「定価の2割引きと、原価の2割増しが、頭の中でごちゃごちゃになる」「原価を求める問題になると、何を1にすればいいか分からない」
損益算は、中学受験の算数の文章題で、割合の応用としてよく出題される単元です。お店で品物を仕入れて売るときの、原価・定価・売り値・利益の関係を考えます。
損益算で使うのは、割合の考え方だけです。「何をもとにした割合か」を正しく読み取れれば、どの問題も同じ手順で解けます。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、損益算の言葉の意味、基本の計算、原価を1とおく解き方、売れ残りの問題を整理し、家での教え方をまとめました。
損益算の4つの言葉
- 原価(仕入れ値):お店が品物を仕入れたときの値段
- 定価:お店が最初につけた値段
- 売り値:実際に売った値段(定価から値引きすることもある)
- 利益:売り値-原価(もうけ)。売り値が原価より安いときは損失
利益は「売り値-原価」。定価ではなく、実際に売った値段で考えます。
「○割増し」「○割引き」の計算

割合を表す「割」は、1割=0.1です。
- 原価の2割増し=原価×(1+0.2)=原価×1.2
- 定価の1割引き=定価×(1-0.1)=定価×0.9
例題1:原価1000円の品物に、2割の利益を見こんで定価をつけました。その後、定価の1割引きで売りました。利益は何円ですか。
定価は、1000×1.2=1200円です。売り値は、1200×0.9=1080円です。利益は、1080-1000=80円です。
ここで注意したいのは、「2割増しして1割引いたから、1割のもうけ」にはならないことです。2割は原価をもとに、1割は定価をもとにした割合なので、もとにする量がちがいます。
「○割」の前に書いてある「原価の」「定価の」に線を引き、もとにする量を確かめます。
原価を1とおいて解く
原価が分からない問題では、原価を「1」とおいて、定価や売り値を割合で表します。
例題2:ある品物に、原価の5割の利益を見こんで定価をつけましたが、売れなかったので定価の2割引きで売りました。利益は300円でした。原価は何円ですか。
原価を1とすると、定価は1×1.5=1.5です。売り値は1.5×0.8=1.2です。利益は1.2-1=0.2です。
この0.2が300円にあたるので、原価は300÷0.2=1500円です。
確かめると、定価は2250円、売り値は1800円、利益は1800-1500=300円で、合っています。
値引きの割合を求める
例題3:原価1200円の品物に、定価1500円をつけました。損をしないためには、定価の何割引きまでなら値引きできますか。
売り値が原価の1200円と同じなら、損も得もありません。1200÷1500=0.8なので、定価の8割の値段です。つまり、2割引きまでなら損をしません。
個数がある問題(売れ残り)
いくつも仕入れて、一部を値引きして売る問題もよく出ます。全体の売上げと、全体の原価を比べます。
例題4:1個80円の品物を200個仕入れ、3割の利益を見こんで定価をつけました。150個は定価で売れましたが、残りは定価の半額で売りました。全体の利益は何円ですか。
定価は、80×1.3=104円です。定価で売れた分は、104×150=15600円です。半額は52円で、残り50個は52×50=2600円です。売上げは15600+2600=18200円です。
仕入れの合計は、80×200=16000円です。利益は、18200-16000=2200円です。
個数のある問題は「売上げの合計-仕入れの合計」で、全体の利益を求めます。
よくあるまちがいと対策
- 「2割増しして1割引き」を「1割のもうけ」と考える:もとにする量が原価と定価でちがう
- 利益を「定価-原価」で計算する:実際に値引きして売ったなら「売り値-原価」
- 原価を1とおいたあと、0.2のような割合と金額を対応させられない:「0.2が300円にあたる」と言葉で書く
- 売れ残りの問題で、仕入れの合計を売れた個数だけで計算する:仕入れは全部の個数で計算する
家庭での教え方のコツ
お店ごっこで言葉を覚える
おもちゃやお菓子を使って、「仕入れ値100円、定価130円、セールで1割引き」のように、親子でお店ごっこをしてみましょう。原価・定価・売り値の言葉が、自然に区別できるようになります。
チラシの値引きを計算する
スーパーのチラシの「2割引き」「半額」の表示を見て、値引き後の値段を計算してみてください。実際の数字で練習すると、割合の計算に慣れます。
線分図をかく習慣をつける
損益算は、原価・定価・売り値を線分図に並べてかくと、関係が一目で分かります。式だけで解かずに、線分図をかいてから式を立てる習慣をつけましょう。
損益算のよくある質問
何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、5年生ごろに割合の応用として学ぶことが多い単元です。小学校の算数では、5年生で割合、6年生で比を学びます。
割合が苦手でも解けますか?
損益算は割合の考え方がそのまま使われるので、割合があやふやなままだと苦労します。先に割合の基本と考え方で、「もとにする量・比べる量・割合」の関係を確認しておきましょう。
比を使って解くこともできますか?
はい、原価:定価:売り値を比で表して解く方法もあります。比の基本と使い方に慣れてくると、より速く解ける問題もあります。
損益算の家での進め方
- 原価・定価・売り値・利益の意味
- 「○割増し」「○割引き」の計算(例題1)
- 原価を1とおいて解く(例題2)
- 値引きの割合を求める(例題3)
- 個数がある問題(例題4)
練習問題にチャレンジ
問題1:原価2000円の品物に、3割の利益を見こんで定価をつけました。定価は何円ですか。
問題2:定価3000円の品物を、2割引きで売りました。売り値は何円ですか。
問題3:原価の4割の利益を見こんで定価をつけ、定価の1割引きで売ったところ、利益は260円でした。原価は何円ですか。
問題4:原価1200円、定価1500円の品物を、何割引きで売ると、利益も損失もなくなりますか。
答え
問題1:2000×1.3=2600円です。
問題2:3000×0.8=2400円です。
問題3:原価を1とすると、定価1.4、売り値1.4×0.9=1.26、利益0.26です。260÷0.26=1000円です。
問題4:1200÷1500=0.8なので、2割引きです。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:損益算は「もとにする量」を見ぬく
損益算は、原価・定価・売り値の関係を、割合で表して考える単元です。「原価の○割」「定価の○割」のように、もとにする量を必ず確認し、原価が分からないときは1とおいて解きましょう。個数がある問題は、売上げの合計と仕入れの合計を比べます。
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