「食塩水の問題を見ると、何グラムが何なのか、頭の中がぐちゃぐちゃになる」「てんびん図って、どうして左右の長さが逆の比になるの?」
食塩水の濃度は、中学受験の算数で割合の応用としてよく出る単元です。「食塩」「水」「食塩水」と、似た言葉がいくつも出てくるうえに、混ぜたり、水を加えたり、蒸発させたりと、場面がどんどん変わります。そのため、苦手意識を持つ子がとても多い単元です。
でも、食塩水の問題は、実はたった1つの式と、「変わらないもの」に注目する考え方で、ほとんどが解けます。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、食塩水の基本、場面ごとの解き方、混ぜる問題のてんびん図、家での教え方をまとめました。割合の基本を学んだあとに読むと、理解しやすくなります。
食塩水の濃度とは?基本の式
食塩水の問題には、次の3つの量が出てきます。
- 食塩の重さ
- 水の重さ
- 食塩水の重さ(=食塩+水)
濃度は、「食塩水全体の重さのうち、食塩が何%ふくまれているか」を表したものです。
- 濃度(%)=食塩の重さ÷食塩水の重さ×100
- 食塩の重さ=食塩水の重さ×濃度
- 食塩水の重さ=食塩の重さ÷濃度
これは、割合の3つの式と同じ形です。もとにする量が「食塩水」、比べる量が「食塩」、割合が「濃度」にあたります。
濃度は「食塩÷食塩水」。「食塩÷水」ではないことに、いちばん注意します。
いちばん多いまちがい
例題1:水200gに食塩50gをとかしました。この食塩水の濃度は何%ですか。
食塩水の重さは、200+50=250gです。濃度は、50÷250=0.2なので、20%です。
ここで「50÷200=0.25で25%」と答えてしまうのが、もっとも多いまちがいです。濃度のもとにする量は「水」ではなく「食塩水(水+食塩)」です。問題を読んだら、まず食塩水全体の重さを出す習慣をつけましょう。
表を使って整理する
食塩水の問題は、次のような表をかくと整理しやすくなります。
| 食塩 | 水 | 食塩水 | 濃度 | |
|---|---|---|---|---|
| はじめ | ?g | ?g | ?g | ?% |
| あと | ?g | ?g | ?g | ?% |
分かっている数を書きこみ、空いているところを、たし算・ひき算・割合の式で埋めていきます。とくに大事なのは、「はじめ」と「あと」で、何が変わって何が変わらないかを見ることです。
場面1:水を加える(うすめる)
例題2:8%の食塩水300gに、水を100g加えました。何%の食塩水になりますか。
水を加えても、食塩の重さは変わりません。
- はじめの食塩:300×0.08=24g
- あとの食塩水:300+100=400g
- あとの濃度:24÷400=0.06なので6%
水を加えても、蒸発させても、「食塩の重さ」は変わりません。
場面2:水を蒸発させる(こくする)
例題3:5%の食塩水400gから水を蒸発させて、8%の食塩水にしました。何gの水を蒸発させましたか。
水を蒸発させても、食塩の重さは変わりません。
- 食塩:400×0.05=20g
- 8%の食塩水の重さ:20÷0.08=250g
- 蒸発させた水:400-250=150g
確かめると、20÷250=0.08で8%です。
この問題では、「あとの食塩水の重さ」を、食塩の重さと濃度から逆算するのがポイントです。割合の「もとにする量を求める」式を使っています。
場面3:食塩を加える
例題4:10%の食塩水180gに食塩を加えて、20%の食塩水にしました。何gの食塩を加えましたか。
食塩を加えると、食塩の重さも食塩水の重さも変わってしまいます。ここで注目するのは、「水の重さ」です。食塩を加えても、水の重さは変わりません。
- はじめの水:180×(1-0.1)=162g
- あとの食塩水では、水が80%(1-0.2=0.8)にあたる
- あとの食塩水の重さ:162÷0.8=202.5g
- 加えた食塩:202.5-180=22.5g
確かめると、食塩は18+22.5=40.5gで、40.5÷202.5=0.2なので20%です。
食塩を加えるときは「水の重さ」が変わらないことに注目します。
場面1〜3を通して大切なのは、「この場面で変わらないのは何か」を最初に考えることです。水を加える・蒸発させるなら食塩が、食塩を加えるなら水が変わりません。
場面4:2つの食塩水を混ぜる
例題5:4%の食塩水300gと、10%の食塩水200gを混ぜました。何%の食塩水になりますか。
食塩の重さで解く方法
それぞれの食塩の重さを出して合計します。
- 4%の食塩水の食塩:300×0.04=12g
- 10%の食塩水の食塩:200×0.1=20g
- 合計の食塩:12+20=32g、合計の食塩水:300+200=500g
- 濃度:32÷500=0.064なので6.4%
これがいちばん確実な方法です。まずはこの方法で、どんな問題でも解けるようにしておきましょう。
てんびん図で解く方法
中学受験の算数では、混ぜる問題を「てんびん図」で解く方法もよく使われます。

てんびん図は、横棒の上に濃度を、つるしたおもりに食塩水の重さを書いた図です。混ぜたあとの濃度が、てんびんの支点になります。
てんびんがつり合うとき、「おもさ×うでの長さ」が左右で等しくなります。そのため、おもさの比と、うでの長さの比は逆(逆比)になります。
- おもさの比:300:200=3:2
- うでの長さの比:2:3
- 4%と10%の差は6%なので、6を2:3に分けると2.4と3.6
- 混ぜたあとの濃度:4+2.4=6.4%
食塩の重さで解いた答えと、同じになりました。
てんびん図のよいところは、「混ぜたあとの濃度が分かっていて、混ぜる量を求める」ような逆算の問題で、計算がとても速くなることです。
例題6:15%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて、9%の食塩水を500g作ります。それぞれ何gずつ混ぜればよいですか。
うでの長さは、15-9=6と、9-5=4なので、6:4=3:2です。おもさの比はその逆の2:3になります。500gを2:3に分けて、15%が200g、5%が300gです。
確かめると、食塩は200×0.15+300×0.05=30+15=45g、45÷500=0.09で9%です。
ただし、てんびん図は「なぜ逆比になるのか」を理解しないまま使うと、比を逆にし忘れるミスが出やすくなります。家で教えるときは、まず食塩の重さで解く方法を確実にしてから、てんびん図を「速く解く道具」として紹介するのがおすすめです。
家庭での教え方のコツ
実際に食塩水を作ってみる
キッチンスケールと計量カップがあれば、実際に食塩水を作ってみるのがいちばんの近道です。水100gに食塩を10g入れると、食塩水は110gになることを、自分の目で確かめられます。「食塩をとかしても、重さは消えない」という当たり前のことが、体験すると強く残ります。
毎回、表をかかせる
食塩・水・食塩水・濃度の4つの欄の表をかくのを、ルールにしてしまいましょう。数字を書きこむだけで、何を計算すればよいかが見えてきます。
「変わらないものは?」と聞く
解き方に迷ったら、「この問題で変わらないのは何?」と聞いてあげてください。食塩なのか、水なのか。それが分かれば、答えへの道が見えます。
単位と小数点に気をつける
食塩水の問題では、0.08や0.064のような小数の計算がたくさん出てきます。濃度の計算でつまずく子の中には、割合の理解ではなく、小数のかけ算・割り算でつまずいている子もいます。計算ミスが多いときは、小数の計算練習を並行して行いましょう。
食塩水は何年生で?家での進め方
食塩水の濃度は、中学受験向けの教材では5年生ごろ、割合の応用として出てくることが多い単元です。割合の3つの式が身についていることが前提になります。
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 濃度の式と、食塩水=食塩+水を確認する(例題1)
- 水を加える・蒸発させる問題(例題2・3)
- 食塩を加える問題(例題4)
- 2つの食塩水を混ぜる問題を、食塩の重さで解く(例題5)
- てんびん図を学び、逆算の問題に進む(例題6)
1日2〜3問で、場面の違う問題を混ぜて出すと、「変わらないもの」を探す力がつきます。
練習問題にチャレンジ
問題1:6%の食塩水250gには、何gの食塩がふくまれていますか。
問題2:12%の食塩水100gと、6%の食塩水200gを混ぜると、何%の食塩水になりますか。
問題3:4%の食塩水300gから水を蒸発させて、6%の食塩水にしました。何gの水を蒸発させましたか。
答え
問題1:250×0.06=15gです。
問題2:食塩は100×0.12+200×0.06=12+12=24g、食塩水は300gなので、24÷300=0.08で8%です。てんびん図なら、おもさの比が1:2なので、うでの長さは2:1。12-6=6を2:1に分けると4と2で、12-4=8%と求められます。
問題3:食塩は300×0.04=12gで変わりません。6%の食塩水の重さは12÷0.06=200gなので、300-200=100gの水を蒸発させました。
問題2は、2つの方法で同じ答えになることを確かめてみてください。答えが一致すると、てんびん図への信頼が深まります。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
まとめ:食塩水は「表」と「変わらないもの」で解ける
食塩水の濃度は、「食塩÷食塩水」で求めます。水を加える・蒸発させる問題では食塩が、食塩を加える問題では水が変わりません。混ぜる問題は、食塩の重さを合計する方法を基本に、慣れてきたらてんびん図で速く解く。この流れを身につければ、食塩水の問題はこわくありません。
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