「先生が『申された』は、なぜまちがいなの?」「尊敬語と謙譲語の区別が、いつもあやふやになる」
敬語は、中学受験の国語で、知識問題としてよく出題される分野です。文中の敬語の種類を答える問題、まちがった敬語を正しく直す問題、ふつうの言葉を敬語に直す問題などが出ます。ルールを知っていれば短時間で得点できる、ねらい目の分野です。
この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、敬語の3つの種類、見分け方、特別な言い方、まちがえやすい使い方を整理し、家での練習方法をまとめました。
敬語の3つの種類

| 種類 | はたらき | 例 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手や話題の人の動作を高めて、敬意を表す | 先生がおっしゃる、お客様がいらっしゃる |
| 謙譲語 | 自分や身内の動作をへりくだって、相手への敬意を表す | わたしが申し上げる、先生のお宅にうかがう |
| 丁寧語 | 聞き手に対して、ていねいに言う | です、ます、ございます |
動作をするのが「相手(目上の人)」なら尊敬語、「自分や身内」なら謙譲語。
尊敬語と謙譲語を見分けるときは、「だれの動作か」を考えるのがいちばんのコツです。言葉の形だけで判断しようとすると、まちがえやすくなります。
なお、中学校以降では、敬語を5つ(尊敬語・謙譲語・丁重語・丁寧語・美化語)に分ける考え方も学びますが、中学受験では3つの分け方で出題されることが多いです。
「お〜になる」と「お〜する」
多くの動詞は、次の形で敬語にできます。
- 尊敬語:お(ご)〜になる、〜れる・〜られる
– 例:先生がお書きになる、先生が書かれる
- 謙譲語:お(ご)〜する、お(ご)〜いたす
– 例:わたしがお持ちする、わたしがご案内いたします
「お〜になる」は尊敬語、「お〜する」は謙譲語。似ているので、最後の言葉まで見て区別します。
特別な言い方の一覧
よく使う動詞には、特別な尊敬語・謙譲語があります。入試で最もよく出るので、表で覚えましょう。
| ふつうの言い方 | 尊敬語 | 謙譲語 |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す、申し上げる |
| 行く | いらっしゃる、おいでになる | うかがう、参る |
| 来る | いらっしゃる、お見えになる | 参る |
| いる | いらっしゃる | おる |
| する | なさる | いたす |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 食べる・飲む | めしあがる | いただく |
| 聞く | お聞きになる | うかがう、拝聴する |
| 知っている | ご存じだ | 存じている、存じ上げている |
| 会う | お会いになる | お目にかかる |
| もらう | お受け取りになる | いただく |
| くれる | くださる | (なし) |
| あげる | (なし) | さしあげる |
「いらっしゃる」は行く・来る・いるの尊敬語。「うかがう」は行く・聞くの謙譲語。1つの言葉が複数の意味をもちます。
まちがえやすい使い方
尊敬語と謙譲語の取りちがえ
- ×先生が申された:「申す」は謙譲語なので、先生の動作には使わない。〇先生がおっしゃった
- ×お客様が参られる:「参る」は謙譲語。〇お客様がいらっしゃる
- ×先生、拝見してください:「拝見」は謙譲語。〇先生、ご覧ください
- ×冷めないうちにいただいてください:「いただく」は謙譲語。〇めしあがってください
身内には尊敬語を使わない
家の外の人と話すときは、自分の家族(身内)の動作には尊敬語を使わず、謙譲語を使います。
- ×(先生に)母がおっしゃっていました
- 〇(先生に)母が申しておりました
会社などでも、外の人に対して自分の会社の人の動作を話すときは、同じように謙譲語を使います。
二重敬語
1つの言葉に、同じ種類の敬語を重ねるのは、まちがいとされます。
- ×おっしゃられる(おっしゃる+れる)。〇おっしゃる
- ×ご覧になられる(ご覧になる+れる)。〇ご覧になる
例題1:「校長先生が、明日の予定を言った。」を、適切な敬語を使った文に直しましょう。
言ったのは校長先生なので、尊敬語を使います。「校長先生が、明日の予定をおっしゃった。」です。
例題2:「わたしは、先生の作品を見た。」を、適切な敬語を使った文に直しましょう。
見たのは自分なので、謙譲語を使います。「わたしは、先生の作品を拝見した。」です。
よくあるまちがいと対策
- 形だけで尊敬語か謙譲語かを判断する:まず「だれの動作か」を考える
- 身内の動作に尊敬語を使う:外の人と話すときは、身内は謙譲語
- 「おっしゃられる」のように重ねる:特別な言い方には「れる・られる」をつけない
- 「いただく」を相手の動作に使う:相手には「めしあがる」
家庭での練習のコツ
家の会話で使ってみる
電話の受け答えや、来客のときのあいさつなど、実際に敬語を使う場面を家庭でつくってみましょう。「お母さんはいま出かけております」のような言い方を、ロールプレイで練習すると身につきます。
表をくり返し声に出す
特別な言い方の表を、「言う、おっしゃる、申し上げる」のように、3つをセットで声に出して覚えましょう。毎日少しずつくり返すと、すぐに出てくるようになります。
まちがい探しクイズ
テレビや本に出てくる敬語を聞いて、「これは尊敬語?謙譲語?」と親子でクイズを出し合ってみてください。まちがった敬語を探すのも、よい練習になります。
敬語のよくある質問
何年生で学びますか?
小学校の国語では、5〜6年生で敬語の種類と使い方を学びます。中学受験向けの教材では、5〜6年生ごろに、言葉の知識の単元として学ぶことが多い内容です。
敬語は入試でどのくらい出ますか?
敬語が出るかどうかは学校によって大きくちがいます。毎年のように出す学校もあるので、志望校の過去問で、出題の形を確認しておきましょう。
ほかの言葉の知識とどう勉強すればいいですか?
文法やことわざ・慣用句と同じく、短い時間で毎日くり返すのが効果的です。国語の文法やことわざ・慣用句もあわせて練習しましょう。
練習問題にチャレンジ
問題1:「先生がご覧になる」の「ご覧になる」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれですか。
問題2:「わたしが先生のお宅にうかがう」の「うかがう」は、ふつうの言い方で何と言いますか。
問題3:「お客様が料理をいただく」を、正しい敬語に直しましょう。
問題4:先生に向かって「父がいらっしゃいます」と言うのは、なぜまちがいですか。
答え
問題1:尊敬語です。
問題2:「行く」です。
問題3:「お客様が料理をめしあがる」です。
問題4:外の人(先生)と話すときは、身内である父の動作に尊敬語を使わないからです。「父がおります」などと言います。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:敬語は「だれの動作か」で決まる
敬語は、相手の動作を高める尊敬語、自分や身内の動作をへりくだる謙譲語、ていねいに言う丁寧語の3つです。見分けるときは「だれの動作か」を考え、特別な言い方は表でセットにして覚えましょう。身内の動作や二重敬語など、まちがえやすいポイントも確認しておくと安心です。
国語のほかの単元は、国語の文法、漢字の覚え方、ことわざ・慣用句で解説しています。読解が苦手な場合は中学受験の国語の読解が苦手な原因と対策も参考にしてください。