「つるかめ算って、親が昔習ったやり方で教えていいの?」「方程式を使えば一発なのに、子どもにはどう説明すればいい?」
塾なしで中学受験を目指していると、こんな場面に必ず出会います。つるかめ算は、中学受験の算数で最初に出てくる「特殊算」の代表です。ここでつまずくと、そのあとに続く割合や速さの文章題でも苦手意識が残りやすくなります。
この記事では、家で教える保護者の方に向けて、つるかめ算の考え方から、面積図を使った解き方、よく出る応用パターン、家庭での教え方のコツまでを順番にまとめました。例題と練習問題もつけているので、お子さんと一緒に手を動かしながら読んでみてください。
つるかめ算とは?どんな問題のことか
つるかめ算は、「2種類のものが混ざっていて、合計の数と、もう一つの合計(足の本数や金額など)が分かっているとき、それぞれの数を求める問題」です。
いちばん有名なのは、次のような問題です。
例題1:つるとかめが合わせて10匹います。足の数は全部で28本です。つるとかめはそれぞれ何匹いますか。
つるの足は2本、かめの足は4本です。分かっているのは「合計の匹数(10匹)」と「合計の足の数(28本)」の2つだけ。ここから、それぞれの匹数を求めます。
大人なら「つるをx匹、かめをy匹として連立方程式を立てる」と考えるかもしれません。でも、小学生はまだ方程式を習っていません。中学受験の算数では、方程式を使わずに「もし全部がつるだったら」と仮に考えて解くのが基本です。
つるかめ算のポイントは「全部が片方だったら」と仮定して、実際との差に注目することです。
基本の解き方:「全部つるだったら」と考える
例題1を、仮定して考える方法で解いてみます。
ステップ1:全部がつるだったと仮定する
10匹が全部つるだったとすると、足の数は2本×10匹=20本です。
ステップ2:実際との差を出す
実際の足は28本なので、28-20=8本足りません。
ステップ3:1匹入れかえると、いくつ増えるかを考える
つる1匹をかめ1匹に入れかえると、足は4-2=2本増えます。足りない8本を埋めるには、8÷2=4回入れかえればよいので、かめは4匹です。
ステップ4:残りを求めて、確かめる
つるは10-4=6匹です。確かめると、2本×6匹+4本×4匹=12+16=28本で、問題と合っています。
この「確かめ算」は、毎回必ずやらせてください。答えが合っているかを自分で判断できるようになると、テストでの見直しの力にもつながります。
表で書き出すと、仕組みが見えやすい
いきなり式で考えるのが難しい子には、表で一つずつ書き出すのがおすすめです。
| つる | かめ | 足の合計 |
|---|---|---|
| 10匹 | 0匹 | 20本 |
| 9匹 | 1匹 | 22本 |
| 8匹 | 2匹 | 24本 |
| 7匹 | 3匹 | 26本 |
| 6匹 | 4匹 | 28本 |
かめが1匹増えるたびに、足が2本ずつ増えていくのが分かります。この「1匹入れかえると2本増える」という気づきが、つるかめ算のいちばん大事なところです。最初は表で納得させてから、式の解き方に進むと理解が深まります。
面積図を使った解き方
中学受験の算数では、つるかめ算を「面積図」で解く方法もよく使われます。面積図は、たてを「1匹あたりの足の数」、横を「匹数」にした長方形で、面積が「足の本数」になる図です。

図の見方を順番に説明します。
- 下の青い長方形は、全部をつる(足2本)と考えた部分です。面積は2×10=20本です。
- 実際の足は28本なので、上にのっているオレンジの部分の面積は28-20=8本です。
- オレンジの部分のたての長さは、かめとつるの足の差の4-2=2本です。
- オレンジの部分の横の長さ(=かめの匹数)は、8÷2=4匹と求められます。
計算の中身は、さきほどの「全部つるだったら」と同じです。面積図のよいところは、何を引いて何で割っているのかが、目で見て分かることです。応用問題で数字が複雑になっても、図があれば迷いにくくなります。
面積図は「たて×横=面積」を意識させると、式の意味がつながります。
よく出る応用パターン
基本ができたら、次のような問題にも挑戦しましょう。どれも考え方は同じです。
パターン1:金額のつるかめ算
例題2:1枚50円の切手と1枚80円の切手を合わせて15枚買ったら、代金は1020円でした。80円の切手は何枚買いましたか。
全部50円の切手だったとすると、50×15=750円です。実際との差は1020-750=270円です。50円を80円に1枚かえると30円増えるので、270÷30=9枚。80円の切手は9枚です。確かめ算は、50×6+80×9=300+720=1020円で合っています。
「足の数」が「金額」に変わっただけで、手順はまったく同じです。問題文を読んだら、「2種類のもの」「合計の個数」「もう一つの合計」の3つに線を引かせると、つるかめ算だと気づきやすくなります。
パターン2:失敗すると引かれるつるかめ算
例題3:ガラスのコップを1個運ぶと10円もらえますが、割ってしまうと10円がもらえないうえに20円を払います。100個運んで、受け取ったお金は820円でした。割ったコップは何個ですか。
全部うまく運べたとすると、10×100=1000円です。実際は820円なので、1000-820=180円少なくなっています。1個割ると、もらえるはずの10円がなくなり、さらに20円を払うので、10+20=30円減ります。180÷30=6個割ったことになります。
確かめると、うまく運べたのは94個で、10×94-20×6=940-120=820円です。
このパターンでは、「1個割ると30円減る」の部分でつまずく子が多いです。「もらえなくなる分」と「払う分」の2つが重なることを、ていねいに確認してあげてください。
パターン3:3種類のつるかめ算
3種類のものが混ざる問題もあります。たとえば「10円玉・50円玉・100円玉」のような問題です。このタイプは、問題文の別の条件(「10円玉と50円玉の枚数が同じ」など)を使って2種類にまとめてから、つるかめ算にするのが基本です。基本の2種類がすらすら解けるようになってから取り組めば十分です。
家庭での教え方のコツ
塾なしで教えるとき、つまずきやすいポイントと、その対策をまとめます。
方程式で教えない
保護者が方程式で解いて見せると、子どもは「大人の解き方」をまねしようとして混乱しがちです。答えが合っていても、中学受験の応用問題では「仮定して差を見る」考え方が何度も出てきます。最初から「全部つるだったら」の考え方で教えるのが、遠回りに見えて近道です。
絵や具体物から入る
低学年や算数が苦手な子には、まず絵をかかせるのがおすすめです。○を10個かいて、全部に足を2本ずつかき、足りない足を2本ずつ足していく。この作業をやると、「2本ずつ増える」が感覚で分かります。
「1つ入れかえると、いくつ変わる?」を口ぐせにする
つるかめ算のすべての応用問題で使うのが、この問いかけです。答えを教える代わりに、「1匹入れかえたら、足は何本変わる?」と聞いてあげてください。自分でこの問いを立てられるようになれば、初めて見る問題にも対応できます。
確かめ算を習慣にする
答えが出たら、問題文の条件に当てはめて確かめる習慣をつけます。テスト本番での見直しにも、そのまま役立ちます。
つまずいたときのチェックリスト
お子さんが手を止めてしまったら、次のどこで止まっているかを一緒に確認してみてください。
- 2種類のものが何か、分かっているか
- 「合計の個数」と「もう一つの合計」を区別できているか
- 「全部が片方だったら」の計算ができているか
- 実際との差を、正しい向き(大きい方から小さい方)で引けているか
- 「1つ入れかえると、いくつ変わるか」を出せているか
- 割り算で出た数が、どちらの個数なのか分かっているか
最後の項目は意外と大事です。「全部つる」と仮定したときに出てくるのは「かめ」の数です。仮定した方とは逆のものが先に求まる、という点で混乱する子が多いので、ていねいに確認してあげましょう。
つるかめ算は何年生で学ぶ?家での進め方
つるかめ算は、中学受験向けの教材では4〜5年生ごろに特殊算の一つとして出てくることが多い単元です。とはいえ、使うのはかけ算・わり算・ひき算だけなので、九九とわり算が身についていれば、3年生でも表を使った解き方なら理解できます。
塾なしで進める場合は、次のような順番がおすすめです。
- 1日目:例題1を、絵と表で解く(式は使わなくてOK)
- 2日目:同じ問題を「全部つるだったら」の式で解く
- 3日目:面積図をかいて、式と図を見比べる
- 4日目以降:金額のつるかめ算、失敗すると引かれるつるかめ算へ進む
1日に解く問題は2〜3問で十分です。たくさん解くより、1問ごとに「なぜ2で割るの?」「なぜ28から20を引くの?」と聞いて、言葉で説明できるかを確かめてください。説明できたら、その日の目標は達成です。
問題の数より「説明できるか」を基準に進めると、応用問題でも崩れにくくなります。
似ている特殊算とのちがい
つるかめ算を学ぶと、そのあと「差集め算」や「過不足算」「平均算」といった問題が出てきます。どれも「全体を同じものと考えて、差に注目する」という点で、つるかめ算と考え方が近い仲間です。
ちがいは、問題文で分かっている数の組み合わせです。つるかめ算は「合計の個数」と「もう一つの合計」が分かっている問題。差集め算は「1つあたりの差」と「全体の差」が分かっている問題、と整理しておくと、問題文を読んだときに見分けやすくなります。いきなり全部を区別しようとせず、まずはつるかめ算を確実にしてから次の単元へ進みましょう。
練習問題にチャレンジ
最後に、家で使える練習問題を3問用意しました。まずは表か面積図をかいてから解いてみてください。
問題1:自転車(車輪2つ)と三輪車(車輪3つ)が合わせて12台あり、車輪の数は全部で29個です。三輪車は何台ありますか。
問題2:1個60円のみかんと1個100円のりんごを合わせて20個買い、1600円払いました。りんごは何個買いましたか。
問題3:100点満点のテストで、正解すると1問5点もらえ、まちがえると1問2点引かれます。20問すべて答えて72点でした。まちがえた問題は何問ですか。
答え
問題1:全部自転車だとすると車輪は2×12=24個。29-24=5個足りず、1台かえると1個増えるので、三輪車は5÷1=5台です(自転車7台、車輪は14+15=29個)。
問題2:全部みかんだとすると60×20=1200円。1600-1200=400円。1個かえると40円増えるので、りんごは400÷40=10個です(60×10+100×10=1600円)。
問題3:全部正解だとすると5×20=100点。100-72=28点少ない。1問まちがえると5+2=7点減るので、28÷7=4問まちがえました(5×16-2×4=80-8=72点)。
問題3は、例題3と同じ「失敗すると引かれる」パターンです。ここが解けたら、つるかめ算の基本は身についています。
練習プリント(無料)
この記事の内容をたしかめる「初級」の練習プリントです。問題1ページと、解答・要点まとめ1ページのA4のPDFです。印刷して使ってください。
中級の問題と「要点まとめ」がついたセット(10単元・A4で62ページ)は、noteで販売しています。この単元は「算数・特殊算パック①」に入っています。
まとめ:つるかめ算は「仮定して、差を見る」練習
つるかめ算は、「全部が片方だったら」と仮定して、実際との差を「1つ入れかえたときの変化」で割る問題です。表で書き出す、面積図をかく、確かめ算をする。この3つを家庭で繰り返せば、塾に通っていなくても十分に身につけられます。
この「仮定して差を見る」考え方は、このあと学ぶ差集め算や平均算、割合の文章題でも何度も出てきます。急いで問題数をこなすより、1問ずつ「なぜそうなるか」を説明できるように進めていきましょう。
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