「あめを配る問題で、余りと不足をたすのか、ひくのか分からなくなる」「長いすの問題になると、手も足も出ない」
過不足算は、ものを配ったり、人を座らせたりするときに、配り方によって「余る」「足りない」が出る場面から、人数やものの数を求める問題です。中学受験の算数では、特殊算の基本としてよく出題されます。
過不足算のポイントは、「全体の差」と「1人分の差」の2つを見つけることです。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、過不足算の考え方と、余り・不足の3つのパターン、長いすの問題、家での教え方をまとめました。
過不足算とは?「全体の差÷1人分の差」
例題1:子どもたちにあめを配ります。1人に5個ずつ配ると8個余り、1人に7個ずつ配ると4個足りません。子どもの人数と、あめの数を求めましょう。

図のように、2つの配り方を線分図で並べてみます。
- 5個ずつ配ると、あめの数より8個少なくてすむ
- 7個ずつ配ると、あめの数より4個多く必要になる
2つの配り方で、必要なあめの数の差は、8+4=12個です。これが「全体の差」です。
一方、1人あたりでは、7-5=2個の差があります。これが「1人分の差」です。
1人につき2個ずつ差がついて、全体で12個の差になったので、子どもの人数は12÷2=6人です。あめの数は、5×6+8=38個です。
確かめると、7個ずつ配るには7×6=42個必要で、38個では4個足りません。問題と合います。
過不足算は「全体の差÷1人分の差=人数」。全体の差の出し方がポイントです。
3つのパターンと「全体の差」
過不足算は、2つの配り方の結果が「余り」か「不足」かで、全体の差の出し方が変わります。
| 2つの配り方の結果 | 全体の差 |
|---|---|
| 余りと不足 | 余り+不足 |
| 余りと余り | 大きい余り-小さい余り |
| 不足と不足 | 大きい不足-小さい不足 |
これも、表を覚えるより、線分図をかいて確かめるほうが確実です。
余りと余り
例題2:画用紙を、1人に4枚ずつ配ると20枚余り、6枚ずつ配ると2枚余ります。人数と画用紙の枚数を求めましょう。
どちらも余るので、全体の差は20-2=18枚です。1人分の差は6-4=2枚なので、人数は18÷2=9人です。画用紙は4×9+20=56枚です。
確かめると、6×9+2=56枚で、問題と合います。
不足と不足
例題3:おかしを、1人に8個ずつ配ると10個足りず、6個ずつ配ると2個足りません。人数とおかしの数を求めましょう。
どちらも足りないので、全体の差は10-2=8個です。1人分の差は8-6=2個なので、人数は8÷2=4人です。おかしは6×4-2=22個です。
確かめると、8×4-10=22個で、問題と合います。
応用:長いすの問題
過不足算でいちばんつまずきやすいのが、長いすの問題です。
例題4:何人かの子どもが長いすに座ります。1脚に4人ずつ座ると6人が座れません。1脚に5人ずつ座ると、最後の1脚には2人だけが座り、長いすが1脚余ります。長いすの数と子どもの人数を求めましょう。
5人ずつ座る場合を、「全部の長いすに5人ずつ座ったら、何人足りないか」に言いかえます。
- 最後の1脚には2人だけなので、あと3人座れる
- 余った1脚には、5人座れる
- 全部に5人ずつ座るには、3+5=8人足りない
これで、「4人ずつだと6人余る(座れない)」「5人ずつだと8人足りない」という、余りと不足のパターンになりました。
- 全体の差:6+8=14人
- 1脚分の差:5-4=1人
- 長いすの数:14÷1=14脚
- 子どもの人数:4×14+6=62人
確かめると、5人ずつ座ると、12脚に60人、13脚目に2人で、14脚目が余ります。問題と合います。
長いすの問題は「全部のいすに座ったら何人足りないか」に言いかえます。
「ちょうど」がある問題と差集め算
例題5:えんぴつを、1人に6本ずつ配ると12本余り、9本ずつ配るとちょうど配り切れます。人数とえんぴつの本数を求めましょう。
「ちょうど」は、余りも不足も0と考えます。全体の差は12-0=12本、1人分の差は9-6=3本なので、人数は12÷3=4人です。えんぴつは9×4=36本です。
例題6:1冊120円のノートを何冊か買う予定でしたが、同じ冊数だけ1冊80円のノートを買ったので、予定より320円安くなりました。何冊買いましたか。
1冊あたりの差は120-80=40円、全体の差は320円です。320÷40=8冊です。
例題6のように、配る問題でなくても、「1つあたりの差」が集まって「全体の差」になる問題は、同じ考え方で解けます。これを「差集め算」と呼ぶこともあります。
よくあるまちがいと対策
- 余りと不足を、ひいてしまう:線分図で、2つの配り方の「必要な数」の位置を確かめる
- 人数を出したあと、ものの数を求め忘れる:問題が何を聞いているかに線を引く
- 長いすの問題で、余ったいすの分を数え忘れる:いすを四角でかき、空いている席に印をつける
- 「ちょうど配れる」を見落とす:「ちょうど」は余りも不足も0として考える
家庭での教え方のコツ
実際に配ってみる
おはじきや豆など、数えやすいものを使って、実際に配ってみるのがおすすめです。6人分の皿を並べ、38個のおはじきを5個ずつ、7個ずつ配ると、余りと不足が目に見えます。1人に配る数を1つ増やすたびに、全体で人数分だけ必要な数が増えることが実感できます。
線分図を2本並べる
過不足算の線分図は、2つの配り方を上下に並べ、「ものの数」の位置に縦線を引くと分かりやすくなります。縦線から左右にどれだけはみ出すか、足りないかを見れば、全体の差がすぐに分かります。
差集め算とセットで練習する
過不足算は、1人分の差を集めて全体の差になる、という考え方で解く「差集め算」の仲間です。同じ考え方の問題をまとめて練習すると、似た問題を見たときに解き方を思い出しやすくなります。
過不足算のよくある質問
過不足算と差集め算は、同じものですか?
どちらも「1つあたりの差が集まって全体の差になる」という考え方で解く問題です。教材によっては、過不足算を差集め算の一種として扱っています。名前にこだわるより、「全体の差÷1つ分の差」という考え方が使える問題だと見ぬけることが大切です。
面積図で解く方法もありますか?
はい、過不足算は面積図でも解けます。たての長さを1人分の数、横の長さを人数として、2つの配り方の長方形を重ねると、はみ出た部分の面積が全体の差になります。つるかめ算で面積図に慣れている子には、面積図のほうが分かりやすいこともあります。
過不足算は何年生で学びますか?
中学受験向けの教材では、4〜5年生ごろに学ぶことが多い単元です。かけ算・わり算ができれば取り組めるので、特殊算の早い時期に学ぶことが多い単元です。
過不足算の家での進め方
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- おはじきで実際に配り、余りと不足を確かめる
- 余りと不足のパターン(例題1)
- 余りと余り、不足と不足のパターン(例題2・3)
- 長いすの問題(例題4)
1日2〜3問、パターンをまぜて出すと、全体の差の出し方を見分ける力がつきます。
練習問題にチャレンジ
問題1:みかんを、1人に6個ずつ配ると10個余り、8個ずつ配ると6個足りません。人数とみかんの数を求めましょう。
問題2:カードを、1人に3枚ずつ配ると14枚余り、5枚ずつ配ると2枚余ります。人数とカードの枚数を求めましょう。
問題3:長いすに3人ずつ座ると5人が座れません。4人ずつ座ると、ちょうど2脚が余ります(ほかの長いすには4人ずつ座っています)。長いすの数と人数を求めましょう。
答え
問題1:全体の差は10+6=16個、1人分の差は2個なので、16÷2=8人です。みかんは6×8+10=58個です。
問題2:全体の差は14-2=12枚、1人分の差は2枚なので、12÷2=6人です。カードは3×6+14=32枚です。
問題3:4人ずつ座ると、余った2脚の分で4×2=8人足りません。全体の差は5+8=13人、1脚分の差は1人なので、長いすは13脚です。人数は3×13+5=44人です。
練習プリント(無料)
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中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「算数・特殊算パック①」に入っています。
まとめ:過不足算は「全体の差」を正しく出す
過不足算は、「全体の差÷1人分の差」で人数を求める単元です。余りと不足ならたし、余りどうし・不足どうしならひく。長いすの問題は、「全部のいすに座ったら何人足りないか」に言いかえれば、同じ考え方で解けます。
面積図を使う考え方はつるかめ算の面積図での解き方、ほかの特殊算は植木算の4つのパターンと解き方でも解説しています。算数のつまずき全体については中学受験の算数についていけない原因と立て直し方も参考にしてください。