香川、しまなみは広島・愛媛」
- 航空機で重い物を運ぶと考える:航空機は軽くて高価な物向き
- モーダルシフトの向きを逆にする:トラックから鉄道・船へ
家庭での覚え方のコツ
宅配便の流れを考える
通信販売で買った物が、どのように家まで届くのかを親子で考えてみましょう。倉庫からトラック、ときには船や飛行機と、いろいろな輸送手段が使われていることが分かります。
地図で交通網をたどる
地図帳で、新幹線や高速道路、本州と四国を結ぶ橋をたどってみてください。旅行や帰省のルートを地図で確かめると、記憶に残りやすくなります。
港や空港の役割を考える
近くの港や空港で、どんな物が運ばれているかを調べてみましょう。貿易の学習とつながります。
運輸と交通のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の社会では、5年生で工業生産をささえる運輸や貿易について学びます。中学受験向けの教材では、5年生ごろに地理の単元として学ぶことが多い内容です。
貿易の単元とどうつながりますか?
輸出入品の運び方(船か航空機か)は、貿易の問題でよく出ます。日本の貿易で、港と空港で運ばれる品物のちがいを確認しましょう。
工業地帯の場所とも関係がありますか?
はい、工業地帯が海ぞいに多いのは船で原料や製品を運びやすいから、内陸の工業地域は高速道路の発達によって広がった、という関係があります。日本の工業とあわせて整理しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:重い物を大量に、安く運ぶのに向いている輸送手段は何ですか。
問題2:岡山県と香川県を結び、鉄道も通る橋を何といいますか。
問題3:1964年に開業した新幹線は何ですか。
問題4:トラックによる輸送の一部を、鉄道や船に切りかえることを何といいますか。
答え
問題1:船です。
問題2:瀬戸大橋です。
問題3:東海道新幹線です。
問題4:モーダルシフトです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:運輸は「手段の特ちょう」と「交通網」
輸送手段には、自動車・鉄道・船・航空機があり、それぞれ運ぶ物や目的に合わせて使い分けられています。高速道路や新幹線、本州と四国・北海道を結ぶ橋やトンネルなどの交通網の発達は、産業の発展にもつながってきました。環境や人手不足などの課題と、モーダルシフトの取り組みもあわせて覚えましょう。