「1は素数だと思っていた」「約数の個数を、全部書き出さずに求める方法が分からない」
素数と素因数分解は、中学受験の算数で、数の性質の問題の土台になる単元です。素数を見分ける問題のほか、約数の個数、最大公約数と最小公倍数、平方数、末尾の0の個数など、素因数分解を使うと短い時間で解ける問題が多くあります。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、素数と素因数分解の基本と、よく出る問題の解き方をまとめました。
素数とは
1とその数自身のほかに約数がない、1より大きい整数を素数といいます。
- 1は素数ではない(約数が1つしかない)
- 2は、偶数の中でただ1つの素数
- 1から50までの素数は、2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43・47の15個
1は素数ではありません。偶数の素数は2だけです。
素数の見つけ方(エラトステネスのふるい)

素数は、次の手順で見つけられます。
- 1を消す
- 2を残して、2の倍数をすべて消す
- 3を残して、3の倍数をすべて消す
- 5、7…と、残った数の倍数を順に消していく
50までなら、7の倍数まで消せば、残った数がすべて素数です。7×7=49なので、それより大きい素数の倍数は、すでに消えています。
例題1:51は素数ですか。
51=3×17なので、素数ではありません。各位の数の和が5+1=6で3の倍数なので、51は3でわり切れます。
素数かどうかは、小さい素数(2・3・5・7…)でわり切れるかを順に確かめます。
素因数分解
整数を素数だけのかけ算で表すことを、素因数分解といいます。すだれ算のように、小さい素数から順にわっていきます。
例題2:60を素因数分解しましょう。
60÷2=30、30÷2=15、15÷3=5で、最後の5は素数です。60=2×2×3×5です。
素因数分解は「小さい素数から順にわる」。最後に素数が残ったら終わりです。
約数の個数
例題3:60の約数は何個ありますか。
60=2×2×3×5です。約数は、2を0個・1個・2個(3通り)、3を0個・1個(2通り)、5を0個・1個(2通り)使って作れるので、3×2×2=12個です。
実際に書き出すと、1・2・3・4・5・6・10・12・15・20・30・60の12個です。
約数の個数は、「同じ素数の個数+1」をかけ合わせて求めます。
最大公約数と最小公倍数
例題4:36と60の最大公約数と最小公倍数を求めましょう。
36=2×2×3×3、60=2×2×3×5です。
- 最大公約数:共通する素数をかけて、2×2×3=12
- 最小公倍数:共通する部分に、残りの素数をかけて、2×2×3×3×5=180
平方数にする問題
同じ整数を2回かけた数(1・4・9・16…)を平方数といいます。平方数を素因数分解すると、どの素数も偶数個ずつ出てきます。
例題5:72にできるだけ小さい整数をかけて、ある整数を2回かけた数にします。何をかければよいですか。
72=2×2×2×3×3です。2が3個なので、2をもう1個かけると偶数個になります。答えは2で、72×2=144=12×12です。
末尾に0がいくつ並ぶか
例題6:1×2×3×…×20を計算すると、一の位から0がいくつ続きますか。
0は「2×5=10」で1つできます。2は5よりたくさんあるので、5の個数を数えます。1から20までで5の倍数は5・10・15・20の4個なので、0は4個続きます。
25の倍数があるときは、5が2個ふくまれるので、もう1つ多く数えます。
末尾の0の数は「5がいくつあるか」で決まります。25の倍数は5を2個ふくみます。
素数の和の問題
素数の中で、偶数は2だけです。このことを使う問題がよく出ます。
例題7:2つの素数をたすと25になりました。2つの素数を答えましょう。
25は奇数です。奇数と奇数をたすと偶数になるので、2つとも奇数の素数では25になりません。どちらかは偶数の素数、つまり2です。もう1つは25-2=23で、23は素数です。答えは2と23です。
2つの素数の和が奇数なら、片方は必ず2です。
約数の和
素因数分解を使うと、約数の和も求められます。
例題8:12の約数をすべてたすと、いくつになりますか。
12の約数は1・2・3・4・6・12で、和は28です。素因数分解の12=2×2×3を使うと、(1+2+4)×(1+3)=7×4=28と、かけ算1回で求められます。
2のグループ(1・2・4)と3のグループ(1・3)から1つずつ選んでかけると、12の約数がすべて1回ずつ出てくるからです。
よくあるまちがいと対策
- 1を素数にふくめる:素数は1より大きい整数
- 2を素数から外す:2は偶数でただ1つの素数
- 素因数分解のとちゅうで、素数でない数で終わる:最後の数が素数か確かめる
- 約数の個数で「+1」を忘れる:その素数を0個使う場合も数える
家庭での教え方のコツ
百マス表でふるいを体験する
1から100までの表を用意し、色えんぴつで倍数を消していきましょう。残った数が素数だと分かると、素数の意味が実感できます。100までの素数は25個です。
車のナンバーで素因数分解
街で見かけた数字を素因数分解するゲームをしてみてください。くり返すうちに、わり算の速さも上がります。
約数は書き出して確かめる
約数の個数を式で求めたら、実際に書き出して確かめましょう。式の意味が分かると、大きな数でも自信をもって使えます。
素数と素因数分解のよくある質問
何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、約数・倍数を学んだあとの5年生ごろに学ぶことが多い単元です。約数と倍数を先に確認しておきましょう。
素数はいくつまで覚えればいいですか?
50までの15個を言えるようにしておくと、多くの問題に対応できます。100までの25個まで覚えておくと、さらに安心です。
分数の問題でも使いますか?
はい、約分や通分で最大公約数・最小公倍数を使うときに役立ちます。分数の性質もあわせて練習しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:30から40までの整数のうち、素数をすべて答えましょう。
問題2:84を素因数分解しましょう。
問題3:84の約数は何個ありますか。
問題4:1×2×3×…×25を計算すると、一の位から0がいくつ続きますか。
答え
問題1:31と37です。
問題2:84=2×2×3×7です。
問題3:(2+1)×(1+1)×(1+1)=12個です。
問題4:5の倍数が5個、25の倍数が1個なので、5+1=6個です。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:素因数分解は数の性質の「設計図」
素数は1とその数自身しか約数がない数で、1はふくまれません。整数を素因数分解すると、約数の個数、最大公約数と最小公倍数、平方数、末尾の0の個数などが、書き出さずに求められます。小さい素数から順にわる手順を、くり返し練習しましょう。