「割合になったとたん、急に算数が苦手になった」「どっちで割ればいいのか、毎回迷っている」
割合は、5年生の算数でつまずく子がとても多い単元です。中学受験でも、食塩水の濃さ、売買損益、比など、多くの単元の土台になっています。ここがあいまいなまま先に進むと、そのあとの単元すべてで苦労することになります。
逆に言えば、割合をしっかり理解できれば、中学受験の算数の大きな山を一つ越えたことになります。この記事では、塾なしで中学受験を目指すご家庭に向けて、割合の3つの用語と式、百分率と歩合、帯図のかき方、割引や売買損益の問題、家での教え方をまとめました。
割合で使う3つの言葉
割合の問題には、次の3つの言葉が出てきます。
- もとにする量:くらべるときの「もと」になる量
- 比べる量:もとにする量とくらべる量
- 割合:比べる量が、もとにする量のどれだけにあたるかを表した数
たとえば「40人のクラスのうち、メガネをかけている人は10人です」という場合、もとにする量は40人、比べる量は10人です。割合は、10÷40=0.25です。
割合は「比べる量が、もとにする量のいくつ分か」を表す数です。もとにする量を「1」と考えます。
もとにする量の見つけ方
割合でいちばん迷うのが、「どれがもとにする量か」です。見つけ方のコツは、問題文の「〜の」「〜に対する」の前にある量に注目することです。
- 「800円の30%」→ もとにする量は800円
- 「定価の2割引き」→ もとにする量は定価
- 「昨年に対する今年の人数の割合」→ もとにする量は昨年の人数
問題文を読んだら、もとにする量に線を引く習慣をつけると、迷いにくくなります。
割合の3つの式
3つの言葉の関係は、次の3つの式で表せます。
- 割合=比べる量÷もとにする量
- 比べる量=もとにする量×割合
- もとにする量=比べる量÷割合
3つの式を丸暗記するより、1つ目の式から残りの2つを作れるようにしておく方が、忘れにくく、応用もききます。たとえば「6÷3=2」なら「3×2=6」「6÷2=3」になるのと同じです。家で教えるときも、かんたんな数で式の形を確かめさせてください。
帯図でイメージをつかむ
式だけで考えると混乱する子には、帯図(帯グラフのような図)をかかせるのがおすすめです。

帯の全体を「もとにする量=1(100%)」とし、そのうちの一部分を「比べる量」として色をぬります。下に割合の数直線をかいておくと、0.3や30%が帯のどこにあたるのかが目で見て分かります。
この図なら、比べる量は800×0.3=240円です。
帯図の「全体」がもとにする量です。全体を1とした数直線をそえると、割合が見えるようになります。
百分率と歩合
割合は、小数のほかに、百分率(%)や歩合(割・分・厘)でも表します。
| 小数 | 百分率 | 歩合 |
|---|---|---|
| 1 | 100% | 10割 |
| 0.1 | 10% | 1割 |
| 0.01 | 1% | 1分 |
| 0.001 | 0.1% | 1厘 |
| 0.25 | 25% | 2割5分 |
小数を百分率にするには100倍、歩合にするときは、小数第一位が「割」、第二位が「分」、第三位が「厘」です。
ここでまちがえやすいのが、「1割=10%」「1分=1%」です。「割」と「%」を同じものだと思ってしまう子がいるので、表を見ながら何度か確認しておきましょう。
例題で3つのパターンを確認しよう
パターン1:割合を求める
例題1:定員120人のバスに、90人が乗っています。乗っている人は定員の何%ですか。
もとにする量は定員の120人、比べる量は90人です。割合=90÷120=0.75なので、75%です。
パターン2:比べる量を求める
例題2:2000円の品物を3割引きで買いました。代金は何円ですか。
3割引きは、定価の1-0.3=0.7にあたる値段です。2000×0.7=1400円です。
「2000×0.3=600円」で止めてしまう子が多い問題です。600円は「引かれる金額」で、代金ではありません。帯図をかいて、「引かれた残りの部分」が代金だと確認させてください。
パターン3:もとにする量を求める
例題3:ある本の6割にあたる180ページを読みました。この本は全部で何ページですか。
もとにする量(本全体)を求める問題です。もとにする量=180÷0.6=300ページです。
確かめると、300×0.6=180ページで合っています。もとにする量を求める問題は、答えを出したあとに「かけ算で確かめる」習慣をつけると、割る数を逆にするまちがいに気づけます。
売買損益の問題
割合の応用として、中学受験でよく出るのが売買損益(お店の売り買い)の問題です。
使う言葉は次のとおりです。
- 原価(仕入れ値):お店が品物を仕入れた値段
- 定価:お店がつけた、もともとの売り値
- 売価:実際に売った値段
- 利益:売価-原価
例題4:原価800円の品物に、25%の利益を見込んで定価をつけました。売れなかったので、定価の1割引きで売りました。利益は何円ですか。
- 定価:800×(1+0.25)=1000円
- 売価:1000×(1-0.1)=900円
- 利益:900-800=100円
この問題のポイントは、もとにする量が途中で変わることです。「25%の利益」のもとにする量は原価、「1割引き」のもとにする量は定価です。どの割合が何をもとにしているのかを、1つずつ確認しながら進めます。
売買損益は「その割合は、何をもとにしているか」を毎回確認するのがコツです。
割合のグラフ:帯グラフと円グラフ
割合の単元では、帯グラフや円グラフの読み取りも出てきます。どちらも「全体を100%として、それぞれが何%か」を表したグラフです。
たとえば、あるクラス40人の好きなスポーツを円グラフに表したとき、サッカーが30%なら、サッカーが好きな人は40×0.3=12人です。グラフの問題も、「全体(もとにする量)は何か」「その何%か」を読み取れば、これまでと同じ式で解けます。
円グラフでは、角度で割合を問われることもあります。円全体は360度なので、30%なら360×0.3=108度です。「全体が100%なら、円は360度」という対応を、一度表にまとめておくと便利です。
| 割合 | 帯グラフ | 円グラフの角度 |
|---|---|---|
| 100% | 帯の全体 | 360度 |
| 50% | 帯の半分 | 180度 |
| 25% | 帯の4分の1 | 90度 |
| 10% | 帯の10分の1 | 36度 |
一歩進んだ問題:相当算
割合に慣れてきたら、「相当算」という問題にも挑戦できます。相当算は、「全体の何割かが、何円(何ページ)にあたるか」から、全体を求める問題です。
例題5:ある本を、1日目に全体の4割読み、2日目に残りの半分を読んだところ、残りは90ページになりました。この本は全部で何ページですか。
全体を1として、順番に考えます。
- 1日目のあとの残り:1-0.4=0.6
- 2日目に読んだのは残りの半分なので、2日目のあとの残り:0.6×0.5=0.3
全体の0.3にあたるのが90ページなので、全体は90÷0.3=300ページです。
確かめると、1日目は300×0.4=120ページ、残り180ページの半分の90ページを2日目に読み、残りは90ページで合っています。
相当算は「全体を1として、残りが全体のいくつにあたるか」を順番に追いかけます。
途中で「残りの半分」のように、もとにする量が全体から「残り」に変わるところがポイントです。線分図をかいて、どの部分の半分なのかを目で確認させてください。
家庭での教え方のコツ
身近な場面で割合を使う
スーパーの「3割引き」シール、スポーツの打率、テストの正答率など、身のまわりには割合があふれています。買い物のときに「この値段の2割引きだと、いくらになる?」と聞いてみるだけでも、割合が「生活で使う数」だと実感できます。
「〜の」の前に線を引く
問題文を読んだら、もとにする量に線を引かせます。最初は保護者が一緒に確認し、慣れてきたら子どもだけでやらせてみてください。
割り算の向きを、かんたんな数で確かめる
どちらで割るか迷ったときは、かんたんな数に置きかえて考えさせます。「10人のうち5人だと、割合は?」なら0.5だとすぐ分かります。「5÷10」の形を確認してから、本当の問題にもどると、割り算の向きをまちがえにくくなります。
いきなり公式に頼らない
「く・も・わ」のような図で公式を覚える方法もあります。覚え方として使うのはかまいませんが、もとにする量を見つけられないまま図に数字を当てはめても、正しい答えは出ません。まずは「何をもとにしているか」を言葉で説明できるようにすることを優先してください。
割合は何年生で?家での進め方
割合は、小学校の授業では5年生で学ぶ単元です。中学受験の算数では、このあと比、食塩水、売買損益、速さと比など、多くの単元で使います。
塾なしで進める場合は、次の順番がおすすめです。
- 3つの言葉と、もとにする量の見つけ方を練習する
- 割合を求める問題(パターン1)を解く
- 比べる量、もとにする量を求める問題(パターン2・3)を解く
- 百分率と歩合の換算を練習する
- 割引、売買損益の問題へ進む
1日3問ほどで、3つのパターンを混ぜて出すのがおすすめです。同じパターンばかりを解くと、問題文を読まずに式を作るくせがつきやすくなります。
練習問題にチャレンジ
問題1:40人のクラスで、メガネをかけている人は10人です。メガネをかけている人は、クラス全体の何割何分ですか。
問題2:ある数の25%は60です。ある数はいくつですか。
問題3:原価1200円の品物に、3割の利益を見込んで定価をつけました。売れなかったので、定価の2割引きで売りました。利益は何円ですか。
答え
問題1:10÷40=0.25なので、2割5分です。
問題2:もとにする量を求めます。60÷0.25=240です(240×0.25=60)。
問題3:定価は1200×(1+0.3)=1560円。売価は1560×(1-0.2)=1248円。利益は1248-1200=48円です。
問題3は、例題4と同じく、途中でもとにする量が原価から定価に変わります。答えを出したあと、「利益は原価の何%?」(48÷1200=0.04で4%)のように、自分で問題を作って解かせるのも良い練習になります。
練習プリント(無料)
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まとめ:割合は「もとにする量」を見つけることから
割合は、「比べる量が、もとにする量のいくつ分か」を表す数です。3つの式を覚えるより先に、問題文から「もとにする量」を見つけられるようになることが大切です。帯図をかき、かんたんな数で割り算の向きを確かめ、答えをかけ算で確かめる。この流れを家庭で繰り返せば、割合は塾なしでも十分に身につきます。
割合の考え方は、このあと学ぶ比や食塩水の問題にそのままつながります。算数のつまずきが気になるときは、中学受験の算数についていけない原因を見直すと、立て直し方がぐっと変わってくるも参考にしてください。特殊算の基本は、つるかめ算や和差算の記事でも解説しています。